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#14 ボリビアのお祭りシーズンがやってきました ~Alasitas編

2022年1月25日 martes
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職場にコロナ感染者が続々と出てきたので、今月いっぱいは在宅勤務に切り替え、家で作業をしている。これからまさにお祭りシーズンに突入するボリビア。昨日、1月24日からは、Alasitas[アラシータ]という、アイマラのお祭りがはじまっている。このアラシータは、abundancia(豊かさ・繁栄)を願うもので、約一ヶ月にわたって開催される。
外でランチをとった後、散歩がてらにフェリア会場を歩く。早い時間は人も少なく、開いているお店もまばら。小さなおもちゃが欲しい様子の男の子と出会い、写真を撮らせてもらう。

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アラシータでは、これから一年の繁栄を祈り、手に入れたいもののミニチュアを買ってお祈りする。お金や家(←これらはわかりやすい)、パスポートや学位などのミニチュアがお店に並び、とてもかわいい。欲丸出しで、ストレートな感じが清々しい。

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あとは、象徴的なものもたくさん。
例えば、「ほうき」は厄払い。色々な「道具」は仕事運の向上。あと、おもしろいのは「にわとり」。恋人が欲しい男の子は雌鶏を、女の子は雄鶏をゲットしてください!さらに、卵付きの雌鶏なら子宝に巡られる、白い雄鶏は優しくピュア、赤だと情熱的、黄色だとお金持ちの恋人をゲットできる、など、いろいろあるみたいです。

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ただしこれらのミニチュアは、自分で買うのでなく、人からもらうのが良いらしい。ちなみに、今年はワクチン接種済み証明書なども並んでいた。

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そしてアラシータで、もっとも目を引くのが Ekeko[エケコ]人形。エケコは繁栄の神様なのだが、見た目は小さなおっさん。体に、ありとあらゆる、手に入れたいと願うもののミニチュア(家、車、お金、穀物類、スリッパ、楽器、枕、ほうき、などなど)を、纏っている。会場の入り口には大きなエケコが。今年はマスクをしていますね。

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祈願成就するよう、毎日タバコを吸わせる習慣があるらしいが、私は全部くっついている陶器でできたものを購入。タバコも咥えている。チャランゴを絶賛練習中なので、楽器を纏っているところも、よい。商売っけの全くないおじいちゃんのお店で、15ボリ(=約250円)で購入した。

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チョリータの衣装を着たバービー人形などもあり、いろいろと見て歩くだけでも、たのしい。ちなみに、このチョリータバービー達は、ひとつ90ボリ(=約1500円)と、お店のおばちゃんが言っていた。

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アラシータのミニチュア以外にも、手作りのいろんなものが並んでいる。その中のひとつのお店の前で足が止まった。かわいい陶器のオブジェと共に、木で描かれた絵がたくさん。ひとつひとつ見てみると、木目や色の合わせなど、なかなか素敵。小さいものはひとつ90ボリ〜(約1500円〜)。大きいものはものによって200ボリ(約3400円)くらい。

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気づけば、わざわざポトシからこの絵を探し求め買いにきた女性の、絵を選ぶ作業に付き合わされていた私。彼女は大きいものを3枚ほど購入し、嵐のように去っていった。その後、ようやく私が選ぶ時間。迷った挙句、夫婦と勝手に見立てた2枚をセットで購入した。180ボリ(=約3000円)。

そして会場内には、ところどころ、祈祷専門の人たちもいる。

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買ったお守りをそこで煙に燻して?花びらを撒き散らしたりして??ご利益があるようにお祈りしてくれる。会場の入口付近で、白いにわとりを買った女の子がおばあちゃんに色々ばら撒かれて、祈祷されていた。いい人が見つかると、いいね。



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2022年1月27日 jueves
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昨日は一日家にこもっていた。というのも、朝9時に、25Lボトルの水を頼み、(いつやってくるかわからないので)来るまでは家を出ず、仕事をしながら待ったものの、結局来なかった。
電話注文なので、住所がうまく伝わってなかったのかもと思い、また、早く連絡したところで、特に早く届けてくれるわけではないともわかったので、今日の夕方に再度注文しようとしたら、お昼12時に水が届いた。
24時間以上かかることもあるのか・・・なるほど、これがボリビア時間。

昨日、仕事が進んだこともあり、今日は夕方早めに仕事を切り上げ、夜のアラシータ会場を散策することにした。

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友人の出産祝いや、お土産もついでに買っておこう、と、できるだけ人の波を避けつつ、露店を見てまわる。昼の様子とはちがい、ゲームに興じる人もいて賑やかな雰囲気。私の好きな、アンティクーチョの屋台もたくさん並んでいる。

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こういうテーブルサッカーとか、

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ビンゴとか。大人も子どもも関係なく楽しめる遊び、いいな。

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あとは、ものに埋め尽くされているワクワク感。

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入り組んだお店の配置に、一度通ったお店がどこにあるのかわからなくなる。出産祝いのアルパカニット帽を物色していると、どこも同じような商品を並べていることに気づく。
あるお店で足を止めて、値段を聞いてみる。友人の気に入りそうなデザインで、サイズもちょうどよさそう。店主の女性と話していると、奥から小さな女の子が出てきた。むちむちでかわいい。「写真撮らせて。いい?」と聞くと、ぬいぐるみを抱えて見せてくれた。

