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テクノロジーと社会

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#ニュースで語る

アナログに使えるデジタル機器~プロダクトにおけるデジタルとアナログの融合~

 日経電子版の記事【紙のように書ける電子ペーパー、スマホ・Macと連携】を見ると、電子ペーパーもついにここまで来たか、との感を覚えます。    電子ペーパー「QUADERNO(クアデルノ)」、記事でも十分そのユーザビリティーが伝わってきますが、ネットで公式サイトを探して見ると、さらに迫力があり、企業の力の入れようが伝わってくるようです。  例えば、パソコンから資料のファイルをコピーしてクライアントとのミーティングに出かけ、指摘事項などを直接専用のペンで書き込める。その体

オープンイノベーションの時代のオープン戦略とクローズ戦略

 日経電子版の記事【カリフォルニアの大農場主、黄金で破滅する  あの天才がなぜ転落?(第1回)】・【大農場主サッターを滅ぼした「クローズ戦略」  あの天才がなぜ転落?(第2回)】は、19世紀半ば、カルフォルニアのゴールドラッシュのまさにその砂金が発見された土地の大農場主が、予想に反して没落していく経緯を経営学的に読み解いたもので、プチ伝記を読むような醍醐味も併せ持っています。  一読して思うのは、大農場主サッターのケースは決して他人ごとではない、という事です。――自分の所有

AIのセンスとの付き合い方

 NIKKEI STYLEの記事【AIのセンス、チェックしてみた 眼鏡や服のコーデ 】は、AIが、人間のセンスに関わる分野、ファッションや味覚の好みなどをアドバイスしてくれるサービスについてのリポートです。AIが提供してくれる『センス』のアドバイスをどのように受け止めたらよいのでしょうか?  記事では、AIによる似合い度の判定を実施している眼鏡店で、記者が私物も含めた何本かの眼鏡を試しています―― ▶眼鏡店でAIのセンスをチェック① 別の一流専門店で社長に薦めてもらった記

アジャイルで大企業が「鬼に金棒」に~日本型モノづくり企業のパラダイムシフト~

 日経電子版の記事【パナソニック、デザイン経営で変わるか 存在問い直し】は、第4次産業革命の時代に『イノベーションを起こし続けられる会社』への脱皮を図る大企業に関するリポートです。一般論として、「テクノロジーはあるけど、アイデアがない」、そんな大企業病から脱却するにはどうしたら良いのでしょうか?  『モノづくり』の厚いインフラ・質量ともに豊かな技術リソースがありながら、ユーザーの心に刺さるアイデアを見い出せず、イノベーティブな尖ったプロダクト(モノ・サービス)を生み出せない

ユニット化するモビリティー~近未来の車は皆トラックになる!?~

 日経電子版の記事【MaaS時代の自動運転車、居室を車体から切り離す 自動運転が作る未来(36)】は、自動運転の未来を展望したリポートですが、そこに登場する『分離型車両』には興味深いものがあります。  『分離型車両』は、『ユニット化したモビリティー』、あるいは宇宙ステーションのように『モジュール化したモビリティー』とでも呼べるものです。記事に登場するユニットをピックアップしてみると―― ▶『ユニット化したモビリティー』① 『駆動(走行)ユニット』・・・スケートボード ②

『コト消費』経済の本質は『時間』の争奪戦

 日経電子版の記事【〈ヒットのクスリ〉「番外編」ドラマ・マンガで コンテンツ膨張 余暇争奪】は、興味深い事例を取り上げて『コト消費』の本質に気付かせてくれる、とても示唆に富んだリポートだと思いました。  記事を読んで改めて考えると、『モノ』を売ってしまえば、後はユーザーが使おうが、しまいっ放しにしようが、ユーザーの使用時間は関係ない『モノ消費』と違って、『コト消費』は、ユーザーの使用時間そのものが売上に直結する、というのが本質だと捉えられそうです。その意味で――  『コト

プロダクトが定番になるか衰退するかの分岐点

 日経電子版の記事【日清食品、定番カップヌードルを大切にする理由】は、『定番化』の本質に迫る興味深い内容です。  企業にとって、定番商品、会社の顔がある事は、その安定した収益で新規事業にチャレンジできるなど、計り知れない価値があります。イノベーションによって今までにない価値のあるプロダクトを生み出し、PLC(プロダクトライフサイクル)の導入期⇨成長期を経て成熟期に至った後、そのプロダクトが定番化するか衰退期に入ってしまうかの分岐点はどこにあるのでしょうか?―― ▶プロダク

