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弱点は仕事になる!?吃音症克服で3000人規模のMCになるまで

吃音症が発症してから人前で話せるようになるまでにかかった年数

約25年


舞台や映像で役者として活動をした僕は、いつも吃音と向き合いながらの生活をしていました。


どうもおくあつです。

アクロバットを活かしたサーカスパフォーマーとして活動しています。その傍ら3000人規模のお客様の前でお喋りをするMCをしています。



実は僕、先に話した通り30歳くらいまで吃音症の症状に苦しめられ喋ることはおろか自分の名前すら言うことができませんでした。


『そんな僕がどうやってMCとして活動することができるようになったのか。』


コンプレックスを抱えている人に対してお伝えしたいと思い自分の体験を書きました。
本文は長くなっておりますが、最後までお読み頂ければ幸いです。


【吃音】人に言えないコンプレックスが生まれた瞬間


言葉が出なくなったのは小学3年生の頃。

「吃音症」という言葉を知らなかったので、突然言葉が出ないことをどう受け止めればいいかわかりませんでした。


治し方も練習の仕方もわからないので、苦しい思いをすると泣くことしかできなかった記憶もあります。
当時周りは小学生ですので、思ったことが口に出てしまうんですよね。
言葉がうまく出ない僕の真似をしてきます。
反論の言葉も出ないので段々と消極的になっていきました。

吃音症の主な症状は3種類


・連発(言葉が何回も出てしまう症状)
・伸発(言葉を伸ばしてしまう症状)
・難発(息が詰まってしまい言葉が出ない症状)

文字だけでは理解しづらいと思いますので、わかりやすい動画をご覧ください。
※注意点として、全ての吃音者ではないかもしれませんが、「自分たちは被害者」とか「社会に甘えたい」とか思っているわけではありません。向き合っているからこそ苦しんでいます。
それではどうぞ。

いかがでしたでしょうか?

全員が3つの症状があるというわけではなく、1つの人もいるし3つの人もいます。僕の症状はというと、「連発」と「難発」の症状が出ていました。

一番辛いのがなんと言っても難発・・・。
表現したくてもできないもどかしさが一番苦しいんですよね。


吃音症の症状は思春期に入ると強くなってきました。

「小さな成功の積み重ね」ならぬ「小さな不安の積み重ね」


人の目が気になり始める思春期。吃音症のことがさらに自分に重くのしかかります。
ついには自分の名前も言えなくなってしまいました。

すると、電話ができなくなります。
1度電話ができない体験をしてしまったら出ることも怖くなります。家の電話がなったら急いで逃げていました(笑)

自分の名前が言えなくなると今度は人の名前も言えなくなることもよくありました。
普通の会話では「なあなあ」とか「おい」で誤魔化せますが、学校の行事の時はそうはいきません。


体育祭での出来事。体操部のキャプテンだった僕は、全校生徒(約1000人)の前でクラス1人の名前を読んで「○○くん基準!体操の隊形に開け!」と言わなければいけませんでした。
これ皆さんの学校でもありました?(笑)

先生に断りを入れたんですが、強制的に決められてしました。

基準の生徒の名前が口から出ず、約1000人が目の前でザワザワしていたのを今でも覚えています。

吃音症にとって体育会系に多い「声出し」の練習は地獄


少年野球をしていた僕はゴリゴリの体育会系世代の人たちから教わっていました。

体育会系の教えも必要だと思うので否定はしませんが、当時の僕は嫌いで仕方ありませんでした。

練習終わりに
「〇〇小学校!!○年○組○○←自分の名前 ありがとうございました!!!」
とグラウンドの端っこに立っているコーチに声を発して合格がもらえるまで繰り返し言わされる謎の時間がありました。
もうストレスの塊(笑)

声を大きく出せるようになると肺活量も鍛えられたりしてスタミナがつくんです。大人になってからはわかるので当時のコーチたちは何も悪くはないと判断できますが、当時の僕からしたら25年くらい経った今でも不安のドキドキを覚えています。


一番やりたくなかった仕事を任される

僕の肩書きがMCになりかけたきっかけはある舞台でのこと。

1400名入る大きなショーにパフォーマーとして出演していました。
主催の大手タレント事務所の会長に
「MCはお前がやれ!」と言われ動揺する暇もなく

「盛り上げろ」

という単純明快な支持を頂き・・・。

「台本もないのにめちゃくちゃな!!」

と心の声が地球の裏に届きそうなくらい叫びました。

人生の中で逃げていたことはいつまでも追いかけてきてくるもんなんだな。と思った瞬間でした。

もう逃げられない。
逃げることよりも盛り上げるにはどうするかを必死に考えました。
「自分が吃ることよりも目の前の人が盛り上がる方法を」。

吃音者からくる相談

同じ境遇の人は集まってくるものでSNSを通して吃音に悩む相談もいくつか送られてくることもありました。
吃音に悩み人の特徴は「頑張り屋さん」が多い。

  • うまく話さなきゃ!

