「鬼棲む冥府の十の後宮」第十一話
それは、一兆九千億年以上も前のこと。
まだ前王が健在だった時代に、庭に桃の木を植えようという話になった。長子は彼のことを父のように慕っていた。子供のように懐き、下手をしたら実父よりも触れ合っているのではないかと思える程だった。
長子と、長子の両親と、帝哀と、帝哀の両親。六人で計画を立て、後に長子が住むであろう宮殿の横の御花園を、桃の園にしようという話になった。
幼き日の淡い思い出。長子は侍女に止められながらも勝手に一人で外へ行き、桃の木を大切に育てた。そうすれば帝哀の