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プログラミング教育必修化について調べた

2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されます。
小学校に通う私の息子も2020年で小学3年生であることと、プログラミングで生計を立てている身としては気になるトピックです。

参考書籍

今回プログラミング教育を調べるにあたり、3冊の書籍を購入しました。

1冊目は教育現場に立つ教員に向けて、プログラミング教育がなんであるか、なぜやるのか、どうやるのかということが、実際の教育機関や自治体の取り組みとともに紹介されているもの。

2冊目は小学生向けのプログラミング教室を事業展開している企業の方の書籍です。

それとプログラミング教育の現場でよく用いられると言われている絵本です。どういう教材を使うのかがわかります。


プログラミング教育の目的

ちゃんと調べるまではなんとなく「ビジュアルコーディングのscratchが教育で使われているのは聞いたことがある」とか「小学生がコードを書くことはできるのかな?」という漠然とした印象を持つ程度でした。

プログラミング教育の主な目的は日本における圧倒的なIT人材不足の解消です。2020年には37万人、2030年には40-80万人のIT人材が不足すると言われているそうです。

ロボットやAI技術の発展により現在ある職種(ブルーカラーだけでなくホワイトカラー含め)の49%が失くなり、新しい職種に代替されると予測されており、その新しい職種にプログラミングスキルが欠かせないという見解のようです。


なぜ小学校でプログラミング教育が必要か

「先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本」の著者の一人である利根川 裕太さんは、文部科学省に設置された”小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議”に参加されており、ご自身はプログラミングを社会人になってから経験されているんですが、周囲に居る、子ども時代や学生時代からプログラミングを始めたエキスパートには叶わないと感じ、小学生からのプログラミング教育が必要と考えていたそうです。

サッカーでの例え話では、1993年にJリーグが発足すると日本各地で少年サッカークラブがたくさん設置され、サッカーの裾野が広がりその後の選手層が厚くなり、W杯常連国になったということです。

プログラミングでも同じように小学校で裾野を広げ、後々ハイレベルなIT人材が登場するのが理想論としてあるようです。


小学校でのプログラミング教育は何をやるのか

結論から書くと、小学校では「プログラミング的思考の育成」を目的とし、コードを書くことは目的ではありません

これは私も勘違いしていました。”プログラミング”という言葉が誤解を招きやすいんじゃないかと思います。

ただ最初「scratchのようなビジュアルコーディングで本当にプログラムが書けるようになるんだろうか」「最初からコードを書けばいいのに。」「うちの子にはコードを書かせてみよう。」と思っていました。

これも大きな誤解がありました。息子を見ていると、国語ですらまだ途上の小学生に英語でプログラミングを記述するのはハードルが高いだろうと感じています。


「プログラミング的思考」とは

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要で、記号(指示)をどのように組み合わせたらよいのかを検討する力。さらに、もし間違いがあれば、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した動きに近くのかを論理的に考えていく力

書籍にはこう書かれていました。簡単にいうと「目標を実現するための最善な方法を細分化して考える力」くらいが良いでしょうか。

確かに実際のプログラミングでは、実行命令を細かく決めて、それらを組み合わせてコンピューターに実行させるわけですから、その考え方を養うのは良さそうです。

またこのプログラミング的思考によって「自分自身で目標を決める力」と「目標を達成する方法を考える力」が身につくようです。


どうやって教えるのか

プログラミングだけの授業枠を作るわけではなく、既存の国語や算数、理科と言った授業の中でプログラミング的思考を取り入れて行うそうです。

文部科学省では「授業へどのようにプログラミング教育を取り入れるかは、教師自身が考え、学校が判断するもの」としています。

これ、教員の方々は戦々恐々としているんじゃないかと推測します。実際の現場を見たわけではないのですが、近年教育現場では業務が増えて大変だと耳にすることが多いので、さらに業務が増えることで教員の方々の負担が大きそうです。


プログラミング教育が与える波及効果

東京都にはプログラミング教育推進校という、企業等の支援団体と小学校との効果的な連携を推進するための制度があるようです。

今後、都心以外の各地方自治体がこういった制度に力を入れていくことで企業を誘致したり、子どもに良いプログラミング教育を受けさせたい家族等が移住することで地方の人口減少対策にするかもしれません。

また今後、多くの一般企業がプログラミング教室を開くことになるかもしれません。私の住んでいる近所でも、今までは大人向けのパソコン教室だったところが子ども向けプログラミング教室を開くというチラシが入ってきました。

そして教材です。今でも多くのおもちゃが販売されていますが高価です。だいたい1万円以上で、高いものだと3万円くらいはするようです。

今後はもっと色々な企業が参入して価格競争になるかもしれません。さらに、同じような教材が溢れ、何が良いのか迷うことになりそうです。


プログラミング教育の課題

1つ目は人材

まず教育機関にプログラミングの専門家がおらず、また実際に子ども達に教育をするのは現役の教員達です。まずはプログラミングを教えられる人材を育てることが急務だと思います。

それには、プログラミング(的思考)とはどんなものかを知ることと、既存の授業にどう組み込んでいくかを考えるというステップが必要です。

研修やワークショップ等色々方法はあるかと思いますが、個人的に、校長含め全教員がその教育を受ける必要があると思います。あと1年で日本全国の教員全員が、十分な研修を受けることができるのでしょうか。

2つ目は環境

PC端末やiPadのようなタブレットを使用してプログラミング教育を行うことが多くなると思いますが、1人1台揃えたり、Wi-Fi環境を整えたり、既存の仕組みの中に取り入れていくのはかなり大変そうに思います。

低学年ではアンプラグド(ICT機器を使用しない)のプログラミング教育が主な様ですが、何れにせよ環境整備は求められると思います。

3つめ目は子ども達のリスク

ICT機器使用による個人情報漏洩や、視力やストレートネック等健康被害が懸念されている様です。ICT機器やインターネットの使用は避けられず、この問題はプライオリティー高く考えておきたい事項です。


まとめ

ざっと小学校におけるプログラミング教育について書いてみました。私が知ることで実際に息子にも少しづつ、家庭で行えるプログラミング的思考の育成をすべくチャレンジしています。

今後もこのトピックスに関しては考えていきたいと思っています。

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