  • 完璧にしなきゃ!

  • 笑われたくない。

  • もっと努力しなきゃ!


そんな人が圧倒的に多いです。

そして皆さんお喋りが好きな人です。人と喋りたい!けど、喋れない!

だから悩むんですよね。
元々お喋りが嫌いな人や興味がない人は吃音を持っていたとしても気にしないでしょうから。


ここから自分の吃音症克服練習法や心構えなどを届けいたします。

  • 吃音に悩んでいる人

  • 緊張しやすく本来の力が発揮できない人

  • ストレスを抱えやすい人

誰にも相談できない悩みをお持ちの方はほとんどだと思います。
少しでも参考になれば幸いです。


吃音の克服の仕方

吃音の克服の仕方は、歴史も古く世の中に溢れていますのでご紹介しましょう。

吃音改善方法1 「セラピー(カウンセリング)」


吃音症は一般的に心の病気と診断されたりすることもあります。自分でお医者さんに診断書を書いてもらうことも可能です。障害を持っている人間だと診察されるよって受けられるサポートもあります。さらに吃音症という精神疾患を持っていると診断してもらってから心がホッとして落ち着く人もいるようです。

精神科医や言語言語聴覚士によるカウンセリングを受けながら心のつっかえをとっていくことで吃音症を緩和してくこともできます。
生まれつき吃音の人はいないとされていますので、記憶の中にある何かしらのきっかけを探っていき根本から取り除いていきます。

ちなみに私はカウンセリングは受けていません。

悩んでいた当時は誰かに相談するという考えが微塵もなかったので、一人で苦しんでいました。唯一お芝居の先生に吃音を持っていることを告白したのみです。

吃音改善方法2 「ひたすら練習」

練習も何も喋れないんだから練習のしようがないだろうが!!
と言われそうです。そうですね。ごもっとも。
そうなんです。練習しようとしても言葉が出ないことがあるんです。
しかもどうやって練習したらいいかわからない。

しかし僕はひたすら練習をして吃音症を克服しました。

ただ僕自身は、吃音症で苦しんでいる人に
「練習しろ!!」とは言えないです。

僕が過去に言われてとても苦しかった言葉だからです。

練習をいくらしても喋れなかったんです。
「おはよう」が言えなかったんです。
「ごちそうさま」が言えなかったんです。


吃音改善のためのひたすら練習
本や何か商品のパッケージの文字をひたすらに読み続けることをしました。
もちろん心の中ではなく声に出して。
大切なのは声を出す環境づくりです。

独り言だと吃りにくいと言われているので、誰もいない場所でひたすら読み続けます。
読み続けることによって自分が言いにくい言葉や反対に言いやすい言葉が発見できます。


吃音を治すためだけに入学した声優学校

「おはようございます」すらも言えない人間が授業なんて受けられるのか!?
と疑問視されます。

当時の僕は無知なことが良かった。インターネットがまだそこまで普及していなかったからこそ雑誌などで情報を得るしかありませんでした。

情報の少なさで何が良かったかというと、ネガティブな情報がなかったから情熱を燃やすことができたことです。

今はインターネット上には必ずポジティブなコメントがある反面ネガティブワードも溢れています。
行動するしか道がなかったのです。


吃音の改善アプローチ6選

声優の学校で2年間学び、舞台役者、ラジオ、MCをしてきた僕の経験も含め吃音者のための改善アプローチを公開いたします。

吃音者のためのものではありますが、他
1、緊張しやすくてあがり症の人
2、シャイで自分を出せない人
3、身体表現がしたい人(舞台役者など)
4、自分に自身が持てない人
にも精通するものとなっていますので参考にしてみてください。

1、体をゆらす



喉や口形だけで声の情緒を表したりすのはかなり大変です。
日本語は言葉の表現が他の言語に比べてたくさんある分顔や動きを付けずしゃべれるものに特化した言語だと言われていますが、感情がこもりにくい言語だとも言われているのはこのせいです。

あえて体を揺らして喋り始め『語頭』に頭を下に振りながらしゃべったり、手を指揮のように振ったりして自分の体を喋るタイミングに合わせていきます。

こうすることによって全体の喋るタイミングを図ることができ、単調に読むことを防ぐことができます。

しかし司会者やアナウンスするときなど体が見えている状態のときにあまり体を揺らしすぎると、聞いている側は言葉よりも体の揺れが気になりすぎて内容が入ってこないことがあるので注意です。


