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山田哲人の“空間”のつくりかた

2月11日土曜日、沖縄・ANA BALL PARK 浦添で、スワローズ野球教室が開催された。
コロナ禍で中止となり、3年ぶりの開催だ。

開始は、15時から。フリーバッテイングは14時過ぎに終わり、グラウンド整備のトラクターが内野を円状に走り始めた。

30分以上の時間は、今日撮った写真のチェックだ。
これはいいな。Wi-Fiで接続したiPhoneに、圧縮しながらコピーする。
……目をつぶっていたり、ピントが手前のまさる(佐藤賢打撃投手)の袖口に合っていたり、私の腕はいつ上がるのだろうか。

時間となり、子どもたちがグラウンドへ入ってきた。内野の芝まで進み、チームごとに並んで待つうちに、選手たちがライト側の出入口から入ってきた。
選手たちは、ホームベースに列を成す。
中心のスタンドマイクで、選手会長の小川泰弘があいさつした。

「今日は短い時間ですが、たくさん学んで、楽しく野球をしましょう」。

この後、オールドファンには懐かしいシーンの“再現”があったのだが、それはまた別の話。
ポジション別に選手と子どもたちが分かれ、野球教室は始まった。

内野手は、サードベース付近に集合。子どもたちと選手が一緒に歩いて移動する。
散漫にグラウンドの様子を撮っていると、ふと目に止まったのが、坊主頭を撫でる山田哲人の姿だった。

2023.2.11 @ANA BALL PARK浦添

距離が近いなぁ。でも、坊主頭は撫で回したくなるよね。
かわいらしい交流につい頬が緩む。いい写真、撮りたいなぁ。

ゴールデングラブ賞の長岡秀樹が子どもたちに向けて話し始めた。身振り手振りで、ゴロの捕球を説明している。

いつもはテレビで見ている野球選手が、すぐそばにいる。それだけで圧倒されるのに、野球の直接指導も受けられる。贅沢な時間だ。

プロになった者の中にも、子どものころ、地元に〇〇選手が来て野球を教えてもらったという選手がいる。
憧れの選手に野球を教えてもらい、野球を頑張って続け、プロ野球選手になる。
夢を叶えた子どもにとっては、まさに野球人生の原点になり得る経験ということだ。

その後も山田哲人は、子どもたちと話している。どんな内容なのかは聞こえてこないが、山田も子どもも自然体だ。

山田哲人は、スターだ。背番号1をつけた、ヤクルトの顔だ。もちろん、トリプルスリーの実績を誇るトップアスリートでもある。

そんな山田哲人と話す子どもたちの表情は、緊張の色なく、しかし馴れ馴れしくもない。
両者とも、まるでいつも一緒にいる兄弟のように、そこにいる。これがいつもの浦添の光景のように思える。そして私も、いつも見ている日常のように錯覚する。

そんな、山田哲人なりの“空間”のつくりかた。

2021年にキャプテンを引き受け、今年で3年目になる。
チームメイトに寄り添い、話をする。
山田哲人は、こういうキャプテンシーを積み重ねてきた。
それは、浦添の子どもたちとの関係性においても変わらない。

2023.2.11 @ANA BALL PARK浦添

いかにも、山田哲人らしい。

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