えびはらあつし

メーカーの東南アジア•プロダクトマネジャー | チェンマイ大学→バンコク8年→転職後…

えびはらあつし

メーカーの東南アジア•プロダクトマネジャー | チェンマイ大学→バンコク8年→転職後、クアラルンプール在住 | タイやマレーシアの衣食住エッセイ

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  • 食と旅のエッセイ- Sugar&Spice

    9年住んだタイ、今住んでいるマレーシア、旅や出張で訪れたベトナム、インド、シンガポールなどの食と人間模様のエピソード

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住みはじめた場所が好きになる瞬間

なかなか好きになれなかったクアラルンプール「やっぱり、なんだかんだバンコクの方がええよな」 妻と話をするたびに、口をついて出てくるのは、8年も住んだバンコクのことばかりだった クアラルンプールに住み始めて、もうすぐ8ヶ月が経とうとしている。仕事も、生活も慣れてきたものの、慣れ親しんだバンコクに、未だに心が奪われつづけている。はやく、クアラルンプールに馴染みたいと思えば思うほど、バンコクが私の気持ちを離してはくれない バンコク生活との比較がとまらない留学もしていたこともあ

    • 限りある時間。年老いた両親と過ごした春のひととき。

      「あと何度、両親と桜を見ることができるんやろか」 2年ぶりに日本に帰国した。偶然にも、桜は満開。桜を最後に見たのは、7、8年前だっただろうか。 海外ではたらきはじめてから、桜を目にする機会がほぼくなくなり、いつしか桜の存在を、気に留めなくなっていた。 風が吹くと花びらが、ひとつふたつと舞い踊る。花びらは、川の流れにのってどこか遠くへ消えてゆく。今、咲き誇る桜たちも、あと数日で散りさってゆくだろう。 そんな儚いいのちを眺めていると、「親との限りある時間」という現実に、胸

      • おいしいと感じるメカニズム。食文化の一致とダシが秘訣

        「あっ、これいけるかもしれへん」 クアラルンプールに住みはじめて、半年が経った頃、ようやく口に合うものを見つけて、嬉しかった。 苦痛だったランチの時間から解放された瞬間だった。 マレーシアの甘くて、こってりした食事がどうも苦手だった。日本人はたいてい好きなバクテー(角煮みたいな)も、甘くて漢方くさくて、おいしいとは思わなかった。 しかし、ひとつ口に合うものがみつかると、不思議なことに、ひとつふたつ食べられるものが増えてくる。 タイに住んでいた時も、おなじようなプロセ

        • 旅の視点が日常をもっとおもしろくする。

          「日常をもっと愛する旅ってなんなんだろう?」 旅を旅でおわらせるのではなく、帰ってきてから、日常を、そしてその先の未来をもっとおもしろくしていくための旅ってなんだろう? 車を運転しながら、ポッドキャストを聞き流していたら、その問いかけにピクっと反応した。 クアラルンプールに住みはじめて、もうすぐ3年目。マンネリ気味なわたしの習慣に風穴を開ける問いだった。 普段見過ごす扉を開けてみるあくる日、いつものように近所を散歩していた。 可愛がっている野良犬が、歩いて15分くら

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        住みはじめた場所が好きになる瞬間

        マガジン

        • 食と旅のエッセイ- Sugar&Spice
          7本

        記事

          学生も政治家もみんなとりこ!バンコクの昔ながらの中華麺

          やっぱり、あの店しかないよね。 プロイさんとオーさんは、互いの顔を見合わせてそう言った。 友人にさそわれて、パーティに参加した。知らない人ばかりのパーティでいささか緊張したが、優しいご夫婦からおいしいヌードル屋を教えてもらい緊張の糸がほどけた。 人見知りな私は、初対面の人たちと何を話そうかこまっていた。そうすると、友人がいきなり、タイのヌードル、すなわちクイッティアオについて話しはじめた。 クイッティアオは、タイ人にとっての国民食で、日本人におけるラーメンやうどんみた