影アナウンスなど姿が見えないものに関しては有効だと考えます。

2、自分なりの抑揚のある喋り方でゆっくり話す。



先ほども言った通り日本語は表情筋を動かさないようにしても口を開かないようにしても言葉を伝えられる言語です。

ここの日本語の常識を崩します

あえて表情筋をオーバーなほど動かしゆっくりと話してみます。
多少周りに可笑しく思われても気にしないでおきましょう。

今、少し変に思われるのがいいか吃音症を治したいのか、どちらか選んでみましょう。

今が変わる時なんです。
音をあえて変えてみたりスピードを変えてみたりしてみてください。

最所から人前で話すのに抵抗があるという方は、スマートフォンなどの録音機能で自分の声を録音してみてもいいかもしれません。


3、自分の話し方の癖を知る


自分がどのようにして話しているのかどんなときに吃っているのかを把握するのはとても大切なことです。
自分の声を録音してみてまずは自分で聞いてみましょう。

自分の声を聞くのってトラウマ級に嫌なんですよね。
吃っている自分を再確認するみたいで・・・。

しかし吃音を治すための一歩だと思って試してもいいかもしれません。

4、声を出す習慣をつける


吃音を気にしている人は頭の中で喋りがちです。
喋るのが苦手でも喋ることが好きな人が多いです。

だから悩むんです。
好きだけどできない。悩みの種はいつもこれです。
できないことを気にしない人であればそもそも吃音であることに気がつかない人もいますからね。

一生懸命話す人が吃音に悩み苦しみます。
この声を出す習慣は本読みです。
普段本を読んでいらっしゃる方は1ページでも1行でも声に出して読んでみることをお勧めします。

このときに普通に読むのではなく先程お伝えしたように抑揚をつけなあがら読んでみましょう。

5、モノマネをしてみる


世の中には物真似をされる人がたくさんいます。
ということは物真似をされるくらいその人は特徴があるということですよね。

喋る方に特徴があっていいんです。
喋り方を気にしている分、自分の喋り方も気にしてしまう人がたくさんいますがあなたはそれでいいんです。
もっとしていいんです。

そこでおすすめなのはラジオパーソナリティや落語家 の真似をする。です。

ラジオ番組も落語もyoutube開けばいつでもどこでも聞けます。僕が学生だった頃はラジオを引っ張り出して闇雲に聞いていました。

そして面白いと思う人をひたすら聞くのです。

ここで大切なのは似てるかどうかは関係ないということです。
モノマネ芸人さんを目指しているわけではありませんのでそこは気にしないでください。

とりあえず自分の耳を鍛えるつもりで人の声色やリズムなどを観察してみます。


6、喋る相手のことを考える練習をする

喋る相手にどんなふうな感情を抱いて欲しいかを想定します。
笑ってもらいたいのか盛り上がってもらいたいのか
静かにしてもらいたいのか
話を聞いてもらいたいのか

これは意識を自分から逸らすためのものです。

僕自身まだまだ吃音に悩んでいるときに1400人の前でただ一言『盛り上げろ』という指令が下ったときに自分のことなんて考えていられませんでした。

とにかくどうにかして盛り上げないといけない。
目の前にいる1400人を。

不安しかなかったけど必死に考えていれば不安は不思議と消えていきました。

気持ちはもうやる気になっているんです。
逃げたい時は逃げればいいんです。
逃げるのは意外と簡単なんです。
やりたくないです。
変わってください。

と言えば大抵変わってくれます。

このときにまたこんな話を聞きます。
やめたと言ってもやめさせてくれないと。
それは端的にいうと真剣に捉えてくれていないからです。

あなたは真剣に頼んでないからです。
本当にやりたくないんです。自信がありません。二度とこの話は振らないでください。失礼します。と部屋を出ればいいんです。

アレルギーかのように脂汗を流しながら伝えることができれば逆に心配して謝ってくれます。

しかしこの記事を読んでくださっている方は今の悩みを克服してなんとかしたいと思っている方のはず。
そしてなんとかしてきた僕がここにいます。

僕自身時間がかかった分お力になれることがあると思います。


トラウマとの向き合い方

トラウマを認識できたら



まず自分にトラウマがあるということを認識している自分を褒めてあげてください。
ほとんどの人が自分の苦手なことを把握できていません。

なので改善をしたいと思っても何から始めていいかわからないのです。
この世は因果応報と言われていますよね。

結果と原因は相互関係にあり、行動は必ず返ってくるということです。
このことを踏まえ逆算していきます。

大半の人は現状だけを知ってどうなりたいかを考えていません。
これが、どのようにアプローチをしていいかわからなくなる原因です。

まずは知ることです。

どんな話し方をしている人がいるかを。
これが5番で話した真似をするです。

こんな風な話し方をしたいなあと思う人を探すことです。

トラウマとは

トラウマは信じられない出来事が起こったために現実を受け止められない。何が起きたのか、どういいのかわからい。茫然としてしまって恐怖や不安に駆り立てられる気持ちでいっぱいになることがある。
一部引用:文部科学省第2章心のケア

