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ひろき ひろき なるき ●S×D○3回戦

日曜日のヤクルト。これが重要なのだ。

日曜日に勝てば、月曜と火曜の夕方まで幸せ。一勝のコスパは最高。
―― 長谷川晶一(作家)

こういった先人の知恵というものは、人生を救う。
調べてみると、2019年の日曜日の試合は25戦。うち中止になった1試合を除いた24試合の勝敗は、13勝11敗(勝率 .542)。翌日の月曜日に試合のあった7試合を除いた17試合の勝敗は、9勝8敗(勝率 .529)。

いずれも5割を超えている。救われた。

今日の先発は、山田大樹。2017年オフに無償でソフトバンクからやってくるまで、私は山田大樹を知らなかった。ヤクルト移籍後初勝利まで1年半かかった。山田大樹のピッチングは、189cm、99kgの体躯からイメージする速球派ではなく、緩急織り交ぜた変化球と制球でアウトを取る技巧派ピッチャーだ。
今日の試合も、嶋のリードと噛み合った、制球とテンポのいいピッチングだった。

▲2019.7.8 ヤクルト移籍後初勝利のヒーローインタビュー


それでも、負けるときは負けるのだな。相手もプロ。そう簡単には勝たせてくれない。だが、今日のひろきさんは本当にナイスピッチングだった。
低めに集めたコントロールの良さは、いつもどおり私をワクワクさせてくれた。キャッチャー・嶋基宏としっかり相談して投げているのがよく分かる、胸のすくような制球力だった。こんな精巧なバッテリーを以ってしても勝てなかったことが悔しい。

今日は、7回3失点。シーズン初戦の一昨日、雨の中の総力戦でたくさんのピッチャーを投入してしまったヤクルトで、後に続く中継ぎの負担を減らす気迫のピッチングに、「この人は、これからのヤクルトのピッチャー陣を牽引する人になる」。そう希望を持った、そんな日になったと思う。
そして、3回のレフト前ヒット。ナイスバッティング!ひろきさん!

▲2020.2.8 ライオン大西@浦添キャンプ


2番手は、大西広樹。昨年のドラフト4位で大商大から入団したルーキーの、プロ初登板だった。
先発の山田大樹、ソフトバンクから移籍してきた長谷川宙輝と、ヤクルトには3人の「ひろき」がいる。山田大樹は、山田哲人がいるため、最初から「ひろきさん」と呼んでいる。長谷川宙輝は「はせちゅーと呼ばれていました」と、親切なソフトバンクファンの方が教えてくださってから「はせちゅー」。さて3人目のひろきは?どうする?
大西広樹、大西、大西ライオン。ライアン小川。ヘイアン高橋……
「ライオン大西」と勝手に呼び始めてから、気持ちは楽になった。笑

2番手3点ビハインド。8回を打者5人相手にヒット2本とエラーで出塁を許したものの、無失点で抑えた。これからプロの舞台をたくさん経験して、どんどん成長していく。そんな将来あるルーキーの、緊張感ある初登板だった。ナイスピッチング!

▲2020.2.8 寺島成輝@浦添キャンプ


9回は、寺島成輝。キャッチャーは同期同級生の古賀優大に交代。打者4人をヒット1本で抑え、無失点で終えた。140km/h台の速球を内角に入れる。ストライクがなかなか取れない。しかし、この速球と攻めのピッチングは、これからのなるきの代名詞になる。そんな希望がつながる、いいピッチングだった。

とうとうきた。寺島成輝だ。春季キャンプは一軍帯同。開幕一軍を決めて、開幕3戦目でクローザー登板となった。履正社高校。侍ジャパンU-18代表。鳴り物入りで入団したドラフト1位のエリートも、もう4年目のシーズンを迎えていた。今季が終われば同級生の大卒ルーキーが入団する。あの入団から、そんな時間が経ったのか。待っていた。なるき。待ってたよ!

▲2019.7.17 強打者にしか見えないひろきさん


開幕3連戦は、1勝2敗の負け越しだった。

今日勝てば、長谷川先生の仰るとおり、火曜の夕方まで幸せだった。しかし私は今、今日の「ひろき、ひろき、なるき」の感動にどっぷり浸かってしまっている。そして、浸かっているうちに明日明後日と時は過ぎ去り、火曜日の夕方を迎えるような気がする。
つまり、火曜の夕方まで幸せだ。

シーズンも終盤になれば、こんな余裕もないけどね。笑
まけほ

R2.6.21 sun.
S 0-3 D
明治神宮野球場

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