          学生も政治家もみんなとりこ!バンコクの昔ながらの中華麺

          タイのバレーボール通訳体験記

          1月28日は大事な試合なんだ。通訳お願いできる? タイ•バレーボールリーグの予選終盤 ダイアモンドフーズ VS ナコンラチャシマ 現在1位と2位のチームがぶつかる大事な試合。予選通過1位を狙うナコンラチャシマの監督からの依頼だった。 チームには、井上琴絵選手という元日本代表のリベロがプレーしている。彼女の通訳をしてほしいとのことだった。 わたしは、42歳。通訳を生業とはしていないし、通訳経験もほとんどない。 一旦は、断ったが、ギリギリになってオファーをうけることにし

          タイのバレーボール通訳体験記

          ちくわのグリーンカレー。大阪在住タイ人のおすすめレシピ

          えっ、グリーンカレーにちくわはありなん? 本場のタイ料理が食べられると思っていたわたしは、がっつり日本の食材が入った、なんちゃってタイ料理にがっかりしたのだった。 さかのぼること20年前。わたしは、大阪は堺市にあるとあるタイ人の家にお邪魔していた。 その方の名前は、ヤイさん。友人のタイ語の先生であった。当時、わたしは、大学のフィールドワークで、在阪のタイ人の暮らしを調査していたのだ。 インタビューが終了すれば、おいともする予定だったが、なんと本場のタイ料理をご馳走し

          ちくわのグリーンカレー。大阪在住タイ人のおすすめレシピ

          バンコクのミシンおばちゃん。そのリメイク術に惚れた話

          このシャツ、ダボダボやんか! 柄に一目ぼれして買ったブロックプリントのシャツ。店で試着した時は、サイズもぴったりだと思いこんでいた。 お気に入りの柄を見つけたことに興奮していたのと、暑すぎて、冷静な判断ができなかったのだろう。 別のサイズに交換してもらう手もあったが、1000店以上もの店が立ち並ぶバンコクのウィークエンドマーケットである。 どこに店があるかも覚えていない。それに、気づいたのは月曜日。週末はクアラルンプール。万事休す。 ああ、なんか悔しい。 このまま

          バンコクのミシンおばちゃん。そのリメイク術に惚れた話

          近所のインド料理屋でカレーとロティの相性を教えてもろた

          カレーとロティにも、相性があるんだよ。 店員さんにそういわれて、ちょっとビックリした。 カレーだったらなんでも合うと思っていたからだ。 つい先日、 インドの旅が急遽、キャンセルになった。 仕事がはいってしまい、5年ぶりのインドも、泣く泣くキャンセル。 行けないとなると、ますます行きたくなるのが、人間の性。仕方ないので、あることを思いついた。 ---- 近所のリトルインディアへいこう! Google mapでおもしろそうな場所がないか検索。 目に留まったのは、イン

          近所のインド料理屋でカレーとロティの相性を教えてもろた

          自己紹介

          人生おもろかった 死ぬ前に、そう思えたらええな 縁のあった土地での暮らし、出会い 口にしたもの、見たこと、聞いたこと、 気づいたこと、発見したこと 書き留めておいて、読み返そう そう思い、noteをはじめました。 蛯原篤史。42歳 大阪府生まれ クアラルンプールで妻と暮らしています。 2003年〜1年間、タイのチェンマイ大学に留学。 2013年~ 9年間、タイのバンコクではたらく 仕事は、住宅設備関連のメーカーで、 東南アジアのマーケティングの責任者をしています。

          タイ人も大絶賛!自家製フィッシュボールの店

          このお店おいしそうやね そう言って、私は妻にGoogle mapのレビューをみせた。フィッシュボールとヌードルをだす、バンコクではどこにでもありそうなお店だった。 特段にレビューの数が多いわけでもなかったが、写真に映る「フィッシュボール」を見て、おいしいに違いないと確信した。 --- フィッシュボール わたしたちは、バイクタクシーにのって、見知らぬ路地裏にあるその小さな店を目指すことにした バンコクの下町にある小さな店バンコクの中心地サイアムから約10分。 年季の

