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「元気になることを目指さない」ちょっと変わったあいだの居場所。-休む人のためのカフェが大切にすること-

「社会に間の選択肢を創り、一人ひとりの心に、ゆとりと安心を届ける」をミッションに掲げて活動する、任意団体あわひが開催する「休む人のためのカフェ」

どなたでもコーヒー・紅茶は何杯でも無料。休職中・離職中の方であればデザートも無料。

何らかの理由で「休んでいる人」「これから休みたい人」たちが、そのことを気軽に話すことが出来て、ただただゆっくりと過ごせる居場所が欲しい。

そんな想いで2023年2月からスタートさせた活動は、これまでに100名以上の方が足を運んでくださいました。


2024/04/01現在の実績

「元気になることを目指さない。」「一緒に待つことを大切に。」
この二つの姿勢を大事にして活動してきました。今回は改めて休む人のためのカフェがどのような場で、何を大切にしているのかを、書かせていただきます。

と、その前に、自己紹介がまだでしたね。
初めましての方は初めまして。僕は任意団体あわひの代表の西村です。
みんなからはにっしーと呼ばれています。
中高時代に不登校、大学卒業直後にも鬱を経験しています。
今は、誰もが「うまく生きられない自分が悪いのではないか」と自分を責める必要がないように、一人ひとりが自分の生き方を肯定できる社会を創りたいと思い、あわひを立ち上げました。

この記事は単なる活動紹介の記事ではなく、遠く離れた場所に住んでいて、カフェの場には直接足を運べない方や、休む人のためのカフェのことは気になりながらも、まだ直接行く勇気は出ないという方に向けて、長いお手紙のつもりで書きました。

僕自身、鬱で苦しんでいた2年間。孤独感に押しつぶされそうになりながらも、人と会うことが怖くて、なかなか外に出れない時期もありました。

しんどい時に、人が集まる場に出かけることは、とても勇気のいることだと思います。だからこそ、初めて来てくださった方がいらっしゃると、とても嬉しい気持ちと、よく頑張りましたね、という気持ちになります。

でも僕らはカフェの場に来れない方のこともないがしろにしたくない。

そんな、どこかにいるあなたに「私たちはここで待っていますね。」という言葉を届けたくてこのお手紙を書きます。

前置きからして長く、記事全体としてもとても長いものになるので、読みたい部分だけを拾い上げてお読みください。(コーヒーや紅茶を淹れて、ひとやすみしながらお読みくださいね。)


休む人のためのカフェについて

月2回のペースで、主に日曜日に様々な場所で開催しています。大阪は豊中市・大阪市・八尾市いずれかの会場で。また、京都や奈良でも定期的に開催しています。

コーヒー・紅茶はどなたでも何杯でも無料です。日時や開催場所については、あわひのSNSでお知らせさせていただいているので、ご興味のある方はフォローをよろしくお願いします。


休む人のためのカフェの過ごし方


各会場の入り口に看板を用意していますので、そちらを目印にお越しください。(迷われた場合は、DM・メッセンジャー等で、あわひのアカウントにお気軽にご連絡ください。)

初めて来られた方は、入り口にて名札をご用意していますので、そちらに呼ばれたい名前をご記入ください。運営メンバーが声をかけさせていただきますが、席はご自由にお座りください。

すでに人がいれば、その輪の中に入るのも良いですし、ひとまず離れたところで様子を伺いたいなども大丈夫です。

「コーヒーと紅茶どちらか飲みますか?」と尋ねさせていただくので、希望をお伝えください。また後で、なども承ります。

その後の過ごし方は自由です。いつでも席を移動していただいて大丈夫ですし、ちょっと疲れたので外を散歩してくるなども大歓迎です。



休む人のためのカフェが大切にしていること

元気になることを目指さない。

「今は無職ってことは、これから何にでもなれる可能性があるってことだね!」「人と違う道に進むからこそ面白いんじゃない?」
こういう言葉…ごめんなさい。僕には少しキラキラしすぎて眩しいです、、、

急に後ろ向きな発言ですいません、、でもこれが素直な気持ちです。休職や離職期間の時間を「意味あるものにしよう」と前向きに、ポジティブに捉えようとする言葉がとても多いなあと感じています。

もちろん、僕自身、ポジティブに捉えることで、元気をもらえたり、前向きな気持ちになれることはあります。
でも、不安の種は消えるわけじゃないから、気がつけばまた焦ってしまったり、苦しくなっている自分に気づき、このままじゃダメだと責めてしまうことがあります。

しんどいなと感じることも、苦しいなと思うことも、それは本当のことだから。無理に前向きな言葉で覆うのではなく、ネガティブなことも否定せず、素直に吐き出せる場を大切にしたい。だから、休む人のためのカフェでは、「元気になることを目指さない」を掲げています。

一緒に待つことを大切に。

じたばたしてみたり、のたうちまわってみたり、何をしてみても上手くいかないし空回りする。そんな、もう時間が経つのを待つしかない瞬間が、人生の中では何度か訪れるなと感じています。

でも、時間が経つのをひたすら待つって、難しくないですか?

