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『天使の翼』第13章(10)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 公園まではアッという間だった。ビルとビルの間をすり抜け、最後に大きく羽ばたいて、わたし達は湖畔の緑地に着地した。
 これは後で知ったことだけど、ここハイアンコーナーの街は、死火山となったカルデラの真上にできた街で、湖はその中央にあり、その湖畔に公園はある。実に不思議なことに、あのわたし達が最初に訪れた鉱山町、そしてその他多くの高原地帯の村々での時と同じように、人々は、わたし達、わたしとエリザがどこに降り立つのか前もって予告されていたかのように、その公園に集まっていた――公園の中央部にわたし達が着地するのに十分なスペースを空けて――。
 わたしは、片足を上げて、颯爽とエリザの左側へ飛び降りた。そのまま足早に堂々としたエリザの顔の前へと進み出る。
 わたしは、手のひらを広げて、両腕を高々と空へと向け突き上げた。
 「わたしは、風のデイテ‼」
 既にわたしの存在は分かっていたはずだけど、改めて「おー」という感じの静かなどよめきがさざ波のように広がっていった。
 「ハイアンコーナーの皆さん、こんにちは‼」
 わたしは、とっておきの笑顔を振りまき、そして、ようやく伸びだした髪をさわやかな高原の風になびかせて、手を振りながら、エリザの周囲をぐるっと一周した。
 「デイテー!」
 わたしを出迎える歓声は、どんどんどんどん大きくなっていった。
 

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