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山田哲人の笑顔を次に見るのはいつだろう

11月27日日曜日。東京ヤクルトスワローズファン感謝DAYが行われた。
何とか手に入れたチケットは、争奪戦だった。
当日、バックネット裏から、いつものように超望遠レンズを構える。

これで、撮り納め。

松山の秋季キャンプも終わった。
2日前の「NPB AWARD 2022」では場内カメラ撮影禁止だった。
野球選手を撮れないことがこれだけストレスで、野球選手を撮ることがライフワークになっていることに、驚く。
去年の今頃、どうして過ごしていたのだろう。

あぁ、ちょうど1年前の今日、ヤクルトは神戸で胴上げしたんだった。
あの日のチケットだけ、取れていなかったんだよなぁ。

思えば、今年は何となく、シャッターチャンスを逃す1年だった。
10月3日月曜日。村上宗隆の56号。
打った瞬間も、走っている間も、ベンチのハイタッチも、パネルを掲げる姿も、まったく撮れていない。

悔しい。ダメなシーズンだったな。

◇◆◇

山田哲人の涙も、私は撮れなかった。
9月25日日曜日。ルーキー丸山和郁のサヨナラタイムリーで劇的な優勝を果たした瞬間も、誰を撮っているのか分からないままシャッターを押し続けるのが精一杯だった。

気づけば、手が震えていた。カメラの液晶画面に写る写真を見ようとも、タッチ操作ができない。
自分の体の反応に恐怖すら覚えた。
人って、こんなに自分をコントロールできなくなるんだ。

スタンドの「わぁ」という声に顔をあげた先には、バックスクリーンに映る涙の山田哲人がいた。
急いでファインダー越しに山田哲人を探す。
しかし、映像に残った“村上宗隆の胸に顔を埋める山田哲人”は撮れていない。

◇◆◇

人目を憚らず泣くその姿に、今シーズンの山田哲人がすべて表現されていた。
何とか力になりたいと思うファンの気持ちを超える、プロの厳しさ。
歯がゆい自分との戦い。キャプテンとしての焦り。

すべては……10月30日で区切りがついた。
お疲れ様。
昨年のオフ期間は、ないも同然だった。
少しでも、心休める日々が始まっていますように。

オフの忙しさは、村上宗隆にバトンタッチした。
今年いっぱい、バットを握らないことにしたそうだ。*1
シーズン中に修正点は分かっていた。
頼もしい。
12年目、30歳ともなれば、野球を追求する癖は、もう付いている。

今はただ、後輩から「笑った方が、チームの士気が上がる」と“笑顔”を勧められ、喜怒哀楽の“喜”を出すようになった、山田哲人が愛おしい。

2022.11.27 sun. ファン感謝DAY @au3_plum

その笑顔を守りたい。私はいつもそう思っている。
だから、ただ応燕に徹する。てつの背中を押し続ける。

ちょっと早いけど、良いお年をお迎えください。
また、その笑顔を見せてくださいね。
来季は絶対、1枚たりとも撮りはぐりませんから。

*1

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