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Avenged Sevenfold 『Nightmare』(2010)

アメリカカリフォルニア ハンティントンビーチからミレニアムバンドとしてデビューしたAvenged Sevenfoldの2010年に発表した5作目のスタジオ・アルバム、『NIGHTMARE』
デビューよりバンド全体の精神的支柱であった、TheRev(ドラム)がオーバードーズにより急逝し、失意と悲しみの中制作されたが、
皮肉にもこれが彼ら初の全米1位獲得アルバムとなった。

Nightmare



レコーディングではThe RevがファンだったDream TheaterのMike Portnoyがドラムを叩いている。

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M. Shadows – lead vocals
Zacky Vengeance – rhythm guitar、 backing vocals
The Rev - drums、percussion、piano
Synyster Gates – lead guitar、backing vocals
Johnny Christ – bass、backing vocals
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■Nightmare
メンバーの死という悲劇を見事に作品として昇華し、かつモダンなアグレッシブさを忘れず、ある意味“リアル”なナイトメアを体現した一曲。
ザクザクしたギターと、Metallica を意識したかのようなM.Shadowsのどこか悲しみを抱えた歌唱も耳を惹くが、やはり全体の構成力が前作より格段に上がっている。
モダンアメリカンハードロックの完成系かもしれない。


■Welcome to the Family
若干前作の雰囲気のあるワイルドなサウンドながら複雑に重ねられた奥行きのあるメロディラインがとてもゴージャス。
コーラスで響き渡るギターのバッキングメロディや、ソロ部の早いフレーズも曲全体にいい緊張感をもたらしておりSynysterのセンスを感じさせる。

■Danger Line
イントロのユニゾンギターリフと、フックのあるリズミカルなバッキングに先導されながら勇壮に進むザ•ハードロック的な曲調。中盤から後半にかけての、ゆったりシンガロング→テンポアップ&ザクザクリフ→メロディアスなギターソロ→口笛で締める流れは最早プログレのベテランバンドの風格すら感じる。

■Buried Alive
M.ShadowsのAerosmithやガンズ、あるいは往年のモトリー・クルーや、SKID ROWを感じる歌い回しで一気に雰囲気を作ったかとおもいきや、中間部ではMegadethを思わせるヘヴィなザクザクギターに軽やかなギターが乗る。
80年〜90年のアメリカのハードロック全部入りみたいな曲。

■Natural Born Killer
The Revがやりたかっただろうなという派手なドラミングとギターが絡み合う野生的なかっこよさが滲み出るハードロック。
最後のコーラスではリフと同じメロディラインをハイフレットで弾いてテンションをガチ上げしてくるSynysterだけでなく、裏で何気にブリブリベースを効かせまくるJohnnyの貢献度も高い。

■So Far Away
ハードバラード。
Voがシャウトもデス声も使わずクリーンに歌いあげる美しい曲。

■God Hates Us
スラッシーなギターリフがヘドバンを誘発する疾走系メタルかと思いきや、割と様々な展開に発展するプログレ系メタルでした。

■Victim 
7分の長尺曲…途中ややダレを感じるが美しいフレーズがたくさん出てくるので、その度ににハッとさせられる。

■Tonight the World Dies 
これもスローなバラード。
M.Shadowsの嘆きにも似た咆哮が炸裂してテンションが微妙に上昇するも、、全体としてはやや退屈な曲。
The Revに捧げるレクイエム的な立ち位置としているのならば静かに聞き入るしかない。

■Fiction
ピアノと緩やかなドラムでゆったりと進行する不穏と安心の間を行ったり来たりする曲。
静かな夜にしんみりと聞きたい曲。

■Save Me
力強いギターメロディに引っ張られるように地鳴りのようなバスドラが煽りまくる曲。
中盤の疾走パートは彼らの真骨頂である「突然別の曲のようなエッセンスをぶちこんで緊張感を爆上げする」のテクがふんだんに盛り込まれている。
曲のタイトルも彼らの心情を表しているようで、感情的にならざるを得ない。9:50からのラストの盛り上がりは紛れもなく大作の風格。


総合満足度 90点(悪夢から復活するために必聴レベル)

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