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テクノロジーと社会

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2020年1月の記事一覧

消費財にこそアジャイル開発

 日経電子版の記事【消費財も「アジャイル」開発 P&Gやユニリーバ】は、消費財の世界にも、ユーザーと密なコミュニケーションの取れるエコシステムの下で、短期間で実装とテストのイテレーション(反復)を回す『アジャイル開発』が広がりつつある状況をリポートした好リポートだと思います。  そもそも、消費財、消耗品の価値は、モノそのものというより、そのモノによってもたらされるコト=使い勝手・使い易さ・使い心地・使用効果といった体験価値にある、と考えられます。――消費財はモノですが、その

AIによる『好み』のアドバイスは何故刺さるのか?

 日経電子版の記事【米国で店舗の閉鎖が過去最高に 女性衣料が不振】は、「(記事より)米国で2019年の小売店の閉鎖数が過去最高となった模様」を詳細にリポートしています。  ネット通販が拡大し、さらには、リアル店舗でのようにアドバイスを受けたり、カメラでサイズを推定するなど、ネット通販にリアル店舗の良さを実装する施策が次々と打ち出されてくる中、リアル店舗はどのように対抗していけば良いのでしょうか?  ――例えば、①EC・リアル店舗で蓄積されたビッグデータをAIで解析し ⇨②

くら寿司に見る『伝統とデジタルの融合』

 日経電子版の記事【くら寿司、握れ海外市場 浅草の新型店で訪日客取り込み 帰国後の現地利用狙う】は、くら寿司が新たに開いた和の内装を特徴とするグローバル旗艦店をリポートしたものです。  イノベーティブ(革新的)なものが次々に登場する変化の激しい時代に、伝統的なものはいかにして生き残ってゆけばいいのか?  伝統の良さを生かしながら、現代人、そしてインバウンドの心にも刺さる尖ったサービス、ユーザーのインサイトに肉薄するサービスをどのようにデザインしてゆけばいいのか?  ――

チャットという名のビッグデータ~AIが導くメッセージの方程式~

 日経電子版の記事【チャット内容から書き手の「気持ち」分析 AI活用で】は、AIアシスタントを搭載したチャットアプリ(メッセージングアプリ)という新しく興味深いサービスに関する好リポートだと思います。  確かに、チャットアプリが普及し、コミュニケーションの頻度が増大してくると、そのメッセージに含まれる感情や情報が正確に伝わっているか、という事が大きな問題になってきます。 ▶メッセージ=感情+情報       ⇨正しく伝えられるか?       ⇨正しく受け止められるか?

口コミvs.AI~『好み』を発見するAIのポテンシャル~

 日経電子版の記事【飲食店選びはAIに丸投げ、個人に合わせおすすめ】は、自分で口コミから『好み』の店を見付けるスタイルから、AIによるレコメンドへと変わり出した潮流を見事にあぶりだしていると思います。  まず、記事などから、口コミの問題点とそこにAIを介在させることによる効果を対比してみると―― ▶口コミvs.AI(1)口コミの問題点   ① たとえ口コミに信用できる高評価が投稿されていたとしても、    その投稿者と自分の嗜好が同じでなく違っていては意味がない。  

サスティナビリティとディスラプション

 日経電子版の記事【エネルギーバトル 電力、代わる主役(上) 技術が変える供給網、大手介さず個人で融通】は、再生エネルギー(自然エネルギー)のテクノロジーとIT(情報技術)によって、個人間・地域内で電力を自在にやりとりできるようになった現状をリポートしています。  まず、記事から、新旧電力のビジネスモデルを対比してみると―― ▶新旧ビジネスモデルの対比●電気は、需給バランスが崩れると停電する。 ⇩ (旧来のモデル)電力会社が、巨額の投資で多くの巨大発電所と長大な 送電網

『テック化』でイノベーションを

 日経電子版の記事【肉、旅、トイレ…全産業に「テック化」の波】では、世界最大級の技術見本市「CES」を題材に、フードテック・エドテック・ヘルステック・リーガルテック、等々……あらゆる産業に広がる『テック化』の潮流がリポートされています。  そもそも、AI+IoTをコアなアクセラレータとする現在進行形の第4次産業革命の時代は、文字通り『イノベーション(革新)の時代』であり、長年にわたって未解決であったり、俄かに顕在化した社会課題へのソリューションとなる、今までにない全く新しい

百花繚乱のディスプレー~最新のディスプレー技術がリアル店舗を変える!~

 日経電子版の記事【米小売り、ITでアマゾンに反撃 冷蔵庫表面にディスプレー】は、アマゾンなどのネット通販に対抗すべく、IT投資でCX(顧客体験)の向上を図るリアル店舗の動きを、最新のディスプレー技術に焦点を当てて追いかけたものです。  最近、TV、ニュースなどを見たり、実際に商業施設に足を運ぶと、ITによって顧客の利便性を向上させ巻き返しを図るリアル店舗の動きがますます活発になってきている感がありますが、さしずめ、最新のディスプレーを用いたサービスは、その先頭を走っている

いかにしてイノベーションを成し遂げるか?

