見出し画像

わたしの白内障体験

50代からの目のかすみや視力の低下は、白内障の初期症状かもしれない。
じつは、白内障はおおくの人が経験する病気で、ほとんどの場合手術でなおる。手術はむずかしくなく、わたしも手術をうけて生活が楽になった。
以下に、白内障とはどんなもので手術費用はどれくらいかかるのか、そしてわたしの生活がどう変わったのか紹介する。白内障にたいする理解と知識が深まるとおもうので、ぜひ最後まで読んでほしい。



白内障

白内障とは

白内障は、目のなかにあるカメラのレンズに相当する水晶体という組織が濁ってしまう病気である。水晶体が濁るとピントの調整機能が悪化し、景色がぼやけて見えたりいつもよりまぶしく感じるなどの症状が発生する。

白内障の原因

原因のおおくは加齢によるもので、とくに50代以降の中高年層が発症しやすいとされる。ほかに、紫外線・糖尿病・ステロイド剤が原因となることもある。

白内障の症状

発症すると以下のような症状があらわれる。

  • ぼやけたり、かすんで見える

  • ものが二重にみえる

  • 目がつかれやすい

  • 視力が低下する

  • 太陽の光や車のライトがまぶしく感じる

上記の症状に心あたりがあったら、はやめに医療機関に相談してほしい。

手術での治療

一度発症するともとに戻ることはないが、手術によってほぼなおせる。日常生活に支障がでる場合は手術をおこなう必要がある。
濁った水晶体を人口水晶体である眼内レンズと入れかえることで、視力が回復する。眼内レンズは、一度入れれば永久に機能する。
手術方法にはさまざまな種類があるが、超音波水晶体乳化吸引術という手術が広くおこなわれている。
手術は10〜20分ほどの短時間でおわる。とくに心配がなければ当日帰宅できる。
手術後、見えかたが安定するまでには1〜2か月かかる。

白内障の予防

白内障を予防するためには、以下の点を注意したい。

  • タバコをやめる

  • 高血圧や糖尿病などに注意し、健康的な生活をこころがける

  • 野菜やくだものを積極的に食べる

  • 紫外線が目にはいらないように保護する

  • 目をきずつけないようにする

白内障の発症には、加齢のほかに生活習慣が影響することもあるので、健康的なライフスタイルにすることも予防につながる。

自覚症状を感じたらはやめの受診を

白内障を放置すると、緑内障などのほかの疾患の発見がおくれ失明する場合もある。また、白内障は時間がたつにつれ手術の難易度が変化する。

白内障は手術によってなおせる病気なので、視界がぼやけたり二重に見えるようになるなどの自覚症状を感じたら、はやめに医療機関を受診してほしい。


わたしの白内障体験 ーはじまりから完治までー

違和感

わたしがはじめて目に違和感をおぼえたのは2019年の夏。ある晩、運転しながら対向車のライトがやけにまぶしくみえて、いつもの何倍も注意しながら運転しなくてはいけなかった。それから数か月のうちに視界がしだいに白くかすみ、視力はどんどん下がっていく。
急な視力の低下でいちばん困ったのがやはり車の運転だ。右目のほうが悪かったのでバックで発進するときに右後方がよく見えず、ほかの車とぶつかりそうになることが続いたのだ。
さすがに危険なので眼科を受診すると、両目とも白内障にかかっているという。もうすこし進行したら手術を考えるよういわれたが、手術でなおる安心感よりも白内障を発症した原因が加齢だと知り、あらためて自分の年齢を自覚させられ落ちこんだ。

手術

わたしの場合は進行がはやかったようで、数か月たつと右目の症状がかなり悪化したため手術をうけることにした。


【白内障手術に使用する眼内レンズ】

人口の眼内レンズは直径6ミリでかたいものとやわらかいものがあり、かたいものはアクリル樹脂、やわらかいものはアクリル系かシリコン系でできている。機能の面では「単焦点レンズ」と「多焦点レンズ」の2つに大きくわかれる。

  • 単焦点レンズ 1点の距離にピントをあわせる(遠または中または近)

  • 多焦点レンズ 3点の距離にピントをあわせる(遠中近)

単焦点レンズは健康保険適用で、手術後はピントがあわない距離を見るためのメガネが必要。一方、多焦点レンズは健康保険適用外だが、手術後はメガネはほとんど必要ない。
なお、多焦点レンズについてはケースによっては適応できないこともあり、眼内レンズの選択は医師とよく話しあって決めること。


先の長い人生を考えると遠近が見えたほうが便利だからという理由で、わたしは多焦点レンズをすすめられた。多焦点レンズは費用が自己負担となるためまよったが、遠近両方が見えるなら老眼鏡が不要で便利だとおもい、最新の多焦点レンズに決定。
多焦点レンズを選んだことで、わたしの生活がどれほど変わるのかは想像できなかったが、自分のからだの中に人口のレンズを入れることがすこし怖くて不安だった。

