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『天使の翼』第12章(99)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 エリザが、長い首を大きく曲げて、わたしの耳元、顔のすぐそばに、自分の大きな顔、大きな右目を寄せてきた。彼女の肌のぬくもりが感じられる……

 『妙ね。これでお別れだと思ってたんだけど。私、デビルの背に乗って旅する吟遊詩人、風のデイテって絵柄の一部になっちゃったのかしら』

 わたしは、幾分すまなそうな目で彼女を見上げていたと思う。

 エリザが、大きな目をぱちくりさせた――ウインク⁈

 『安心して。あと三、四回なら付き合ってあげる。ギャラは、一日二回の食事に特大の鶏肉10匹分ってとこで、どう?』

 わたしは、大きく頷いてから、彼女の逞しい首に腕を回してぎゅっと抱き着いた。
 わたしたちの背後では、わたしとエリザ、人間とマウンテンデビルの友情という稀有なシーンを目撃した人々の歓声がこだましていた……


(第12章 完)

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