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「太陽のめざめ」

原題:LA TETE HAUTE
監督:エマニュエル・ベルコ
製作国:フランス
製作年・上映時間:2015年 119min
キャスト:ロッド・パラド、カトリーヌ・ドヌーブ、ブノア・マジメル

 邦題がミスリードどころか、何を意味しているのか観終わった後も理解出来ない。こうした個人的な思い込み邦題はいい加減にお終いにしてもらいたい。
 この映画は目覚めるどころか、不安要素を抱いたまま終わる。見方によっては今後が如何様にも変わる可能性を含めた Last scene の映画では尚の事。
 カトリーヌ・ドヌーブを前面に出した日本ポスターだが映画自体彼女の出演シーンは節目で出る程度で主役ロッド・パラドと並ばない。

 このポスターの方が映画での二人の関係をよく表現している。カトリーヌ・ドヌーブは重鎮でありおそらく現場の空気を作っただろう。主役のすぐ後ろに控え主役を支えた影の主役。彼女の光無しに彼は映えなかったのも事実。

 この映画が初めての演技になるというロッド・パラドが気になって観に行った。リヴァー・フェニックスと比較されるのはこの眼光に見られる容姿からだろうがフランスとアメリカの差的なimpactの強さには差がある。寧ろ、ロッド自身が「…今、僕の俳優としての扉が開いたばかり、それが閉まらないように、掴み続けていかないと思っています。」の謙虚な言葉を応援したい。
 映画は非行少年の更生を描く。映画としてどこまでがデフォルメされているのかフランス事情を知らない為、個人(個性)を抑え込まず、自由度が高い施設での生活の様子が日本人からすると現実離れして映る。
 救いようがないほどの非行、というよりも十分な教育を受けられなかった為に育たなかった社会性との遊離でもがく映画か。ドヌーブ演じる判事と10年間付き合うことになるが進歩は遅々。
 フランスはニュースでも伝えられるよう移民国で問題を抱える。施設内でもそうしたことを反映させてか少ない「白人」の非行少年として描き社会の縮図を示す。本当にこれで更生出来るの?と観ている内に映画は終わった。
 最初に戻る「LA TETE HAUTE」、フランス語は全く知識が無い為調べた範囲では「前を向いて毅然として、健気に」があった。
 保証された未来よりもまだまだ不安の方が勝ちそうなLastだが、それでも「健気」さは確かにあった。
★★☆

 


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