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Soilwork『Figure Number Five』(2003)

スウェーデン出身のメロディックデスメタルバンドSoilworkの『Figure Number Five
名門Nuclear Blastからのリリース。

Figure Number Five

サウンドプロダクションが若干悪いのは玉に瑕だが、珠玉の名曲がズラリと並ぶこのアルバムはSoilworkのアルバムの中でも1,2位を争う満足度。
ライブ定番曲も多いし、何よりSoilworkのアイデンティティである空間系の叙情あふれる美旋律、Voのシャウト、グロウル、クリーンの使い分けの素晴らしさ、ギターソロの緊張感という魅力が全て高度に配合されている。
初期に見られた疾走系やところ構わず喚き散らす系のブルータリティは減衰したものの、それを補って余りある表現力、メロディラインの妙を身につけたと思う。
おそらくこれは、今作からKeyboardのSvenが作曲に関わることで得られた効果だと思う。

ただ激しく走るだけの数多ある北欧系デスメタルバンドと一線を画す”Soilworkの音”が完成したアルバム。
PeterOla Frenningツインギター在籍時の黄金期の最も充実していた時期に作られた一枚。
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Björn "Speed" Strid − Vocals
Peter Wichers − Guitars
Ola Frenning − Guitars
Ola Flink − Bass guitar
Sven Karlsson − Keyboards
Henry Ranta − Drums
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■Rejection Role
このアルバムを、いや、Soilworkを代表する曲。
爽やかメロディアスデスメタル。ギターも叙情感たっぷりです。
VoのBjörnはデス声でゴリ押ししたかと思いきや、コーラスでは伸びのあるクリーンVoを披露。七色の声を使い分ける。

InFlamesの各メンバーが友情出演しているPVも面白い。
今見るとみんな若いなー!

■Overload
ピロピロデジタルサウンドのリードサウンドに重いギターリフとVoのシャウトが重なり合うなかなかヘヴィな出だし。
ドラムのキレが素晴らしく、ギターやベースサウンドはグリグリ重くうねっているのに、跳ねるような軽快さがある。
コーラスは突き抜けるような旋律はないものの、バッキングボーカルの奥行きがある美しいメロディライン、そこにメロウにのせるBjörnのVoが不思議とクセになる。このアルバムで1番好きな曲。


■Figure Number Five
ヘヴィで切れ味鋭いギターリフとタイトに疾走する王道サウンドに無意識にメロイックサインを作ってしまう自分がいる、
がなり系、吐き捨て系、慟哭系…様々なデス声を使い分けながらブルドーザーのように蹴散らすBjörnのアティチュード、最高です。


■Strangler
軽快に弾みながら軽く疾走する心地よい曲。
ギターがザクザク刻んでいる上にデジタルサウンド?を絡めたようなサウンドも曲に彩りを添えている。
コーラスも見せかけだけの盛り上がりを作る事はせず、丁寧なメロディの作りに大変好感が持てる。


■Light The Torch
怒り気味のデスシャウトで開幕から煽ったかと思いきや、コーラスではクリーン過ぎるほど伸びやかな声を響かせるVo、上手いねぇ。
シャウトと行ったり来たりするのは相当大変じゃないかしら。
ギターソロはオリエンタルな響きが美しい一級品のメロディ。

■Departure Plan
彼らのやや暗い面をフィーチュアしたスローなナンバー。
突然発せられるパワフルで男っぽい叫びにちょっとびっくりする笑
「パワフルすぎるバラード界」ではトップチャートにはいる。

■Cranking The Sirens
なんでデスメタルバンドがこんなエモいメロディ作れるの?最高ですよ。
突き抜ける快感があるわけではないが、メロウで広がりのある、優しく包み込まれるような、空間系メロディの極致が楽しめる。

■Brickwalker
重くうねるベースラインに唸るグロウル。
ギターはテクいメロディを披露。
ドラムはタイトで緊張感のあるビート。

■The Mindmaker
疾走系のリズムに吐き捨てるように荒ぶるシャウトで始まるメロコアな一曲。
クリーン声とシャウトのを滑らかに切り替えるスキルが相変わらず素晴らしい。

■Distortion Sleep
ギターリフのかき鳴らしとともに、クリーンボイスがメインで導クリーンポップパンクの風味すらある爽快感溢れる曲。

■Downfall 24
最後を飾るにはやや盛り上がりに欠けるが、エッジの効いたギターと、まとまりのある曲構成で飽きない作り。
前作までの彼らの特徴であった冷たいメロディからは真逆の温かみすら感じる哀愁サウンドで癒しすら覚える。


総合満足度 90点(このアルバムを聴いた回数は5桁を超えるレベル

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