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テクノロジーと社会

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2019年8月の記事一覧

脅かされる文明の基盤~常態化する異常気象との闘いに遅れないために~

 日経電子版の記事【異常気象という新常態 経営リスク「見える化」 投資尺度に】は、温暖化などの異常気象が引き起こす自然災害の頻発などによって、企業が、常態化する異常気象への備えを真剣かつ広範に検討し、事業への影響の見える化と対策の立案・実行をする時代が来たことを教えてくれます。  この記事を読んで真っ先に思い浮かべたのは、少し前に出た同じ日経電子版の記事【インドの成長 水不足が阻む】です。    この記事では、スマホなどの生産拠点として製造業の中心都市となるはずだったイ

AI教師のポテンシャル

 日経電子版の記事【中国、AIがピアノ教師】は、とてもさりげない記事ですが、改めて『AI教師』という存在、そのポテンシャルについて考えさせてくれます。    教育の現場を大雑把に2つのタイプに分類するなら、様々な分類があるでしょうが、その一つに『集団授業』と『個人授業』があると思います。それぞれの主なメリット・デメリットを整理してみると―― ▶『集団授業』と『個人授業』(1)『集団授業』   ① メリット    ● 教師一人(のコスト)で多数の生徒に対応できる。    

キャッシュレスか現金か?~強固な現金の利便性~

 日経電子版の記事【消極的な「現金主義」、キャッシュレスにも付加価値追及 ゼロ金利世代は今(2)】は、意外にもデジタルネイティブに現金派が多い実態を浮き彫りにしています。  そこで、改めて、記事などからキャッシュレスのデメリットと現金のメリットを整理してみると―― ▶キャッシュレスか、現金か?(1)意外に多いキャッシュレスのデメリット   ① 選択肢が多過ぎて選べない。   ② 登録が面倒。   ③ 不正事案などの発生が心配。   ④ 使える店と使えない店があり不便。  

インフラツーリズム~知ってるようで知らないものの『驚異』~

 日経電子版の記事【ダム放水や「軍艦島」上陸 インフラ観光】は、インフラツーリズムのポテンシャルを論じた好リポートだと思います。  もちろんその知名度に温度差はあるかも知れませんが、記事に登場するダムや「第二海堡(かいほう)」、「首都圏外郭放水路」などに共通して言えることは、『知識として知ってはいるが(名前くらいは聞いたことがあるが)実際のところは何も知らない』という現代に特有の現象だと考えられます。……インフラとは違いますが、例えば、「何故パソコンの画面上のボタンをクリッ

インスタグラマーがブランドになる時~キレイを撮るから、キレイを創るへ踏み出す一歩~

 日経電子版の記事【小ロットの製品作りを支援 「マイクロD2C」が急伸】は、フォロワーが数千から数万人の『マイクロインフルエンサー』と『D2C(Direct to Consumer)』の親和性をリポートした好記事です。  そもそも、私達がキレイなモノ、心に刺さるモノ、アートと関わる第一歩は、そのキレイなモノに接して記憶する、記録する、『撮る』といった行為ではないでしょうか。そして、その体験が次第に能動化して、自ら『創る』段階に達するのが、次の大きな一歩だと考えられます。

『雲(クラウド)』か『端(エッジ)』か、それが問題だ……

 日経電子版の記事【新興勢「端」に懸ける 好調クラウドに限界説】は、クラウドコンピューティングとエッジコンピューティングの対比を考えさせてくれる好リポートだと思います。     記事では、ITの歴史における『集中』と『分散』の交代劇を踏まえた上で、今後重要性の増すエッジコンピューティングについて論じられます。 ▶ITの歴史における『集中』と『分散』の交代劇(1)『集中型』・・・・・・メインフレーム(汎用機)  ⇩ (2)『分散型』・・・・・・パソコン  ⇩ (3)『集中

変化を生き抜く『高速開発』の仕組みと課題

 日経電子版の記事【エレコム、不断の高速開発 デジタル機器で首位4割】は、年間4千もの新しいプロダクトを生み出す『高速開発』で変化を乗り切る企業のリポートです。  記事から『高速開発』のエッセンスを拾ってみると―― ▶『高速開発』とは(1)『メール上申』・・・商品化を決裁する役員会議を廃し、メール1本で            決断。 (2)『企画書のフォーマット』・・・製品の規格・コスト・販売計画等を            まとめてメール上申、根回しは一切なし。 (3

