見出し画像

27.鐘の音

 ホテルの横にカテドラルがある為、朝の目覚めが朝一番のごミサを知らせる教会の鐘の音から始まる。早い時間の鐘の音だが小鳥の囀りと共に部屋の中に朝を運んでくる。観光の為の鐘ではない、生活の中にある教会を中心とした営みの音。それは故郷長崎(市内)のようでうれしい音がある空間だ。
 特化された観光地の要素は勿論あるが、例えば京都のように観光客で溢れかえらないこの町の規模は生活がギリギリ脅かされていない様に映る。
 さして大きくないエヴォラに通過点とせず4日間滞在だったが、それでもタイミングが合わず見られなかった場所がある。又、帰国後同じ場所でも再訪問で観たい景色が生まれている。こうして振り返る町の幾つの風景に今後再訪問出来るのだろうか。

 前日リスボアへ戻る列車予約の時間をネットで変更し、フロントで最終確認。このホテルフロントの写真はマガジン「映画」背景に使っている。

 夜、眠られずにこの写真のフロントを通り過ぎロビーに何度か行った。そして、このポサーダ全体を包む空間の気配を楽しみながら本を読んだ。ホテル一般でみるカウンタが無く大きな書斎机一つが醸し出す夜の一枚の絵は元々の修道院の顔を垣間見るようだった。
 贅を尽くして作り上げる、或いはデザイン見本市のようなスキのないホテルよりも、古の時間にお邪魔できる今回のポサーダ滞在は、単に宿泊に留まらず巻き戻されたような時間を過ごさせてもらった。併せてLoiosで働いていらした皆さん、接したどの方もおやさしくて感謝です。


 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?