ナポリ自体の観光がないまま離れるが、印象は残っている。添乗員に連れられて動くのではないことがその要因だろう。宿泊するホテルさえ自ら探して移動。食事においても初めての土地で手探りとあてになるかどうかも疑わしい勘を今は力強いスマートフォンに支えられてレストランを択ぶ。

　ナポリに到着した時は気が付かなかったが、駅がとても洗練されていた。
＊到着した時点での視点は下の写真で天井を見上げる余裕はない。

　現地で交通機関を使い移動すること（過程）が、私は旅行の中で目的地到着よりも好きだ。
　東洋人の姿はヨーロッパでは、目立つとまでは云わないが若干浮くかもしれない。それでも、地元の人々に交じり掲示板で列車とホームを確認する。
　待ち時間を掲示板に添えられている広告を楽しむ。改札が無いそうした日本では絶対ない（ホーム）空間と乗車待ち時間までも楽しい。

　ナポリからシチリア島にあるシラクーサまで乗り換え無しに一本で移動する。車で移動する場合は、約652kmを7時間は要する。実は、列車では乗り換えがなくとも９時間近くかかる。
　それでも、二人して意見が一致したのは「メッシーナ海峡を渡りたい」だった。時間は要しても、寧ろ運転という神経を使う作業がない列車で移動と風景を楽しむこともありかと、往路は列車を利用した。

　この乗車券は日本で予約していた。
　ボックスに入って驚いたのは、同席したのは昨日ポンペイ遺跡へ行く電車で向かいの座席に座っていらしたお二人だったこと。こんな偶然があるのか、とふしぎその2が起こった。

　地図でいうブーツの脛部分をほぼ沿って南下し、つま先地点から列車ごと海峡を渡ってシチリア島へ入る。