コンビニの魅力

 2月15日の日経電子版の記事ですが、【「悪魔のおにぎり」 120万個完売の破壊力 あなたの知らないコンビニ(2)】は、コンビニにおける食の分野の商品開発に関するリポートです。  そもそも、コンビニの最大の魅力とは何でしょうか?――24時間営業でしょうか?独自のスマホ決済サービスでしょうか?……どちらも、社会問題化すると、ブランド毀損となって自らの業績を悪化させかねませんが、だからと言って、それらがコンビニの魅力のコア部分かというと、それは明らかに違います。――小売店として

2タイプのイノベーション~現在課題と未来課題~

 日経電子版の記事【「野心的研究」に1000億円 テーマ、一点豪華主義で】は、国家的なイノベーションへの取り組み『ムーンショット』に関するリポートです。  この記事を読んで改めて思ったのは、ごく大雑把に、イノベーションには2タイプあるのではないか――『現在課題のイノベーション』と『未来課題のイノベーション』ということです。 ▶2タイプのイノベーション(1)『現在課題のイノベーション』・・・今ある課題への解となる                   イノベーション。 (

無限ではない電力とビッグデータの時代~フォトンの実現するデザインの革新~

 日経電子版の記事【「スマホの充電、年1回」NTT研究陣の野心】は、ビッグデータ時代の意外な盲点と、そこに隠されたチャンス、広大なブルーオーシャンに気付かせてくれる好リポートだと思います。     まず、記事から、ビッグデータ時代に起こるであろうシナリオを整理してみると―― ▶ビッグデータ時代に想定されるシナリオ(1)IoTによって、生成利用されるデータが指数関数的に増大。  ⇩ (2)データを送信・処理・蓄積するIT機器の消費電力量が爆発的に増大。  ⇩ (3)IT需

小説のメタモルフォーゼ~媒体と文体~

 日経電子版の記事【文字数半減 スマホが変えるウェブ小説 チャット形式も 多メディア展開に威力】は、スマホという媒体での読書行動が、小説の文体そのものに影響を及ぼしている状況をリポートしたものです。  単行本・雑誌・新聞・パソコン・スマホ……その媒体の持つ特性、あるいは制約が読書行動、読書という体験価値に微妙な差異を生じさせ、それが文体の変化=『文体の媒体への最適化』へと繋がることは、ある意味必然の事ではないでしょうか?  例えばスマホでの読書の場合―― ▶スマホでの読

ペットの世界のAI健康管理がやがて人間の世界にも……

 日経電子版の記事【体調管理、ペットにAIを トイレにセンサー、活動量計… 延びる寿命 生活習慣病防ぐ】は、ペットにまつわるサービスにAIを活用する取り組みに関するリポートです。  そもそも、人間にとってペットという存在が擬人化していくにつれ、様々なサービスが登場してくる背景には、おおむね4つの要素が絡んでいるのではないでしょうか―― ▶ペットをめぐる4要素(1)『ペットの家族化』・・・ペットは家族の一員。 (2)『ペットの長寿化』・・・人間同様に様々な生活習慣病のリス

IoT、観察か監視か?~イノベーションの先にあるビッグブラザーの影~

 日経電子版に掲載されたフィナンシャル・タイムズの【アップルウオッチをビッグブラザーにしないために】は、改めて第4次産業革命のコア・テクノロジー『IoT』の本質について考えさせてくれます。    IoTでデータを収集し、AIでそのビッグデータを分析する、この第4次産業革命のコアとなるアクセラレータは、その目的次第でいとも簡単に『観察』から『監視』へとその性質を変え得る、それこそが『IoT‐AI』の本質ではないでしょうか。  それを使用する人間、『IoT‐AI』のシステム

ほったらかし調理家電~『時短』から『時産』へ~

 日経電子版の記事【働くママはほったらかし調理 時短から「手が空く」に進化】は、具材を入れたら、後はスイッチオンして待つだけの「ほったらかし調理家電」に関するリポートです。  まず、記事などから、「ほったらかし調理家電」のメリットを整理してみると―― ▶「ほったらかし調理家電」のメリット(1)『導入』・・・小型でキッチンに置きやすい。 (2)『簡単』・・・具材を入れたら、後はスイッチオンして待つだけの        「ほったらかし調理」。 (3)『メニュー』・・・スマ