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テクノロジーと社会

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#カルチャー

ポケモンGO、やっぱりそうだったか!

 日経電子版の記事【ポケモンGO 始まりはエープリルフール ポケモンGOのつくり方(1)】は、多くのユーザーの心に刺さり大ヒットしたポケモンGOの開発にまつわる、とても興味深い内容です。  私は、この記事の肝、とでも言うべきくだりは、次の一節だと思います―― そこに流れていたのは「ポケモンチャレンジ」と題された動画で、スマホを手に岩山や砂漠を探検するひとたちの姿だった。岩陰にスマホをかざすとポケットモンスターのキャラクターが画面にあらわれる。ボールを投げてポケモンを捕まえ

3Dプリンティングが変えるメーカーとユーザーの距離

 日経電子版の記事【3Dの技術活用 アジアは注力を ビベク・パタク氏 国際金融公社東アジア太平洋地域担当ディレクター】は、改めて、第4次産業革命のアクセラレータ『3Dプリンティング』のポテンシャルを考えさせてくれます。  文字通り、物質を積層的に(3次元に)プリントしてモノを作る『3Dプリンティング』は、テクノロジーの進歩と共に、その基本的な概念でできるコトが増えていけば、驚くべき技術革新『ディスラプション』となることは間違いありません。  その最大の特徴は、例えれば何も

『ワンシーズン売り切り』の呪縛~ファッション業界に示された一つの道標~

 日経電子版の記事【ワークマン、当たるデータ経営 正確な予測と自動発注】は、新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の成功に関するリポートですが、見方を変えると、慢性的な過剰在庫に苦しみ、大量廃棄の社会課題が問われるファッション業界に一石を投じる内容を含んでいるように思います。  そもそも、衣料を扱う『アパレル業界』(製造・流通)という言葉が、流行というニュアンスを含んだ『ファッション業界』という言葉とほとんど同義で扱われていること自体が、いかに『アパレル業界

食の3Dプリンター

 日経電子版の記事【柿の種を自分好みに調合、亀田製菓が専用装置】は、とてもさりげない記事ですが、『食の未来』を予感させるような内容を含んでいます――それは、『食のカスタマイゼーション』です――。     普段、私達は、外食でレストランに行ったり、加工食品を買って帰った時に、その味にちょっと残念な思いをする事が少なからずあります。理由は色々あるでしょうが、その一つ、最も大きなものに「自分好みでない」という現実がないでしょうか?――もっと辛ければいいのに、もっと大盛ならいいの

創作現場の遺伝子組み換え問題

 日経電子版の記事【J-POPやアニメ、AIにお任せ 創作活動を手助け】など、ここへ来て、AIを創作活動に活用する事例が数多く報告されるようになってきています。  このような報道に接して、最近よく考えるのは、「作者は一体誰なのか?」という素朴な疑問です。例えば―― ▶ 創作にAIを活用すると、『作者』は誰かという  問題が……① 例えば、AIを使って俳句をいくつか作り、その中の良さそうなものを  少しアレンジして発表した。その際、AIを使ったことには触れずに、自分  の名

コモディティ化の呪縛~誰も何も考えなくなった時にチャンスが~

 日経電子版の記事【感動体験を売る バルミューダ社長、家電ヒットの極意】は、コト消費の時代のモノづくりのあり方を見事に言い当てていると思います。     そもそも、第4次産業革命の時代は、テクノロジーの進歩によって、モノの高度化+均一化+低価格化というコモディティ化が進行すると同時に、消費者の体験重視のコト消費が進行する時代です。  そこでは、消費者は、自らの生活の大部分はコモディティ化したモノの利用で満足しつつ、ある部分では徹底的に体験価値にこだわる、と言う現象が起き

スタートアップと協業できるエコシステムとは

 日経電子版の記事【スタートアップが評価する大企業、1位はKDDI】は、企業がスタートアップとの協業を通してオープンイノベーションの果実を獲得するには、どのような点に気を付けなくてはならないか、改めて考えさせてくれます。  一口にスタートアップとの事業連携と言っても、実際に双方の歯車が噛み合わず、結果が出せなくては意味がありません。記事から、参考になるヒントを拾ってみると―― ▶スタートアップとの協業で留意すべきこと(1)『出資だけではない連携』・・・単なる出資だけでなく

