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出雲一人旅⑤3時間で出雲大社を楽しみ尽くせ!

一夜明けて、旅の目玉その2・本命の出雲大社へ。

体力と電車の都合上、自由時間は3時間ほど。
時間が限られている以上、自分の中で譲れないことをはっきりさせておかねばならぬ。

自分なりに検討した結果、

・美しいもの、気持ちいいことに時間を気にせず没頭したい
・出雲鏡石の勾玉が欲しい
・できたら前日食べた割子そば以外にも、出雲にゆかりのあるものが食べたい

を基本指針とすることにした。
いざ、出雲大社観光スタート!

10:50 出雲大社境内へ

帰りに寄りたい参道のお店を素早くチェックしながら、ひとまず境内に向かう。
まっすぐ拝殿に進む道だけではなく、境内の豊かな自然を堪能できる寄り道もある。

浄の池

本来は祓の社で穢れを落としてから拝殿に参拝するのがスタンダードだったそうなのだが、知らずに迂回してしまった。

案外スムーズに拝殿に辿り着き、さっくり参拝を済ませてお守りを入手。
「あれ?90分かかるはずだけどな?」と違和感を覚えつつも、「まあいいか」と次なる目的地を考える。
宝物殿を見つけたので入ってみることにした。

11:30 出雲大社宝物殿

1階が出土した巨大な柱、2階が出雲の神々に献上された宝物の展示場という構造。

特に私の心を震わせたのは、2階に展示された宝物の数々である。
写真撮影禁止のため画像はないが、文章で興奮を、魅力を、なるべく伝えられるよう努力する。

まずは入口入ってすぐのところに配置された糸魚川産翡翠勾玉!!!!
色の深みと透明感が素晴らしい。これぞ私の理想の勾玉といったところ。
サイズ感も大ぶりで、私の見立てでは100万円相当あるいはそれ以上ではなかろうか。
初手から性癖ど真ん中の明らかに価値あるものに遭遇し、テンションは否応なしにブチ上がる。

質の良さそうな鎧兜や刀、小刀の展示もある。
武具にさほど思い入れはないが、細やかな細工にうっとりと見惚れてしまった。
昔は都合の良いプラスチックがなかったから、全て天然由来の良い素材を使うしかなかったんだよな、それも良し悪しだな、とかつての暮らしに少し思いを馳せる。

それから螺鈿細工の施された文箱、ハートの紋様が施された化粧箱も。
「嗚呼、このような品々に囲まれて生活することができれば、なんと素敵なことでしょう」と夢想しかけたが、そういえばこれらは出雲大社への献上品。神々のための品であった。
うーん、恐れ多いことを考えてしまった。

12:00 出雲教 北島国造館庭園

亀の尾の滝

ここは出雲大社宝物殿から徒歩2分ほどの距離にある、出雲教の庭園。

回遊式庭園をゆったり歩き、立ち止まって深呼吸することは無上の喜びのひとつである。
ただただ、心と身体が喜びを感じるのに身を任せた。

12:30 出雲大社本殿参拝

境内に戻り、拝殿のほかにいろいろ社があるのを見落としていたことに気づく。
改めて、東十九社から本殿の周りを反時計まわりに一回り。
やおよろずの神のルームツアーのようで気分が浮き立つ。

るんるんしすぎて写真撮影を忘れた。

12:50 たまゆら出雲大社店

さて、美しいものを心ゆくまで堪能したので、掘り出し物の入手にアンテナを切り替える。

今回のターゲットは出雲鏡石。出雲にある鏡山で発見された鉱物で、なんと取扱店が5店舗しかない。

こういう「現地でしか手に入らないもの」を求めに行くのも、旅の醍醐味のひとつだと思う。

さて、実は私はたまゆら玉造店にてとても可愛い出雲鏡石のストラップに出会っていたが、心を決め切ることができなかった。
結局買わずに出雲大社に向かったので、いわばこれは第二ラウンド、リベンジマッチであった。

…出雲大社にある取扱店舗は2店舗とも巡ったが、ビビーンとくる商品には出会えず。
それでも出雲鏡石は欲しい。たまゆら出雲大社店の軒先で未練がましくアクセサリーを眺めていると、店員さんに「出雲鏡石、いいですよね」と話しかけられた。

いくつか会話を交わした後、玉造温泉で好みのストラップに出会ったが二の足を踏んで買えなかったこと、買えばよかったと後悔していることを話した。
すると、「それならお客様、自分で石を選んでストラップ作ってみられてはいかがでしょう?鏡石もバックヤードにたくさん在庫ございます」と想定外の提案が。
自分では思いつきすらしなかった。話してみることって大切なんだなあ…。

作ってもらったストラップがこちら。

鏡石の色の濃さがすてき!

大満足である。
おまもりポーチに入れ、毎日持ち歩いている。

13:15 甘味喫茶みちくさ

心ゆくまで石を吟味していたら、いつのまにやら帰りの時間が押している。

「あと23分で注文して食べて電車の中に滑り込み!いけるか!?たのもう!!」と、斬り込みに行く武士のような気持ちで、素朴なお店の暖簾をくぐった。

メニューを見ると、割子そばの他にぜんざいの文字が。
そういえば出雲がぜんざいの発祥地と聞いたことがある。…食べたい。しかし時間はない。

お店の方に何分ぐらいで出してもらえるか尋ねると、「餅を焼くのに、4分ぐらいかねえ」というお返事。15分で食べればなんとかなるか。いける!

ぜんざいセットを注文し、食事を楽しむ時間を最大化するため先に会計を済ませてもらい、ふう…とくつろいでいると、本当にすぐにぜんざいセットが運ばれてきた。

割子そば・ぜんざいセット 1260円


一福のものとはまた香りが違う。
うまく説明できないが、あちらは明るく引き締まった味、こちらは暗く引き締まった味というか。

時間に追われているため、じっくりと余韻を味わいながらいただくわけにはいかないが、一瞬一瞬の舌の上の輝きにできる限り意識を向ける。

10分でそばを、5分でぜんざいをいただき、ゆったり味わいたかったな…と後ろ髪をひかれながら駅に急いだ。

おいしかったな。楽しかったな。
素敵な出雲旅行であった。

駅の電光掲示板を見て、正しい発車時刻が想定の11分後であったことを知り、「ゆっくり食べてもよかったやん……」と呆然したこともまた、旅のよき思い出である。

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