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帽子の色を迷う私に、他の商品を見せてくれたり、「ふたつ買っていってもいいよ!」と、6歳にして立派な商売人の片鱗を見せる彼女。一緒にふざけて遊んで、楽しい時間をくれた彼女がいるこのお店で買う心は固まっていた。最後に私が「どっちの方が好き?」と聞くと、「カフェ」と彼女が言ったので、その帽子を購入した。そのあと、帽子に合わせて小さな手袋も他のお店で買った。

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やっぱり人と会って、一緒に笑って過ごす時間は大事だ。
最後に「Chao, mi amiga~~~!」と手を振ってくれた。お祭りの期間中、また会いにいこう。



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2022年1月29日 sábado
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昨日も一日、家で仕事。夕方に友人から連絡があり、「夜10時までアツコの家で過ごさせてくれない?」と。今日、コチャバンバという町で行われる、友人の結婚式に夜行バスで向かう彼女は、夕方5時に予約していたブーケを取りに行ってからバスの出発の時間まで私の家で待ちたい、とのこと。
「18時以降に来て」と連絡すると、きっちり18時少し過ぎにやってきた彼女。ボリビア人だけど、時間や約束をきっちり守るところが珍しい。
「お昼の残りの牛丼があるから食べる?」と、彼女には牛丼を、私は作り置きしていたスパイスカレーを夕食に食べる。一口食べてみる?とカレーをすすめると、「外のどの店よりも香りが豊かで、おいしい。」と、日本でふるまっていた中でも一番人気のエビスパイスカレーに、舌鼓を打っていた。
時間がたっぷりあったので、いろんな話をして過ごす。まだ20代の年頃の彼女なので、恋愛の話も。「そういえば、ボリビアでは若い子たちが赤ちゃんを連れて歩いている姿をよく見かけるけど、平均の出産年齢はどれくらいなの?」と聞くと、だいたい、20〜25歳での出産が多いらしい。たまに15歳くらいで出産するケースもある、という。すごく早いか、あとは、30代で出産に興味がない人たちも多い、と最近は極端な傾向が見られるらしい。個人的な感覚としては、日本よりも街中で赤ちゃんや小さい子を見かけることが多い気がするので、やはり活気のある若い国、という印象がある。22時を過ぎ、彼女は重い荷物を抱えて、コチャバンバへ向けて出かけていった。

今日は午後、チャランゴのレッスンに、楽器職人のGonzalo[ゴンサロ]のお店へ。チャランゴを買ったときにレッスンをしてもらって以来、今日で2回目。習ったコードの復習と、それにつづくメロディを教えてもらう。どうやら「Ojos azules(=青い目)」という歌を、少しずつ教えてくれていたらしく、Youtubeで歌を確認しながらコードを教えてくれる。途中忘れていたメロディを付け足したので、混乱する私。「あ、いま、なんか付け足したな?」と言うと「忘れてた。」と笑う彼。
ピアノを習っていた子どもの頃、楽譜を読むのが苦手で、音と指の動きを記憶して弾いていた、という私に、自分もそのタイプだと、ハイタッチでなく(コロナ感染予防的に)グータッチする私たち。楽器の作り方、弾き方も家族から習った、という彼。そのあと、YAMAHAの音楽教育など、日本のことについて少し話をした。

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少しずつ丁寧に教えてくれるので、2回のレッスンを終えてなんとなくそれっぽい感じに弾けている!という気がするのは私だけか。



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2022年1月30日 domingo
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昨日夕方家へ帰ると大家のエリカさんから「アツコさーん」と。なんと、先週教えてくれたボリビアのハーブ Huacataya をくれた!

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香りはミントのようなすっきりした感じもある。エリカさんは料理に使うのが好きだという。ボリビアではどこででも出てくるLlajuaという辛いソースの中にも入っているハーブらしい。これでザジキをつくってエリカさんにもお裾分けしよう。お鍋の薬味にも使えそう。

今日は、午前中の人の少ないアラシータ会場の風景を写真に撮ろう、と散歩へ出かけた。まだ準備中の、お祭りの裏側も見てみたい。

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雷と雨がすごかった昨晩。水を落とす作業など、開店前の準備いろいろ。

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働くチョリータママの横には、赤ちゃんや小さな子どもたちもたくさん見かける。

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お店の横でエプロンを干す様子もちらほら。

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余談だが、ボリビアでは寝ているおばあちゃん(お店の人)をよく見かける。その光景に出会うと、なんとも癒されるのと、単純に愛おしく感じる。ので、寝ているおばあちゃんをコレクションするようになった最近。
「あ!」とカメラを構えると目が開くこともままあるのだが、今日も寝ているおばあちゃんを会場で見つけたので写真に収めました。

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平和な気持ちになります。ありがとう。

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ATSUKINO(アツキーノ)

2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。
http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/

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