手術は10分ほどで終わった。
はじめに点滴と目薬の麻酔をされ、ボーっとしながら「光が目にあたっている......まぶしい......いつはじまるのかな......」と思っていると、

「はい、終わりましたよ」と、先生の声。

え? なにも見えなかったし痛みも感じない。目をあけたまま手術の様子が自分で見えたら怖いなぁとおもっていたのに、ただまぶしい光しか見えなかった。その光を見ているあいだにすべてが終わっていた。

視力復活

術後すぐに視力がもどり安心する。しかも翌日には、おどろくことに10年以上わたしの友であった老眼鏡なしで、近くも遠くもはっきりくっきり見えるではないか!
なにより色のあざやかなこと! いままでの景色は白いベールがかかっているみたいだったのに。
ためしに右目をとじて左目だけで見ると、景色はまだ白く濁っている。手術した右目としていない左目の違いはあきらかだった。

しっかり見えるのは右目だけだが、それでじゅうぶん。老眼鏡なしで問題なくパソコンがつかえ、本が読める。車の運転も楽になった。

合併症

ひとつだけ気になることがあった。夜間に運転すると、信号がクモの巣のように見えてうっとうしい。
医師によると、眼内レンズに反射した光が散乱しておきる「ハロー・グレア」という現象だそうだ。白内障手術の代表的な合併症で、ドライアイも原因になるとのこと。多焦点レンズの数少ない欠点で、どうにもならないため慣れるしかないといわれてしまった。
どうやら手術前に合併症についての説明があったのだが、わたしが理解していなかったらしい。反省。

しかし、ハロー・グレア以外はすべて満足。スーパーへ買物にいけば裸眼で消費期限が確認でき、薬のこまかい説明も読める。Kindleで本を読むときに文字を拡大する必要もない。

完璧な視界

それから3年後、左目も悪くなってきたので手術をうけた。もちろん多焦点レンズ。見える景色がより鮮明になり、わたしの視界はパーフェクトになった。
この世界はなんて美しい色にあふれているのだろう!
そして老眼というわずらわしいものから開放され、わたしのあたらしい人生がはじまったのだ。

白内障のおかげ

白内障手術は痛みもなく日帰りですみ、おもっていたよりずっと簡単だった。そして想像以上にわたしの生活を変えてくれた。なによりも日常生活で老眼鏡が必要なくなったことがうれしい。
目は、高齢者のくらしの自由度を左右する大切なものなのだ。
歳をとったら、より快適に、より自由にくらしたい。
わたしは、白内障になって手術をうけたおかげで、いまのあかるく楽しい毎日をおくっている。

手術費用

わたしはアメリカ在住なので、白内障の手術はアメリカの医療機関でうけた。日本とおなじく多焦点レンズは保険適用外、片目の日帰り手術で多焦点レンズをふくめた自己負担額は、およそ4,000ドルだった。わたしにとって決して安い金額ではなかったが、かかった費用をこえるメリットに満足している。

【白内障手術にかかる費用の目安】

日本で白内障の手術をした場合の費用の目安は以下のとおりだが、レンズの種類や術式、また医療機関によってもことなる。また入院が必要になる場合は費用が別途発生するので、あくまでも目安として参考にしていただきたい。

◆ 一般的な保険適用手術である超音波手術における参考費用
 ・単焦点レンズの日帰り手術費用目安(片目)
   自己負担割合1割   約15,000円
   自己負担割合2割   約30,000円
   自己負担割合3割   約45,000円

◆ 多焦点レンズの場合はどの手術方式でも保険が適用されない自由診療
 ・多焦点レンズの日帰り手術費用目安(片目)
   超音波白内障手術   約400,000〜600,000円
   レーザー白内障手術  約500,000〜700,000円   


まとめ


白内障とは……

  • 水晶体が濁ってしまう病気

  • 原因のおおくが加齢

  • 症状は「目のかすみ」「目のつかれ」「視力低下」「まぶしさ」など

  • ほとんどが手術でなおる

  • 眼内レンズには「単焦点レンズ」「多焦点レンズ」がある

  • 健康的な生活が予防になる

  • 放置すると危険

50代をすぎて目がつかれやすくなったり、見え方がぼやけたりかすむ症状を自覚したら、はやめに医療機関に受診しよう。
白内障は手術でなおる病気なので、病気をはやめに知り適切な治療をおこなうことが大切である。

手術をうけることが決まったら、手術内容・眼内レンズ・手術におけるリスク・費用などについて、自分が納得するまで関係者とはなしあうこと。そして安心して手術をうけよう。

目は生活の質を左右する大切なものなので、おろそかにしないこと。
視界がクリアになれば、人生もあかるく楽しくなる!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?