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#41 ボリビアから帰国して半年の日々

2023年10月3日 martes
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気がつくと半年経っていた。ボリビアから帰ってきて。
3月31日に日本に戻り、4月前半は、まだ魂半分はボリビアにいる感じで、日本の友人知人に会う気もせず。
ようやく4月末、5月には、おかえりパーティ。サンタクルスの空港で死守したボリビアの最高級シンガニ(ラパス出発時、機内持ち込みのキャリーケースに入れていたため、経由地サンタクルスにて取り上げられそうになったが、ボリビア人気No.1 サッカーチームBolívar のユースチームコーチが自分の預け入れキャリーケースに入れて運んでくれた件)を味わうべく、デザイン会社時代の社長夫妻、先輩や同僚と集い、(なぜか)私がスパイスカリーを振る舞う。

ポークジンジャーカリーとエビスパイスカリーのあいがけ

そしてどこへ行ってもチャランゴを携え、みんなに弾かせて遊ぶ私。
いい趣味をゲットできた、しめしめ、である。

どこでもチャランゴ。

ボリビアで展開できた活動のひとつに、現地の障害者の環境をデザインの力で改善しよう、というものがある。これは、2020年3月に新型コロナウイルスの感染拡大により一時帰国し、再赴任を待つ間、奈良の「たんぽぽの家」(障害者アートでは日本で草分け的存在の団体)で、プロジェクトスタッフとして働いていた縁があってのこと。ボリビアからも、生徒や教員とオンラインの施設訪問をさせてもらったり。
その「たんぽぽの家」の事業所
「Good Job! Center KASHIBA」https://goodjobcenter.com/
で製作している張子(絵付前のもの)をボリビアへ持っていき、現地でワークショップもさせてもらった。いろんな国の障害を持つ人たちの違った視点のデザインが同じ形の張子でさまざまに見られたら楽しいなー、という。

日本と違う感覚(埋め尽くすー!)のデザインに喜んでくれた!
張子に描かれたデザインの説明をする

4月に張子を携え「ただいま」の報告をした際、事業所に通うメンバー向けにボリビアを紹介するイベントをしよう、ということに。6月に「ボリビアのことを話そう」と題して、ボリビアでの暮らしや、私のボリビアでの仕事について話した。ボリビアから持ち帰ったApi(紫とうもろこしのドリンク)も用意したが、「げー飲めない!」というストレートな反応も多く(笑)。

「ボリビアのことを話そう」の会@Good Job! Center KASHIBA

5月には、スペイン語検定DELE(B2レベル)も受験。帰国後ボーッとしすぎて対策がまったくできておらず、焦って4月末から家に引きこもり(かなり行動が偏っている私)、毎日問題集を解き、YouTubeでライティングとスピーキングの対策。

↓この人の対策チャンネルよく見てました。

試験当日は、私を含めて4人しかいなく(京都会場は)、リーディングから始まり、リスニング、ライティングを終えた頃には、ギリギリアウトかー感ひしひし。
夕方、最後のスピーキングテストでは試験官が助け舟を出してくれるほど自力で喋り続けるのがつらく、、、もはや途中で笑けてきて不合格を確信し、教室を後にした。それでも最後まで諦めなかった自分を褒めたい!と胸を張って、アーティストの友人との飲み会に合流した。

8月に入ってようやく結果がきた。リーディング・ライティングのセクション合計60%、リスニング・スピーキングのセクション合計60%の、全体で60点が合格ライン。

ぎりっっっっっっぎりの合格(笑)

「こいつ、ほんまぎりぎりやなー、しゃあない、合格にしといたろ」感の漂う結果。なにごとも最後まで諦めるな、ということですね。

日本に帰ってきて久々にアートに触れる。
これ、不思議だったのが、ボリビアにいた時は、環境的に現代アートを鑑賞できる場所もないので仕方ないという側面もあるが、それ以上に、わざわざアートを観に行こう、とならなかった。欲求が湧いてこなかったのだ。
思うに、日常生活の中で価値観が揺さぶられること、「なんやねーん!それ!!」「なんでやねーん!!」みたいなことが、普通にあるからかもしれない。
アートの中にいるから、わざわざ観に行かんでよろし、と。