          タイ人も大絶賛!自家製フィッシュボールの店

          異文化におもわず共感してしまう瞬間

          故郷の味が恋しい それは、古今東西、老若男女、国籍問わずみな同じ ペナンの食堂で、ホッケンミー(福建麺)をひとくちすすったら、そんな思いが頭をかけめぐった 知らない遠い昔の異国の人たちが、急に身近な存在になった瞬間だった 15世紀後半から数世紀にわたり、マレーシアに移住してきた中華系移民(ペラナカン)の歴史に触れたとき、なぜか他人事とはおもえなかったのだ ペラナカン文化との出会いクアラルンプールで働きはじめて、1年が経った頃、マラッカへ出張する機会があった せっか

          異文化におもわず共感してしまう瞬間

          バンコクの夜明けに友人と。フードランドのガパオライス

          アクシデントの朝「あのね、薬物所持の疑いで警察に捕まったんだ」 まだ、辺りは暗いというのに、枕元の携帯電話が鳴り響いていた。タイ人の友人であるココから電話がかかってきて、飛び起きた その日、ポーランド帰りのソムチャイを空港に迎えに行って、モーニングをしようと約束していた お互い仕事が忙しくて、なかなか会う暇もなく、全員が揃うのは、仕事がはじまる朝の束の間だけだった 寝ぼけていたので、何が何だかよくわからなかったが、とりあえず、タクシーで、警察署のあるラマ9に向かった。

          バンコクの夜明けに友人と。フードランドのガパオライス

          ずっと勘違いしていた、ホーチミンのニセモノのカニ料理店

          ホーチミン1区の名店 「俺らが通っていた店の方がニセモノやったん?」 5年以上通っていた店がニセモノだと分かって、空いた口がふさがらなかった ホーチミンへ行く度に、かならず立ち寄る店がある 1区のはずれにあるその店は、いつも地元の人で大賑わい 日本人も、タイ人も、フィリピン人の友達もみんなその店が大好き。わたしの仲間内では、ちょっとした話題の店なのだ カニの身がたっぷりはいったアツアツの春巻きとカニ春雨を、シャキシャキのレタス、スイートバジル、空芯菜に包んで食べる。キ

          ずっと勘違いしていた、ホーチミンのニセモノのカニ料理店

          関空のコンビニおむすび

          「モグモグ、ゴクゴク、プハァ〜やっぱこれやなこれ」 関西国際空港に到着すると、真っ先に立ち寄る場所がある。それは、一階にあるローソン。そこで、おむすびと緑茶を買うのが私の習慣。 大阪行きのバスに乗ったら、買ったばかりのおむすびを口いっぱいに頬張る。ついでに、お茶を一気にのみほすと、疲れはもう、一気に吹き飛ぶ。 海外移住で消えたおむすび アジアの国で、生活するようになって、もう10年が経った。日本に帰国できるのは、年に1回のみ。 はじめの8年は、タイのバンコク、その後、

          関空のコンビニおむすび

          転職のきっかけは突然やってくる

          突然のお誘いであわてるこんな仕事あるらしいで。受けてみたら? 私の斜め後ろにすわっている先輩が、求人サイトをみせながら、突拍子もないことを言ってきた。 忙しい時に限って、わけのわからん話題をふってくる。ちょっとめんどくさい先輩だ。 はいはい、また今度また、ききますわ、とお茶を濁して、その場を去った。 新しい世界を見てみたい家に帰って、シャワーを浴びている時、 ふと先輩の言葉が頭をよぎった。 「転職かあ。そういや、一時期考えてたなあ。明日、先輩に詳しい話し聞いてみよか

          転職のきっかけは突然やってくる