リユースのラストワンマイル

 日経電子版の記事【中古品、近所で売れる マンション玄関や喫茶店】では、2018年10月に施行された改正古物営業法によって、買い取り場所の規制が緩和され、車両型移動式店舗・大規模マンションのエントランスなどでの買い取りができるようになった状況がリポートされています。  この状況は、記事にもあるように、リユースを巡る環境を著しく改善するのではないでしょうか。  リユースを巡っては、積極的に不要になった中古品を売り出す人がいる一方で、消極的な人が多数存在するのは間違いない、と

インターネットの紡ぐ文化~魅力の再発見と多様性~

 日経電子版の記事【「観る将」増やした将棋中継 携帯配信で伝える迫力】は、昨今の将棋ブーム、「観る将」に果たしたインターネットの力を物語るリポートです。  このところ、SNSをはじめとしたインターネットの負の部分――ディープフェイク・フェイクニュース・ヘイトスピーチ・ステルスマーケティング・フィルターバブル、等々――がクローズアップされがちですが、本来、誰もが比較的容易に情報発信できるネットの世界、①低コストと②双方向性、そして③モバイルでの利用を顕著な特徴とするデジタル

『ユメ消費』~コト消費の先にあるもの~

 日経電子版の記事【仮想アイテムが高額化 100万円のデジタルドレスも】に登場する9500ドルのデジタルドレスには驚かされます。実際に手に取ることの叶わない(もちろん着ることの出来ない)バーチャルなドレスが9500ドルとは……これは、もはや『コト消費』の先を行く『ユメ消費』と言えそうです……。夢を売ると言えば、SF映画の「トータルリコール」を思い出しますが、そんな世界に一歩近付いたかのようです。  ここで、仮に『ユメ消費』なるものを他の消費形態と対比してみると―― ▶消費

『観光』からの脱皮~ sightseeingの価値が観覧から体験にシフトし、伝統が保存される~

 日経電子版の記事【白米千枚田 棚田と海が織りなす景観(石川県輪島市) 映える!】は、改めて、観光(sightseeing)のあり方が単なる『観覧』からより深い『体験』へとシフトしている様を教えてくれます。  記事に登場する白米千枚田の事例では、オーナー制度という仕組みが導入されることで、会員が田植えや草刈りなどを『体験』出来ると同時に、『保存活動』が支えられている状況がリポートされています。  観光客が観光に求める価値が、単なる観光地巡りから、より深くその地に根差した生

イーロン・マスク氏の傾聴すべき一言

 日経電子版の記事【ゲームの祭典「E3」閉幕、イーロン・マスク氏も登場】は、ゲームの祭典「E3」に関するリポートですが、登壇したマスク氏のゲームとは直接関係のない 「余談」にキラリとしたものを感じます。  そのくだりを引用すると――  開発中のピックアップトラック型EV(電気自動車)についても「万人受けはしなくても自分自身がほれぼれするものをつくりたい」と言及し、会場を沸かせた。  この発言に秘められたスキーム、プロダクト(モノ・サービス)についての基本的な考え方を私な

おなかの赤ちゃんと模擬会話⁉~会話しないものと会話できるアプリ~

 日経電子版の記事【バイエル薬品、おなかの赤ちゃんと模擬会話できる無料アプリ】には、最初タイトルを見た時ハッとさせられました――おなかの赤ちゃんと会話⁉――。  残念ながら、記事を読み進めると、出来るのはあくまで『模擬会話』で、実際の自分の赤ちゃんと紐付けられるデータは「出産予定日」のようです。  IoTのさらに進んだIoE(Internet of Everything)の世界では、人間の体もインターネットと繋がるため、例えば非侵襲的な安全なセンサーなどでおなかの赤ちゃん

aibo(アイボ)に何を教えるか?

 日経電子版の記事【アイボ1歳、ちょっとお役立ち 「見守り」自然に】によれば、ロボットのペット、癒しのアイテムとしての性格の強かったaiboが、少しだけ『実用』へと舵を切ったとのことです。  記事で紹介されているのは見守り機能ですが、確かに、一人ひとりのユーザーのきめ細かなニーズに応えていく事が、コト消費のあり方だとするなら、aiboを通して『癒し』体験以外の体験価値を創出していく事は、重要な課題に違いありません。だとするなら、いくつか指摘できることがありそうです―― ▶