KYOTOGRAPHIE(京都)
YCAM(山口)で働く友人を訪ねて山口へ。インドネシア人のキュレーターの展示がよかった。
アーティストグループが開発したカードゲーム @YCAM
木版画「金持ちの少年と貧乏な少年の違い」ブラジル @みんぱく『ラテンアメリカの民衆芸術』展(大阪)
横尾忠則 銀座番外地 Tadanori Yokoo My Black Holes @ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京)
はじまりの美術館(福島)

6月にはJICA本部で帰国報告のプレゼンに参加。
奈良の「たんぽぽの家」と懇意にされている国会議員の方と意気投合し、色々と話が盛り上がったり、起業されているOGの方、南米帰りの隊員の方たちと話をして楽しい夜を過ごした。

国会議員の方たちに向けての報告会

帰国してから(しばらくは遊んでばっかいたけど!)デザインの仕事を受けながら、ボリビアで障害者とクリエイターとのコラボレーションをどう継続させていけるか模索している。苦手だけど、社会起業のことを勉強してみたり、ボリビアで有利に使えるかも、と、臨床美術士の資格を取ったり。改めて「たんぽぽの家」では仕事作りの工夫、環境作りについて学ばせてもらっている。(メンバーとワイワイしているだけでも癒される。)

4月、大阪高島屋での展示。何人かのスタッフの方にはここで「ただいま」の挨拶。
大好きなスタッフの方と雑談。
雑談の中にいつも大事なこととしょーもないことが混ざってて○

各現場のスタッフの方に話を聞くと、それぞれに考え方は違うものの、大事にしている視点やそこからの工夫が見られて、本当にプロフェッショナルだな、と感じる。こういう現場がもっと開かれたら「生きる」ことについて多面的に考えられる学びの場になるな、とか思ったり。ボリビアは、かなり隔離されている印象だけど、日本もまだまだ障害者と触れる機会は限られているし、限られた人しか日常的に接することがないよな、まだまだ。

8月末から9月頭にスコットランド大学院時代のメキシコ人の友人カップルが遊びにきた時も、施設に連れて行った。
アトリエの制作風景やメンバーとの交流を、二人とも楽しんでいた様子。この時はちょうど韓国からも、EasyTogetherという団体が日韓交流プロジェクトで来日しており、韓国、メキシコと、インターナショナルな空気が施設に流れて賑やかだった。

メキシコ人の友人たちとは、10年前は英語で、今回はスペイン語で会話。
人生何がどうなるか。おもしろい。
彼らの日本滞在最後は豊島・直島へ二泊の旅。私も同行した。毎朝、昨日見た夢の話で盛り上がる二人。最後の朝には、泳ぐのにふさわしくはないビーチまで早朝に散歩し、旦那のパブロは海水浴。楽しむこと、遊ぶことが上手な彼らに、この夏、大事なことを教わった気がする。

ブレンダとパブロ。みんな10年前と変わってないね!けど白髪増えたよ!と。

そんなこんなで、10月。
まだ先の予定も立てられず、いつボリビア戻れるんだろう、と不安になったりもする。けども、とりあえずできることから、と、ボリビアショップをオープンしました。
私の活動していたIDAI(Instituto de Adaptación Infantil)の子どもたちが描いたイラストを使用してデザインしたグッズの数々、と私のオリジナル「チョリT」「チョリパカT」を販売します。※デザイン使用・販売に関してはIDAIの了承を得ています。

売上はボリビアでの活動資金に、もしボリビアへ戻れなくとも施設への寄付として活用させてもらいます。
メロディという女の子が「これ、売って売って!」と言っていたのを思い出します。デザインしながら、一人一人どんな様子で描いていたか思い出すので、しあわせ。
早く彼らに会いに行きたい!けれど、継続可能な取り組みにしたいので、どんなアプローチが有効か考えつつ、日本でできることをしている日々です。

ということで、しばらくは日本におりますので、デザインの仕事のご相談、また最近声かけをいただくスパイスカリーのケータリング(笑)など、コラボレーションできそうな方はご一報ください!
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ATSUKINO(アツキーノ)

2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動を終え、ボリビアの障害者×クリエイターのプロジェクトを興すべく可能性を模索中。
http://nakanoatsuko.com/

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