見出し画像

アマゾンエフェクトよりも怖い『慢心』

 アマゾンエフェクトという言葉を初めて聞いてからどのくらい経つだろうか?

 ――確かに時代を象徴する造語ですが、最近、若干の違和感を覚えていたのも事実です。『アマゾンエフェクト』という言葉だけが独り歩きして、何にでも簡単に貼り付くレッテルのようになってしまい、アマゾンエフェクトという言葉ですべての説明がついてしまうような……

 日経電子版の記事【シアーズは本当にアマゾンにやられたのか】は、そんなモヤモヤを吹き払ってくれるリポートだと思います。


 そもそも、一つの企業が業績不振から経営危機へと陥るのは、本質的にその企業そのものの問題です。外部要因を言い訳にしていてはキリがなく、どのような外部要因をも乗り切っていく経営が出来るか、という内部要因こそが、本当の問題であり、経営の課題だと思うのです。

 アマゾンエフェクト一つとっても、仮にアマゾンという企業が存在しなかったとしても、時代の潮流として、いずれアマゾンのような会社が出てくるのは間違いないと思います。つまり、アマゾンエフェクトのような外部要因の出現に対する『変化対応が出来るか』どうかが問題であって、アマゾンのような存在が問題な訳ではありません。

 一般論として、行き過ぎに対する規制は必要だと思いますが、アマゾンの事をいくらあげつらっても、経営の問題は何ら解決しないのは明らかです。


 次から次に襲い来る外部要因、変化に対応するには、何よりもまず、外部要因、変化に対して謙虚に向き合う、『変化』に気付いて、その『変化』の本質を見極めようとする姿勢が必要なはずです。日経電子版の記事にもあるように、そのような謙虚な姿勢を阻害する最大の要因が『慢心』だと思います。

 成功体験に囚われ、知らず知らずのうちに驕り高ぶって、上から目線になっている経営は、変化も、ライバルも、お客も見ていない、『官僚主義』・『現場軽視』・『お客様目線(顧客視点)の欠如』に陥っていると考えられます。そのような『慢心の経営』では、デジタルトランスフォーメーションは一向に進まず、業績が悪化していく事は明らかではないでしょうか。


 これは蛇足ですが、株取引の世界には様々な指数・指標があります。もし、個々の企業の『慢心』の程度を数値化した『株価慢心度倍率』のようなものがあれば、きわめて有効な投資基準となるかも知れません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?