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SLIPKNOT『All Hope Is Gone』(2008)

1999年にアメリカはIOWAから衝撃的なデビューを飾って以降、その強烈なヴィジュアルと、驚異的なヘヴィネス、グルーヴ、ビートを詰め込んだ究極の混沌と狂気で世界を覆い尽くし続ける猟奇趣味的激烈音楽集団、SLIPKNOT
全世界を蹂躙し続ける異形の9人は真のメタル・モンスターと呼ばれて久しい。

SLIPKNOTデビュー以前か以降かでメタルの歴史が語られるほど巨大な足跡を残し続けるシーンの中心バンドだ。


そんな彼らが2008年に発表した、通算4作目となる、圧倒的な世界観で全てをなぎ倒す壮絶なまでのアルバム『ALL HOPE IS GONE』の衝撃は全米に留まらず、全地球上に真のメタルコアの革命をもたらした。

All Hope is Gone



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(#8) Corey Taylor – vocals, acoustic guitar on "Snuff"
(#7) Mick Thomson – guitars
(#6) Shawn Crahan – percussion, backing vocals
(#5) Craig Jones – samplers, media, keyboards
(#4) Jim Root – guitars
(#3) Chris Fehn – percussion, backing vocals
(#2) Paul Gray – bass, backing vocals
(#1) Joey Jordison –drums
(#0) Sid Wilson – turntables, keyboards, backing vocals
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■execute.
無機質なノイズと微かに聞こえる叫び声にも似たさざめきで冒頭から狂気を感じる。

■Gematria (The Killing Name)
スリリングなギターリフと破壊的なドラミングが狂乱の祭りの幕開けを宣言する。
Coreyの今までにもましてアグレッシヴなヴォーカルが煽りに煽りまくり、ダークなエナジーをあたりに撒き散らす。
フルピッキングの嵐で突き進むMickの暴虐ギターも怖いくらいに臨場感がある。

■Sulfur
CoreyのVoの上手さが際立つ作品。
迫力あるグロウルだけでなく、クリーンに伸びやかに響かせるパートやシャウトも全てが天賦の才を感じる。
その暴虐美旋律ヴォイスに負けじと弾きまくる野心たっぷりのギターワークや、クールなノイズをスパイスとしてふりかけるターンテーブルも作品に厚みを持たせている。
彼らでしかなし得ないミクスチャーコアサウンドである。

■Psychosocial
アルバムを代表する曲。
アグレッション、構成、サウンド、どれをとっても他のミクスチャーコアバンドが絶対に立ち入る事ができない聖域に達したような作品になっている。
コーラスの「サイコソーシャルッッ!!」はライブでシャウト必須なテンションぶち上がりポイント。


■Dead Memories
コンパクトながらヘヴィネスとキャッチーなコーラスを兼ね備えた良曲。全然畑違いのFox Capture Planにもカバーされるほどポップなこの曲は、前作からの憎悪と狂気に満ちたゴリゴリのメタルを期待していた人にはややメロディック過ぎるかもだが、個人的にはアルバムの中で一番好きかもしれない。

■Vendetta
強烈なバスドラが空間を切り裂くように蹂躙してきたかと思う刹那、まさかのCoreyのクリーンボーカルが雄々しくブルータルに踏み込んで来る。
ヘドバン不可避の縦ノリリズムに、うねるギター、、充実のメタルコアがここにはあります。

■Butcher's Hook
吐き捨て系のグロウルとクリーンなボーカルパートが交互に耳を惹きまくる。
メロディアスでテクニカルなMickのギターソロ、CrownとChrisによるパーカッションの多彩な重低音も曲の大事な要素だが、後半に出現するターンテーブルのスクラッチノイズもかなりユニークで素敵。

■Gehenna
もったりと怪しく這うように進行していくスロウテンポな曲。
KORNっぽさも醸しつつ、終始重々しく不安でダークな世界観を構築し続ける。

■This Cold Black
タイトでゴージャスなリズムと極上のヘヴィネスを重ね合わせて疾走していくモダンな曲。KORNっぽいノイズが所々に散りばめられていてNu Metal感も満載である。
JimとMickが交互にスリリングなフレーズをぶっ放しつづけるギターソロも聞きどころの一つ。

■Wherein Lies Continue
良くも悪くもCoreyのメロディアスな一面が出過ぎちゃっている曲。
ヘヴィパートはしっかりヘヴィだし、ベースもギターもグルーヴィーなのだが、Slipknotのこのアルバムの並びにあると若干の違和感…
これはStone sourでやっても良かったかなと。

■Snuff
なんと美しいハードなバラードなんだろか。
これも聞きようによってはStone sour風味であるが、そんな事はどうでもいいくらい叙情感たっぷりの涙腺直撃型の一曲

■All Hope Is Gone
鼓膜とあらゆる感情を破壊せんばかりの激しい憎悪と恐怖に満ちたブラストビートに、絶望の雄叫びを上げ続けるVo、4倍速くらいにしてるんじゃないかと疑いたくなるギターに、裏ではディスクスクラッチノイズがしっかりと存在感を出してきている。まるでコラージュのように目まぐるしくいろんな音があちらこちらで鳴り響くSlipknotらしい究極のメタルコア。


総合満足度 92点(彼らを信じればまだまだ希望はあると思えるレベル)

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