焦らなくていい。ゆっくりでいい。
周りの人が言う。自分でも言い聞かせる。
頭ではわかっているのに、それでも気持ちは焦る。
不安は消えない。

一人で待つのってそれぐらい難しいことだなと思うんです。

だからこそ、その待つしかない瞬間を一人にしたくない。
何もできないかもしれないけれど、一緒に待つことなら出来る。
雨宿りをするように、ただ一緒に待っていたい。
そんな気持ちを大切にしています。



お伝えしておきたいこと

休職・離職について、詳しいことは答えなくても大丈夫です。

休職・離職中の方であればデザートも無料とさせていただいているため、注文時に「今はお休みされていますか?」と聞かせていただきますが、それ以上詳しいことは話したくなければ話さなくても大丈夫です。

ただ、僕たち運営メンバーも、初めましての方には「どういう方なんだろう?」と気になって聞いてしまいたくなります。「聞いてもいいのかな?でも話したくなかったらどうしよう」なんてことを思いながら話しかけるので、ときどき微妙な聞き方をして、変な感じにさせてしまうこともあります(笑)

最近はようやく、勇気を持って聞いてみることにしています。でも来てくださる方が心地よく過ごせることが何よりも嬉しいので、話したくない時は「話したくないです」と、遠慮なくおっしゃってください。そんなはっきり断れないよという人は、指でバツ印を作るなどのジェスチャーでも大丈夫です。

比較はしなくても大丈夫です。

と、言ってもしちゃうものですよね…。「この人は3ヶ月しか休職しなかったんだ。僕は/私はもう1年も休んじゃってるな…」「共に離職中だったけど、どうやらあの人は働き始めたみたい。」

同じ休職・離職中の方同士で集まっても、ついつい比較をしてしまったり、自分に自信をなくしてしまったり、それはもうどうしたって起きてしまうことだなと思っています。

一人ひとり置かれた状況は違うものだし、回復にかかる時間も全然違うもの。全くのゼロには出来ないかもしれないけれど、比較しないでいい場を作りたいなと思っています。でも比較してしまったからといってダメじゃないです。してしまうものです。

一人でも、複数人でも大丈夫です。

知り合いがいなくても、一人で来ていただいても大丈夫です。とても嬉しいです。ぜひ仲良くしてください。

一人だと不安でしたら、友人と来ていただいても大丈夫です。嬉しいです。でも友人との会話の中に僕たちも入らせてもらえるとさらに嬉しいです。仲良くしてください。

いつ来ても、いつ帰っても大丈夫です。

だいたい14:00~17:00の間で開催していますが、いつ来てもいつ帰っても大丈夫です。ときどき終了間際に来られる方もいらっしゃいます。短い時間でも来たいと思ってもらえたことがとても嬉しいです。

帰る際には一言声をかけていただけると、「あれ?あの方はどこへ?」とならずに済むので助かります。

聞くだけでも大丈夫です。

話すのはしんどいけれど、誰かと一緒にいたいな、誰かの話を聞きたいな。それも大歓迎です。無理に話す必要はありません。

ただ、周りにいる人たちが大丈夫かな?と心配はしてしまうかもなので、「話すより聞いていたいです」と素直に言葉にしていただければ、いい感じになると思います。

人が多すぎると大丈夫じゃないです。

はい、これは僕たち運営側が大丈夫じゃないです。来ていただけるととても嬉しいし、なるべく多くの人に届いてほしい、けど多すぎても大変、そんなジレンマを抱えています(笑)

今は平均して1度の開催で5〜10人ほどの方が参加してくださいます。正直これぐらいがちょうどいいです。今は特に申し込みは設けていませんが、場合によって人数制限をかけるかもしれません。

そもそも、運営メンバーが、人が多すぎる場が得意ではないです。僕もカフェの最中でも、ときどきグループから離れて一人になって休憩している時があります。いつでもグループから離れて休憩していただいても大丈夫です。

でも逆にグループに入りたいのに、入っていけないなどありましたら、一人でポツンとしてる運営メンバーに声をかけてみてください。頼られるととても喜びます。

一緒に作っていきたいんです。

色々と書きましたが、カフェに来てくださる皆さんと共に、心地の良い場を作っていきたいなと思っています。

「絶対に安心安全です」と言いたいところですが、人が集まる以上、どんな方が来るかによって、場の様子は変わります。どうしても”絶対”を約束できない以上、来てくださる皆さんの協力も必要になります。

