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電子書籍「カラー版ブラック・ジャック」で思うこと

 2007年から始まった「手塚治虫 全作品フルカラー計画」で、手塚先生の作品がカラー化され電子書籍として配信されています。このカラー化の作業は、手塚先生の元アシスタントだったスタッフが監修し、1ヶ月に約1,000ページのペースで進行しているそうです。これが完結すれば手塚先生の全漫画作品約15万ページがカラーになるとか・・(もう完結しているのかな?)。とにかく電子書籍(特に漫画)はカラーの方が売れるそうなのです。

ただし! 「ブラック・ジャック」の大ファンである私に言わせてもらえば、このカラー版は全く読む気になりません。(他の作品は分かりません)。なぜかというと、電子書籍向けとはいえ、いかにもデジタルっぽくて、手塚先生の独特の水彩を使った淡い色彩が全く再現されていないからです。

ブラック・ジャック電子書籍カラー版

▲ブラック・ジャック電子書籍カラー版
▲ブラック・ジャック電子書籍カラー版
▲ブラック・ジャック電子書籍カラー版


残っている手塚先生のカラー原稿(↓淡い水彩画タッチです!)

手塚先生のカラー原稿(水彩の濃淡が活かされている)

手塚先生のカラー原稿に比べ、今配信されている電子書籍版カラーはベタ塗りで、いかにもデジタルといった感じです。しかも肌色が汚くて、日本人の色彩感覚とは少し違うようです。(どうやら手塚プロはあくまでも監修で、実際に作業しているのは中国の工房だとか・・)

「ブラック・ジャック」に限っていえば、元の原稿の9割はモノクロです。それらを、手塚先生の没後、カラー化しようという意図は歓迎するのですが、もっと手塚先生独特の水彩画タッチを再現してほしいのです。

↓手塚先生の使用されていた画材は「さくらマット水彩絵の具」だそうです。

例えば、これは2009年10月29日発売の週刊少年チャンピオン48号では「ブラック・ジャック」特集として、記念すべき第1話「医者はどこだ」が手塚プロ協力のもとカラー復活掲載されています。これは大変に丁寧に作業されていて、水彩画タッチが見事に活かされています。せっかくカラー化するのなら、このくらい時間と手間をかけて全話をカラー化してほしいと思うのは私だけでしょうか・・?

2009年10月29日発売の週刊少年チャンピオン48号


第1話「医者はどこだ」カラー復活P2-3
第1話「医者はどこだ」カラー復活P-13


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