脳の処理が追いつかないうちに脳にダメージを与えてしまうことがあります。
幼少の頃にダメージを植え付けられるとなかなか払拭することはできません。


僕も皆さんと同じで吃音がトラウマだったわけですけども・・・と言うよりも吃音だったことにより周りの反応がトラウマでした。

ここで僕の忘れらない思い出をもう一つだけお話ししますと

中学生の頃の社会の授業中に教科書を読む機会があり「坂上田村麻呂」が読めなくて「たたt・・」となっているときに「貴様は日本語も読めんのか」と教科書で頭をポンと軽く叩かれたことがありました。

先生からしたらほんの冗談のつもりで言っただけかもしれませんがこれがショックで笑えませんでした。

なんでもないことなんですが悩んでいる人からしたらとても辛いことでした。

先生には悪気はないので何とも思っていませんが反面教師で誰が何の悩みを
持っているかわからないので気をつけるようにしています。


最後に

誰もが人には言えないような悩みを抱えています。
それは大きい小さいはそれぞれ違います。
その人によったら小さいかもしれないかもしれないが別の人からしたら大きなことなんです。

人の悩みについてはとても繊細なことなので安易に口にすることはできません。
今回は僕自身も長らく苦しんでいた吃音について記事を書かせていただきましたが吃音は未だに人に理解されにくい症状です。

悩みを打ち明けることもできない上に話せたとしても話せてるじゃん!と言われる始末。

吃音について話しても「私もよく噛むから気にしなくてもいいよ」と言われる。違うんだよ!!叫びたくなるが言葉が出ないから叫べない。

そんな吃音に悩む人は年齢に関係なくたくさんいる。
そんな理解されにくい悩みがある吃音者に向けて少し心が軽くなればと情報を発信したいと思います。

吃音者は生まれつき言語能力が高過ぎするために口頭での会話に支障が出る。
頭の回転が早すぎるため口がついてこられない。本当かどうかは置いといてこう言ってもらえると何だか嬉しくなる。

僕自身吃音症に苦しみながらMCになった男ですが、吃音症に苦しんでいる人は人にものを伝える宿命を持った人だと思っています。

苦しいですけどね。
僕自身そう思っています。

信じるか信じないかはあなた次第になります。
言い方を変えれば信じられる信じられるかはあなた次第になります。
心が固くなりすぎるとどんだけ周りが情報を流しても聞き入れることができません。
ただこれは言えます。


悩みがあることは向き合っている証拠です。戦っている証拠です


吃音は癖だから治るよ。声優になるための専門学校に入るための面談で学長に言われた一言です。知識が全くなかったからこそ衝撃を受けました。

治るんだこれ!!?って。治ること前提で向き合うことです。悩みは悩みのまま終わらせるのは勿体無いです。


あなたにしかできないことがあります。
物事に真剣に向き合う力が備わっています。
神様がこの世界に踏み込みなさいって言ってるんです。

神様を信じなくてもいいんです。
要は自分が納得できるものであれば何でもいいんです。
必ずできます。
なりたい自分になれます。
その力があなたにはあります。

真剣に悩む人じゃないと物事は手に入らないことばかりだからです。
力ある人はポンポン手にしているイメージがありますよね。
これがトラップです。


皆さんの目の前に現れる人は手に入れるまでの自分なりのシステムを構築した人です。
最初は誰もが同じなんです。だから私たちが目にする情報量が手に入り発信するやり方もわかっているだけです。

周りに勝手に振り回されないようにしましょう。
あなたはもう動き出しています。
あとは上がり続けるだけです。
応援しています。


作者

おくあつ
徳島県出身
幼少の頃から吃音症になり自分の名前も言えず悩む日々を過ごしてきた。
17歳に頃にこのままではいけないと思い吃音を治すためだけに声優を志すもオーディションは全て落ちる。体操部で培った身体能力だけで舞台役者になりラジオや映像も経験しながら言葉について向き合っていく。21歳にときにスタニフラフスキーシステムやストラスバーグ演技論と出会い、人の感情や行動について学ぶ。
さまざまなアプローチを繰り返す30歳のときに1400人の前でのMCを任される。現在はアクロバットパフォーマーとして活動をしながら3000名規模の前でMCとして活動中。





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