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#塩田千春展魂がふるえる

森美術館にて、ふるえてきました。


どこかの人たち、そのなかの一人がわたしかもしれない。わたしの、あるいはどこかの誰かの祖先は船にのり、別の土地から渡ってきたのかもしれない。
へその緒のような赤い糸が、世界地図の上で通信されるデータがスパークするかのように、白い会場の中に広がる。
DNA、歴史、血縁、切りたくても切れない繋がりを真っ赤な糸は表すかのよう。

それを心の頼りにするとき。
その網目からこぼれるとき。
あたたかさも、冷たさも感じる。

《静けさの中で》
画像:展覧会サイトから

張り巡らされた黒い糸の中に、焼かれたピアノと焼かれた椅子たち。
さっきまで血液を運んで魂をつないでいた糸は焼かれ、黒く焦げたかのよう。
誰かの大切なピアノは焼け、わたしはそこから目が離せない。

ピアノを弾いていた誰かはもういないのに、そこにいたその魂は黒く紡がれている。

悲劇的に写るその光景を、訪れる人たちは撮影する。撮影することを止められない。他人事、死への好奇心、心に侵食する黒い糸を写さずにはいられない。
涙がにじむ。

(展覧会サイトから)
本展は、塩田千春の過去最大規模の個展です。副題の「魂がふるえる」には、言葉にならない感情によって震えている心の動きを伝えたいという作家の思いが込められています。大型インスタレーションを中心に、立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の関連資料などを加え、25年にわたる活動を網羅的に体験できる初めての機会になります。「不在のなかの存在」を一貫して追究してきた塩田の集大成となる本展を通して、生きることの意味や人生の旅路、魂の機微を実感していただけることでしょう。

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