ここに書いたことは運営側だけが大切にするものではなく、ぜひ来ていただける一人ひとりが大切にしながら共に過ごせたら嬉しいなと思っています。

僕らが一番大切にしたいのは「来るんじゃなかったな」と思う人を出さないこと。「来て良かった」と思ってもらいたいわけじゃないあたり、随分と僕たちらしい臆病さ。

目の前にいるあなたは、もしかしたら、ものすごく勇気を出して来てくださったのかもしれないから。「来るんじゃなかったな」って思うような場にはしたくないなと思っています。

そんな想いを持って、私たちは、カフェの場でお待ちしています。



よくいただく質問

どんな人たちが来ているの?/働いていても行っていいの?

20~30代の方が9割。その他の年齢の方や、ときどき学生の方もいらっしゃいます。どのような年代の方々でもお待ちしています。

働いている方も大歓迎です。むしろ休職・離職中の方は35%ほどで、6~7割ほどはなんらかの仕事に就かれている方がいらっしゃいます。働いている方でも「いつでも休める場所がある」と知っていただければと思っていますので、来ていただければとても嬉しいです。

休職・離職中の方に関しては本当に様々です。離職したばかりという人もいれば、一年以上仕事から離れているという人もいます。ながらく休んでいたけれど働き始めたという人もいます。

本当に無料でもいいの?

申し訳なさそうにされる方が大勢いらっしゃいますが、無料で大丈夫です。あわひの活動は、月額寄付者の皆様のお力で運営をすることが出来ています。楽しそうに過ごしてくださること、「また来ます」と言ってくださること、それだけで僕たちも寄付者の皆様も、お金以上のものを十分にいただいています。

それでも、どうしても申し訳ないと感じてしまう方は、ぜひSNS等で感想をシェアしていただいたり、ご友人にご紹介してください。それが何よりの励みになります。

それでもどうしても、どうしても申し訳ないと感じてしまう方は、また働けるようになったり、余裕が出てきた時で構いませんので、ぜひあわひの寄付者になっていただき、あわひの活動の仲間になってください。とんでもなく喜びます。
(こちらの記事の最後に、寄付ページを貼らせていただきますね…!)


参加者の声





運営メンバーからのメッセージ

西村征輝(にっしー)

何回カフェを開催しても、毎回始まる前は少しドキドキ…
「今日は誰が来てくれるかな?」
そんなに不安なら、休む人のためのカフェがどんな場所か知ってもらえるようにしておこう。そんな気持ちもあって書いた今回のお手紙。

自分自身が「どう生きていったらいいんだろう」と悩み続けています。
そんな僕にとっても、カフェは心休まる場所。
誰かが来てくれるたびに、とても嬉しい気持ちになります。
焦っちゃうこともあるし、不安になることもあるけれど、
まあ、コーヒーでも飲みながら一息つきましょ。
そんな気持ちでやっているので、ぜひ会いに来てくれたら嬉しいです。

にっしー


大阪担当:野津 彩(あや)

0か100で物事を捉えてしまいやすい自分に、あわひの間の選択肢をみつめる考え方にいつも救われているなと思います。

カフェでは話したい人聞きたい人、ちょっと離れて好きな時間を過ごすなど、それぞれが過ごしたいように過ごしてもらいたいと思っています。

なので、私たちスタッフ含めそんな時間を過ごしやすいよう、その日のカフェに来てくださるみなさんと一緒につくっていけたらなぁという気持ちです。

お一人でもお知り合いとでも大歓迎です。
初めましての方にはどんな方なんだろう?と声をかけちゃうと思うのですが、その時は温かく受け止めてもらえたら嬉しいです…!

あや


京都担当:西村二架(ニカさん)

「元気になることを目指さない」「一緒に待つ」といった姿勢に共感し、下鴨ロンドでの京都開催をお願いしました。

私自身、ゆっくりでないと生きていけない中で、日々試行錯誤しながら生活しています。休む人のためのカフェに関わっているのも、「こんな場所を支えたいな」という思いもありますが、どっちかというと「こんな場所があれば、自分が休むときも休みやすいぞ」という気持ちの方が大きかったりします。

カフェが、私たちにとっても、来てくれる人にとっても、居心地よい場になればいいなぁ。
「休んでるけど、ひとりだと考えちゃってしんどい」「ちょっと人と話したいな」と思ったときにはぜひ、気軽にカフェに来てくださると嬉しいです。

