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流れはつかんで引き寄せるもの ○T×S●4回戦

流れとは、こうして逃げていくのだということが、手に取るように分かる試合だった。

嫌な予感がしたのだ。4回表。雄平のホームラン勢の当たりを、レフト・サンズがフェンスギリギリでキャッチする。レフトフライで、3アウトチェンジ。2点ビハインドで迎えた強打者、雄平の長打を阻止した。甲子園の阪神ファンは、大盛り上がりだ。
当然だ。でも、この盛り上がり。まずい。阪神を乗せてしまう。

そんな焦りは、形となって現れてしまった。その裏の攻撃。糸井嘉男、ボーアのヒット、サンズへのフォアボールで1アウト満塁とした阪神は、続く梅野隆太郎の2点タイムリーで2-2の同点とする。
その後、木浪聖也の犠牲フライで一気に逆転した。一転して、ヤクルトが1点ビハインドの形勢となってしまった。

石川雅規の調子が上がらない。ピッチングは相変わらず丁寧だ。だが、ここぞという時に高めにいく。打たれるときなど、そういうものなのだろう。
ただ、流れが相手にいっているところで打たれれば、当然相手を調子づかせ、点は線となり、そのつながる打線はチームの士気を上げる。
打たれるというより、打ち込まれる。そんな、投球だった。

石川に勝ちをつけたい高津采配は一貫している。とにかく5回まで。5回を投げきり、味方の援護を待つしか、勝ち星を積み重ねる方法はないのだ。
今日も、その星はつかなかった。今季0勝2敗。うまくいかない。
次だ、次。

明けて5回表。先頭の西田明央の同点ホームランが飛び出す!

あきおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーき゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーぅぅぅおおおおおおぉぉぉおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーあーーーーーーーきーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーおーーーーーーーーーーーーーーー

部屋の中心で280文字を叫ぶ。いつものことだ。
これで流れがこっちにくれば、あきおは救世主で、うちのチームは勝てるんだ。さあ、打って!

同点止まりだった5回裏、糸井のタイムリーで再度リードを許した後、6回裏には追加点を許す。
そのまま、流れを奪い返すことなく、試合は終わってしまった。

流れというものは、恐ろしい。ノッている時は、何をしてもイケる!だから、今日の止まらない阪神を見て、楽しそうだとすら思ってしまった。
ホームゲームというメリット。いつもの風景に、いつもの登場曲。そして、阪神ファンの「あと一球!」。スアレス弟も、自信を持って投げていた。

流れをつかんだ、サンズのファインプレー。その“つかんだ”流れをグッと引き寄せた、直後の攻撃。“引き寄せた”その流れはチームプレーとなり、笑顔の虎は点を重ねていった。

あきおのホームランは、つくづく惜しかった。つかまれた流れをまたつかみ返したはずだった。でも、つかんだその手で強く引き寄せることが、できなかった。

流れはつかんだら、引き寄せるものだ。

それを思い知らされた、悔しいまけほだった。野球は、怖い。悔しい。

R2.7.14 tue.
T 6-3 S
阪神甲子園球場

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