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「ジャッキー」

原題: Jackie
監督:パブロ・ラライン
製作国:アメリカ・チリ・フランス
制作年・上映時間:2016年 99min
キャスト:ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、グレダ・ガーヴィク

 リアルタイムでなくともケネディ大統領暗殺については幼い頃から見ていて印象深い。成長に伴い興味で読んでいたのは容疑者とされたリー・H・オズワルドであって大統領夫人ジャクリーヌではなかった。ニュースは今も昔も継続性は無く、その後は中々知らされない上、此処が日本で顕かに彼女についての情報が入らない事も影響している。

 このジャケットに限らず、映画で着用された他の服も写真で辿れるものばかりだった。50年前とは言え、人々の記憶に残る人、それも様々な憶測を付けられ実態が見え辛い人を演じるに当たっては本人に似ている似ていないではなくナタリー・ポートマン自身が描くジャクリーヌ像が根底になくては映画は陳腐になる。単なるそっくりさん物語だ。

 暗殺後、遺体の入った棺をエアフォースワンで移送中の傍らの彼女は惨劇の血が付いた上記写真のジャケット姿。或る意味ファーストレディーの制服であるブランドジャケット。制服を着ている間は一般人には戻れない。涙を堰き止められた上、無言の夫の傍で副大統領の大統領宣誓がなされる残酷さ。

 亡くなって間もない時であっても国家的動きの中で彼女は選択し続けなくてはならなかった。荘厳とまで云われた葬列の背景が丁寧に描かれる。

 予告でも触れられていたよう「人々の記憶に大統領としてJ・F・ケネディを残す」為に彼女はファーストレディーとしての最期の務めをこなす。

 トランプ大統領就任の際夫人の来ている服はジャクリーヌを意識していると云われていた。服を真似ても育った環境から身に付いた品性まではコピーできない。ジャクリーヌはファーストレディーという一アイコンとしてこれからも人々の中に生き続けるのだろう。彼女の思惑である夫を人々の記憶に残すことが叶っただけではなく彼女もまた人々の記憶に残った。
 船舶王オナシスと再婚しても、最期には夫の横(ケネディ家墓地)で眠った経緯に全てが語られているように映る。
 *いつも何となく気になって観ている助演のイメージが強いピーター・サースガードが台詞も多く実直な弟ロバートを好演している。
★★★☆

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