見出し画像

山田哲人で安心したい

前回の登録抹消は2020年、4年ぶりのことだった。*1
それから3年目の2023年、山田哲人は試合中に途中交代し、そのまま登録抹消された。
野球ファンには耳慣れた、「下半身のコンディション不良」という発表だった。*2

今シーズン、山田哲人の状態は良かった。一試合に2盗塁を決め、解説者は異口同音に「足の調子がいいんでしょうね」と言った。

2023.4.12 tue. @明治神宮野球場

三十路を迎えてもなお「トリプルスリー」と「ゴールデングラブ賞」を目標に置き、機動力野球を牽引するキャプテンに、頼もしさと同時に湧き上がったのは、安心だった。

昨季の山田哲人は、打撃で結果が出ずに苦しんでいた。シーズン中に修正点は判明したが、直すことは難しかった。*3

体在りきの職業である以上、怪我のリスクはある。
リスク回避のために、ウェイトトレーニング、ストレッチ、マッサージや睡眠に至るまで細心の注意を払い、怪我にしない、怪我に負けない体をつくっているのが野球選手だ。

これからベテランと呼ばれる歳になっていく過程で、オフに課題と向き合い、体をケアしながら万全に迎えた2023シーズンの、「足の調子がいい」山田哲人を見て、私は安心していたのだ。

それなのにまた、山田哲人の離脱を見届けることになってしまったのだった。

山田哲人は、2週間で戻ってきた。
私は、もっと安心したかった。完全に治してから帰ってきてほしかったのに、2週間で大丈夫なのか。
キャプテンとしての責任もある。そこで、早く戻らなきゃと焦って帰ってきたのではないか。

安心の前に、不安が先に立つ。また故障したらどうするんだ。

それでも山田哲人は、不振にあえぐ村上宗隆を助ける気持ちで、グラウンドに立っている。*5
昨季、不振の自分を助けた代わりに自分が決めると、チームのために帰ってきた。
惚れ惚れするほどのキャプテンシー。

まだ途中交代の日もあるが、それでもいい。
私は、どこも痛くない体で、打って走って守る山田哲人を見たい。
安心するのは、そのあと。まだハラハラと心配しながら見守ることになりそうだ。

焦らないでよ、てっちゃん。


*1


*2


*3


*4


*5

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?