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非言語化して伝える表現と手法

2004年頃だったか、高速インターネットが普及してWebでリッチな表現が可能になると、そっちの世界で何か新しいものを作りたいと強く思うようになって、音楽業界を離れWebデザイナーとかFlashディベロッパーを目指すようになった。

アカデミックな知識もなく、ただオシャっぽいものが好きという程度だった僕が商業デザイナーを目指すために手にとったのが「広告批評」という月刊誌だった。

2009年4月号を最終巻として休刊。ちなみに僕が手に取った頃のアートディレクションはgroovisionsが担当していた。

この雑誌は国内外の様々な広告を紹介していて、これを読み漁ってとにかくインプットしてはデザイントレースを繰り返してました。ただ、この時はビジュアルのデザインをコピーしているだけなので、それっぽい手法は学んだけど、当然そこには情報も無ければ感情も思想も無いつまらないものだった。

ちょうど同じ時期にとあるテレビCMに非常に感銘を受けた事があった。それが日清カップヌードルの「NO BORDER」シリーズだった。

今や伝説的なCMだけど当時はじめて見た時に全身がゾワァーとして、心が震え、涙が出て、それまでに感じた事のない感覚と衝撃だったのを覚えてます。

ニュースで伝えられるような明確な情報は殆ど無いにも関わらず、美しいビジュアルやカメラワークや音楽で表現された映像によって。強烈なメッセージとなって突き刺さってくる感じがした。

このCMはその後の僕のモノ作りに大きな影響を及ぼしたんだなぁと、今見返すと特に強く感じる。

あと全然余談だけど、その後は映画とか映像作品を色々と見るようになって、その頃に見て印象に残ってる映画がこの「FROZEN TIME」というイギリスの映画。

今調べて知ったんだけど  によると監督は VOGUE でファッションフォトグラファーをしていたショーン・エリスという人で

ファッション写真の暗い面を「映画的」と表現して強調するスタイルを生み出し、その後ミュージックビデオや映画に進出する。
Wikipedia

だそうな。

ここまでが長い前置で今日の本題は...

映像作品とは何か?

映像とはあくまで「娯楽」「情報」「芸術」等を伝達するメディアであり、私が以降で指す映像作品とは「芸術」寄りの話になります。

※ ここから先は何の根拠も裏付けもない僕の主観です

多分僕のノートを読んでくれている人は、これから映像作品を作ってみたいなって方が多いと思うんですが、とは言え何をどう撮れば...?って方も居るんじゃないでしょうか。

例えば子供がいて、その子供の成長を映像に残すというのは、成長記録という「情報」で、映像とその受け手の間に表現が介在しないため、映像作品とは言えないと思います。

そして表現とは、

自分の感情や思想・意志などを形として残したり、態度や言語で示したりすることである。
 wikipedia

だそうで、例えば子供を撮るパパの気持ちを想像するに、成長の喜びや幸福感、守るという決意や責任感とかそんな感かと想像するんですが、それを伝えるために、カメラの前で自分が語ったりナレーションを入ると、今度は一気にドキュメンタリー風になって「芸術」とはちょっと違うと思います。

その語りを抽象化し、映像・音楽でエモーショナルな演出によって伝える事で、今度は一気に「芸術」っぽくなると思います。自分の感情や思想・意志などを「非言語化」した形で示すその変換作業が創作であり、そのアウトプットが映像作品という「芸術」になるんだと思います。

つまり、ぶっちゃけ映像作品の題材は何でも良くて、山を登るのが好きなら登山動画でも良いし、子供を撮りたければそれでも良いし、むしろ簡単に撮れて継続可能なものであれば、気軽に始められて良いと思います。

あなたがそれを通じて感じた事などが表現されていれば、全てそれは芸術であり、映像作品だと僕は思います。

非言語化の手法

非言語化した表現というのはジェスチャーゲームのようなもので、下手をするとまったく意図が伝わらない場合もあります。

ちなみに「NO BORDER」の少年兵版は、戦争を肯定しているとか、本来の伝えたかった事と全く逆に受け止められるケースがあったようで、クレームが多数入った為、放送中止となりました。

映像における表現の手法は直接的な言葉やテキストを除くと、フレーミングやライティング、カメラアングル、カメラワークだけでなく、モデルの動きや表情、衣装、天候やロケーション、音楽や効果音、編集時のカラーグレーディングやカット割り等、ぶっちゃけ全部が表現に通じています。

上手く伝えることが出来れば、映像という情報量の多さが機能して、何倍にも増幅して受け手に強い印象を残す事が出来ますが、抽象化すればする程、受けての解釈に委ねる事になるので難しいところです。

上手く伝えるには映像制作のスキルを磨く事と、表現の幅を広げる以外に無いと思いますが、そもそも正しく伝わっているのかなんで判るわけもないので、YouTubeとかで公開してコメントやフィードバックをもらって、自分の表現とマッチする手法は何なのかというのを突き詰めていけば良いと思います。

あと、悲しい時には映像を撮りましょう😂

普段は楽しく撮影していると思うんですが、悲しい表現って、僕ら素人には実際に悲しい気分の時でもないと経験できないと思うんですよね... それに気分が紛れますw それで撮った作品をアップして、コメント欄で皆が何となく励ましてくれたら、表現の手法としては大成功だったんだと思います。

ではまた。
Keep filming!✌️

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