客層ボタンの素朴な疑問

 この記事「消えゆくコンビニ客層ボタン 生みの親はどう見るか」を読んで、改めて客層ボタンなるものについて考えてみることにしました。客層ボタン自体は、何の記事で見たのかだいぶ前から知っていましたが、存在を知ってしまうと、どのように打ち込まれているのか知りたくなるのが性というもの。もともとあまりコンビニは使わないですし、いつもいつも意識して見ていた訳ではありませんが、カウンターの前に立っていても横から見えるそれは、「えっ!」「うそ……」というのが実態で、あえて統計的な数字は出しませんが、あまり信用できるものではないな、というのが個人的な感想です。

その点も含めて、考えれば考えるほど、客層ボタンには疑問がつきまといます――

① 人手不足のなか、少しでも作業を軽減しようというのは人間の素直な感情で、その場のUXに直結しない客層ボタン操作は、真っ先に省略される、「適当打ち」されるようになると考えられる。【客層ボタンのデータは精度が低い】② 人間の年代を人が判定するのは、意外に難しい作業ではなかろうか。人によって見方も違うし、元来無理がある。むしろAIの方が正確に判定するかも知れない。【客層ボタンのデータは精度が低い】③ 客層ボタン操作は、たとえそれにかかるのが1秒だとしても、業務都合で来店客を待たせるという問題を抱えている。ピークタイムの混雑時には、1秒でも早く決済プロセスを終わらせるべきではないか。【客層ボタンは決済プロセスを煩雑にしている】④ スーパーは家族客、コンビニは個人客という発想は、決めつけの恐れがある。むしろ、コンビニの家族利用は増えているのではないか?【客層ボタンのデータは精度が低い】⑤ 百歩譲って客層ボタンが正確に操作されたとしても、客層ボタンのデータは、現状の品揃えを反映したもので、本来のあるべき品揃えを反映したものではない。客層ボタンのデータに基づいて品揃えを変えていくと、売場はどんどん一定のバイアスのかかった偏ったものになっていくのではないか?品揃えは、MR(マーケティングリサーチ)によって行うべきではなかろうか?客層ボタンのデータは、検証にしか使えない。【客層ボタンのデータは検証用】

このように、客層ボタンによって得られるデータは、信用性に乏しく、用途も限られており、継続する理由があまり見当たりません。

客層データは、あればそれにこしたことはないですが、その収集は、レジ無しコンビニなどの施策の中で解決していくべきものと考えます。客層ボタンにこだわるよりも、無人レジなどの施策が優先されるべきでしょう。レジ無しコンビニがいかにUXを大切にした施策であるか、アマゾン・ゴーの事例の載った記事を添付しておきます。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29588230Z10C18A4000000/

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29783370U8A420C1000000/

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