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キャスティングと完成形からの距離

電車の広告を見ていたら二つの広告が目に留まった。

ひとつは「nonio」という口臭予防材。
タレントのローラさん(以下敬称略)の顔のアップ、そしてその口元に商品名「nonio」の末尾にあるoの字が重なる。
もう一つは「ライザップゴルフ」。ダイエットで有名なライザップノゴルフバージョン。
高橋克典さん(以下敬称略)がゴルフのスイングをしている。
「超初心者 高橋克典100切り達成しました!!」の文字。

ここから適当に考えを膨らませていく。
まず手始めにこの二人がキャスティングされた理由について考えたい。
ローラがキャスティグされた理由は口が臭くない(イメージを持たれている)からだろう。
ローラの顔のドアップの方が商品より大きく表示されていることからも、この広告がローラの清潔感ありきで進んでいることがわかる。

一方、高橋がキャスティングされた理由はゴルフが上手くない(初心者である)からだろう。元々ゴルフのスコアが100を切っている人間に「100切り達成しました!!」のキャッチコピーをつけることはできない。

一見両者は「ない」(口が臭くない、ゴルフが上手くない)というくくりで同じ位置に立っているように見える。しかし、両社は商品の完成形からの距離という点で真反対の場所にいる。

「nonio」は口臭予防材なのだから、その商品を使って到達したい完成形は口が臭くないこと。
「ライザップゴルフ」はゴルフスクールなのだから、その完成形はゴルフが上手いこと。
ここから考えると、ローラはすでに「nonio」の完成形に到達している。一方高橋は「ライザップゴルフ」の完成形からは程遠い。

この完成形からスタートする形は化粧品の商品に特に顕著にみられる。確かにこの方法は楽だし、視聴者も綺麗な人を見ていて気分がいい。しかし、視聴者は同時に気付いている「吉瀬美智子の足はニベアクリームをベタ塗する前から綺麗だ」と「ガッキーの透明感は雪肌精を塗った塗らないぐらいでは変わらない」と。

その広告のキャスティングが完成形からどれくらい離れているのか、「完成形スタート」なのかそれとも「プロセススタート」なのか考えてみると電車内の広告を見るのも少しは楽しくなるかもしれません。

以上。

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