グローバル社会を生き抜く3つの視点

 日経電子版の記事【トランポノミクス 3つの誤算 スティーブン・ローチ氏】は、様々に報道され論評されているトランポノミクスを一刀両断にした、きわめて明快、かつ痛快ですらある論陣を張っています。  トランポノミクスはさておき、記事の視点は明晰で、一般論として、今というグローバル社会の動向を見極めるのに欠くことの出来ない視点を教えてくれているように思います。  ソーシャルメディアの持つ負のポテンシャルがフェイクニュースやディープフェイクの氾濫を招き、複雑化する社会の構造に隠れ

復権するプロダクト~レコードは何故蘇ったか?~

 日経電子版の記事【レコード復権、若者つかむ 10年で生産枚数11倍に】は、文字通りV字回復するかの勢いのレコードに関する興味深いリポートです。  絶滅の危機かと思われていたレコードの復権の裏には何があるのか、何がユーザーの心に刺さっているのか、結局は顧客体験価値の問題に帰結すると思われます。そこで、改めて、レコード・CD・ストリーミングの体験価値を整理してみると―― ▶体験価値の対比(1)レコードの体験価値   ① アナログ音源特有の音質   ② 音楽を聴くための一連の

顧客の不満と満足を把握する~PDCAサイクルの燃料となるデータを求めて~

 日経電子版の記事【消費者の心理と行動(3) 不満が表面化した時にとる行動】は、増税時の価格設定が消費者の行動に与える影響を分析したものですが、記事で紹介されているウィルキーの『不満反応5段階説』というのが面白いです。  まず、記事から『不満反応5段階』を整理してみると―― ▶『不満反応5段階』(レベル1)我慢 (レベル2)不買(店舗遷移・ブランド遷移など) (レベル3)悪い口コミ (レベル4)クレーム(販売店・メーカーへ) (レベル5)外部機関への告知(行政・マ

オルタナティブ・データ~その有用性と情報格差~

 日経電子版の記事【位置情報やSNS投稿、新顔データで投資先読み  欧米先行、価格は高騰】は、改めて、従来型の公式データなどの公表を待たずに、全く別の新しい情報源から一早く動向を把握する、オルタナティブ(代替)・データについて考えさせてくれます。  そもそも、情報活用の鉄則の一つは、他者よりも一早く精度の高い情報を収集して、素早い対応を起こす事だと考えられます。  分かり易い例では、株の高騰に繋がるような情報を一早く仕入れて(もちろん合法的に)、まだ株価の上がり始める前に

宇宙開発、最後の有人月面着陸から46年を経て

 日経電子版の記事【新計画「アルテミス」、推進力は国威より新技術】は、あの「アポロ計画」の再来を期す「アルテミス計画」に関する興味深いリポートです。  私が、この記事で最も考えさせられたくだりは、次の一節です―― 最新の世論調査では米国民の44%が有人月飛行に否定的という。  ――これを読んで思うのは、むしろ、「何故46年以上も有人月面着陸が行われていないのか?」という素朴な疑問です。半世紀近くというのは、あまりにも長すぎる……。  そこで、改めて、その理由、「46年

ダイジェスト版の難しさ

 日経電子版の記事【博報堂DYMP、ドラマのダイジェスト版を自動生成】によれば、AIにできるコトがまた一つ増え、ドラマのダイジェスト版の自動生成 が可能になったとの事です。  この記事を読んでつくづく思うのは、AIに限らず、人間が行う場合も同じですが、動画や文章など、様々なコンテンツのダイジェスト版を作成する難しさです―― ▶ダイジェスト版を作成する難しさ(1)『趣旨が変更されていないか』・・・ダイジェスト版を作成するために    著作物の一部を切り取る際、切り取る範囲を

『フレキシブル・シンキング』~柔軟な発想が生むイノベーション~

 日経電子版の記事【駆除対象のウニ、キャベツで養殖し食卓へ 小田原市漁協】は、本来はウニの食べ物ではないキャベツなどで養殖する、という柔軟な発想、まさに『フレキシブル・シンキング』の好例だと思います。  柔軟な発想が欠かせないイノベーション、でも、どうやって『フレキシブルシンキング』を実現すればいいのか?――この記事でリポートされる事例は、格好のケーススタディーになりそうです―― ▶キャベツでウニを養殖する(第1ステップ)ウニを巡る実態は・・・・・・  ●高級食材だが、上