ニカさん(撮影:渡邉耕希)


奈良担当:森本康平(もりもさん)

うつで休職していた頃、友人に紹介されてはじめて行った休む人のカフェは、いま休んでいる人や、しんどくなって休んでいた経験のある人が多く、事情を説明しなくても「ありのままでいていいんだ」と思えるような、心地のよい場所でした。

来たいときに来て、疲れたら早めに帰っても良い。
誰かに自分の話をしたかったらしてもいいし、人の話を聞くだけでもいい。
その感じが心地よくて、毎月楽しみに通っていた時期もありました。

そんなゆるやかな空間を、いろんな人に経験していただきたいなという思いで、これからは運営側としても関わらせていただきます。

運営側でも働きすぎず、休みたいときは休みながら、無理なく活動することが目標です(笑)
皆さんと心ほぐれるような時間を共有できることを楽しみにしています。


もりもさん

お菓子作り担当:高姓香織(かおりさん)

初めは友人の紹介で、豊中で開かれていたカフェイベントに参加しました。

体調不良で仕事を辞めてから5ヶ月くらい過ぎた頃、初めて出会う人に職業以外で自分を紹介することが難しく、少し戸惑ったことを覚えています。

上手く喋れなかったのに、そんなのまったく気にしてない様子の主催者にっしー。のんびり、ゆるく、久しぶりに人と話して自分がお菓子作りが好きだったことを思い出し、今は「おやつ班」の一員として、カフェでお出しするお菓子作りを担当しています。

なにかしたいな とは思うけど、自分で用事を作り出すのは難しい。
でも復職するにはエナジー不足。
体調に自信ないから先の約束事はプレッシャー…

そんな日々を過ごすなかゆるく人と繋がれて、少しの役割をもらえたこのカフェの存在に救われました。カフェの日に会えるみんなに感謝しています。

かおりさん


お菓子作り担当:中谷紫乃(しのさん)

わたし自身、働けなかった期間があったり、働いていてもベッドから起き上がれず休んでしまう日がありました。過去のわたしはひとりでそれを乗り越えなければならないと思っていました。

休む人のためのカフェは、一緒に悩めるし、一緒に立ち止まれるし、一緒に模索できる場所です。解決しなくても前進しなくても、誰も何も言いません。むしろそんな時間を大切にしたい。

一つの空間で誰かと時間を過ごせることが、ひとりを感じるあなたにとって、きっと居心地のいいものになればいいな。そんな気持ちで手作りのおかしを作って、いつでもお待ちしています。

しのさん


お菓子作り担当:坂東綾香(ばんちゃん)

わたしが初めてカフェでつくったお菓子はよく覚えています。
ウィークエンドシトロンです。
週末楽しく過ごすという意味です。

みんなゆっくり、お話ししたりぼーっとしたりしていました。その中に、ちょこっとお菓子とコーヒー。

いつもたくさん考えてる、あるいは何考えたらいいかわからないそんな人は、良かったら覗いてみてください。美味しいお菓子を用意して待ってます!♪


ばんちゃん


各開催場所の詳細

八尾市:地域コミュニティカフェyotteco
近鉄八尾駅より徒歩8分

大阪市:ゆるんサロン
地下鉄、谷町六丁目駅より徒歩5分
JR環状線、玉造駅より徒歩10分

豊中市:とよなかリレーションハウス
阪急「曽根駅」より徒歩7分

奈良市:ほんの入り口
JR奈良駅より徒歩14分
近鉄奈良駅より徒歩9分

京都市:下鴨ロンド
住所非公開(住宅街の中にあるため、希望者のみにお伝えさせていただいています。)
京阪:出町柳駅より徒歩20分

寄付のお願い

あわひの活動は全てマンスリーサポーター、月額寄付の力に支えられています。

「一人ひとりが自分の生き方を肯定できる社会に」ビジョンに掲げたこの言葉は、生き辛さを抱えている一人ひとりが、「うまく生きられない自分が悪いのではないか」と自分を責める必要がないように。たとえ自分自身を肯定できずとも、そんな自分なりになんとかやっている、その生き方は肯定できる社会を創りたい。そう思って掲げたもの。

自分を責めて、否定してしまうこともあると思います。そんなときに、「何をしたいかなんてすぐに決めなくてもいい」「よくわからない生き方をしている時間だってあってもいい」そう思える場があったらいい。

休む人のためのカフェはそれを一つ形にしてみたものです。まだまだこれから活動を広げていきたいと考えていますので、こちらの記事を読んで、あわひを応援したいと思ってくださった方は、ぜひ寄付という形であわひの活動を広げる仲間になってください。


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