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『天使の翼』第13章(6)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 下ばかり見ていたわたしは、エリザの急激な方向転換、その急な遠心力にハッと我に返った。金属的な悲鳴にも似た音とともに黒々とした影がすれ違った。
 「エアカー!」
 どうやら、わたし達は、盆地の中央部に進むにつれ、エアカーやエアバスの誘導路に侵入してしまっていたようだ。
 その後、立て続けに何台かのエアカー、エアバス、エアトラックとの正面衝突を回避して、エリザは、誘導路のある空域よりも高度の高い空間へと避難した。眼下を行き交うエアカーの乗客乗員らが、ルーフウインドウからあんぐりと口を開けてわたし達を見上げている。この盆地にマウンテンデビルが姿を現すなんて、それこそハイアンコーナ市が産声を上げるような大昔ならいざ知らず、文字通り前代未聞の出来事なのに違いない……

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