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なおみちが私の背中を押した ○S×T●3回戦

決めたのが、なおみちなのが、なおいいのだ!

1点ビハインドで9回まできてしまった。1アウトで7回に代走で出た渡邉大樹が打席に立ち、フォアボールを選ぶ。
その後ツーアウト、バッターは同じく7回代打で途中出場の上田剛史。レフト前ヒット!渡邉は2塁へ。

時は来た。

代打。西浦直亨。

久々に流れる登場曲、加藤ミリヤ「This is my party」をつい聞き込んでしまうのは、二度目だ。

2019年5月13日、コンディション不良で離脱し、7月8日に戻ってきたその10日後の7月17日に、骨折で再び離脱。
結局、2019年は、神宮に戻ってこなかった。

なおみちは、2019開幕スタメンの座を、後輩の廣岡大志に奪われた。この二人は共通点がある。

初打席初本塁打。

しかも、廣岡大志は“あの”番長・三浦大輔引退試合でのスリーラン、西浦直亨は法政大学の先輩・三嶋一輝から新人プロデビュー開幕戦でのスリーランと、なんとも話題豊富な初ホームランを放っているのだ。

ショートの座は、この二人だけでなく、奥村展征、太田賢吾、宮本丈、吉田大成と、多くのヤングスワローズが狙っている。
そんな中でも、西浦直亨は正遊撃手として、宮本慎也の特訓に食らいつき、キャリアを重ねていた。

開幕レギュラーを外れたなおみちに、「たいしおめでとう!」の声とともに「なおみち元気出せ!」が贈られる。いつものヤクルトファンクオリティーだった。

9回2アウト、ランナー1・2塁の場面で出てきた西浦。相手は阪神の守護神・藤川球児。一昨日、勝ちを献上した試合のクローザーが、今日も“勝ちパ”で登場する。阪神は逃げ切り態勢だ。

さぁ、なおみち。「9回のヤクルト」は、2018年、躍進のシーズンに生まれた、ヤクルトファンの合言葉だ。はいはいこっからこっから9回のヤクルト9回のヤクルト。
2塁には足の速い渡邉大樹。1塁には同じく足の速い上田剛史。二人の俊足が舞台を作った。さぁ、こっから!

第1球、高め真っすぐを空振り。
第2球、同じコースに来た真っすぐを振りぬいた!
打球は、誰もいないレフトスタンドに突き刺さる。
サヨナラスリーランで決着がついた、胸のすく試合だった。

今日は今日とて、ヒーローはたくさんいた。
先発・高梨裕稔は7回無失点の好投。粘りと攻めのピッチングで投げ切った。勝ちがつかなかったのは本当に悔しい。でも、西浦はヒーローインタビューで「高梨が好投していたので頑張った」と、同級生のナイスピッチングを称えていた。
坂口智隆の、福留のファーストライナーキャッチから、飛び出していた1塁走者の糸井をアウトにするダブルプレー。ベテランの、高校球児のようなファインプレーだった。

そして何より、上田剛史だ!つよしは7回代打の打席で、1球目から3塁線を転がすスクイズを決める。そしてサヨナラスリーランの前に、9回ツーアウトからヒットで出塁したのは、つよしだ。だいきが塁に出て、剛史が塁に出て、お膳立てが整った。
つよし。さすがにサヨナラホームランには勝てなかったが、ヤクルトファンはしっかり見ている。つよしがいなければ勝てなかった!次だ、次!

なおみちの骨折の現場に、私はいた。運命を呪った。それから戸田、松山、浦添と、なおみちが野球をする姿を見てきた。

神宮に戻ってきたなおみちの、ヒーローインタビューの声を、懐かしいと思ってしまった。そして、泣いた。

私は今日仕事で、明日出勤できる自信がないほどの嫌なことがあった。職場放棄したいほどの、ストレスフルな出来事だった。心は晴れなかった。
でも私は、なおみちの復活サヨナラホームランに後押しされて、明日も笑顔で家を出られると思う。復活のなおみちを見て、泣いて、頑張る気力が生まれた。明日の私の背中を、なおみちが押してくれると思う。
小学生のころから野球を、野球選手を、見てきた。人生のほとんどの時間を、私はこうして野球選手に助けられてきた。

ありがとう。すわほ

R2.6.25 thr.
S 3x-1 T
明治神宮野球場

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