飼っていたオスのカブト虫が急死してしまった。

去年に引き続き、オス、メス、一匹ずつ飼っていた。

しかし、毎日がさごそと動いていたオスのカブト虫が死んでしまった。交尾をしている姿を見かけてから、数日後の事だった。ネットで調べてみると、交尾後死んでしまう事もあるらしい。

交尾をしたということは、メスは赤ちゃんを生む可能性がある。

このままこの虫かごで飼っているより、自然へ返してあげた方が良いのではないかと思い、生まれた里の公園へと離した。

「オレ、さよならは悲しいんだよ😔」

そう言って少し涙ぐむ息子に、心が摘ままれた。

さよならが悲しいことを君はいつ知ったの？

そして、はっぱはカブト虫の幸せとは何なのかを真剣に考えた一時だった。

公園を歩いていると、

「セミさん、こんにちは。」

「ドングリの赤ちゃん、こんにちは。」

道に落ちていた帽子の中にはドングリの子どもが隠れていた。

息子にはこれから、「さようなら」、と、「こんにちは」の繰り返しが波のように押し寄せる。

でも、きっと「こんにちは」の方が多いから、悲しみは少しだけだよ。

「さようなら」の後には必ず新しい「こんにちは」が待っている。

#夏だからやってみた