 日経電子版の記事【エンジニア料理人の発想 0度で火入れ、調理ミリ単位 世界最速三つ星シェフが語るイノベーション(上)】は、「(記事より)2008年にオープンするや、僅か1年5カ月でミシュラン史上最速の三つ星に輝いた「HAJIME」」にイノベーションの何たるかを探る好リポートだと思います。  この興味尽きせぬリポートを読んで気付かされるのは、記事が料理を題材としていながら、そこに浮かび上がってくるもの、仕事に臨む考え方や姿勢といったものに、広くビジネスの世界、スタートアップ

企業のメタモルフォーゼ~米ネットフリックスに学ぶ『変化対応』~

 日経電子版の記事【Netflix「ディズニーがやらない」に勝算】は、米ネットフリックスの企業戦略を、自社のプロダクト(モノ・サービス)を、顧客ニーズに合わせ、かつ競合と差別化することで、顧客の記憶にユニークに位置付ける『ポジショニング』の観点から説いた興味深いリポートです。  この記事を通読して強く印象に残るのは、ネットフリックスが、その時々の顧客ニーズ、社会の変化、競合との差別化の中で、常に変化してきた、その『変化対応』、企業のメタモルフォーゼの歴史です。『変化対応』は

『革新の時代』の企業経営~ローンチしてコミットメントする~

 日経電子版の記事【歴史を創る起業家の条件 より良い社会のために】は、新たなプロダクト(モノ・サービス)を世の中に送り出す企業の責任を問うた骨太のリポートだと思います。  そもそも、AI+IoTをコアなアクセラレータとする第4次産業革命の時代は、文字通り『革新の時代』であり、今までにない全く新しいプロダクト(モノ・サービス)が次々と世に送り出されてきます。  そして、そのプロダクトがイノベーティブであればイノベーティブである程、その影響は社会の様々なレイヤー(階層)に波及

プリンターのイノベーション~アイデアがプラットフォームになるまで~

 日経電子版の記事【ものに印刷、予想外のヒット リコー開発物語 リコー携帯プリンター開発(上)】・【「開発中止」跳ね返した顧客の声 リコー新市場開拓 リコー携帯プリンター開発(下)】は、イノベーティブなリコーの携帯型プリンター「RICOH Handy Printer」のワクワクするような開発物語です。  2本の記事を通読して感じるのは、この画期的な携帯プリンターの開発が、アイデアの段階からプラットフォームへと至るまで、アイデア⇨マーケティング⇨プロモーション⇨プラットフォー

BMI(ブレーンマシンインターフェース)、どうやって実現する?

 日経電子版の記事【画面の中にも「私」 分身が買い物、アイドル創造】は、人間の肉体的・知覚的な限界を超える「超人」テクノロジーに関する大変興味深いリポートです。  人間の知覚に関わる未来のブレークスルーと言えば、やはり、何と言っても『BMI(ブレーン・マシン・インターフェース)』、人間の脳と機械を何らかの手段で連携させて、頭で考えただけで機械を動かす、思考で機械を動かすテクノロジーだと思います。  問題は、どうやって脳と機械とを連携させるかですが、例えば脳に直接電極を埋め

ユニクロに学ぶネット通販の利便性向上~『新EC(ニューEC)』の潮流~

 日経電子版の記事【ユニクロ、ネットで悩まず服選び AIやアプリ強化】は、国内ネット比率を現在の3倍に高めるべく、様々なデジタル技術を駆使するなどしてネット通販の利便性に磨きをかけるユニクロの施策をリポートしたものです。  そもそも、リテール(小売)の2大形態であるリアル店舗とネット通販、オフラインショップとオンラインショップには、それぞれに一長一短があって、なかなか消費者の「こんなことが出来たらいいのに」という買物体験のインサイトに肉薄できていないのが現状ではないでしょう