めまいと感電

202009_めまいと感電

くもりびをあなたはぼくのTシャツを借りて炭酸水買いにゆく

血行がよくなるとよくないことを教えてもらう春の抜歯痕

コートのとれたボタンをずっとポケットにしのばせたまま月をまたいだ

さくらんぼみたいなものが生っていたきのうと伐採されていた今日

めまいと感電が同時にやってくるような4月 やわらかくパン焼き上がる

ハナミズキがぼろぼろになっていることに立体的なときめきが来る

インスタントコーヒーをお湯と牛乳で溶かす 昼過ぎまで二度寝する

遠目でそれとわかりかけつつ近づくと友だちのかたちになっていく

音楽も文学も漫画も生活もほんとはすきじゃないかもしれない

どこをゴールにしてるのかよくわからない砂埃たてているこどもたち

はつなつのバッドばつ丸のハンカチをだいじにもっていた日々のこと

川は蛇行を繰り返し海についたあとボーナスステージに入ってく

おもしろい動画をずっとながしてる5月のMacBookの光

ブランコの錆びてきしんでいる音がこのベンチまで届いてきてる

この公園に藤はないけど藤棚のような形の空間がある

爆竹のなにが面白いのかということが当時からずっとわからなかった

この花の名前はなんでしょう、っていうクイズを出したのはきみなのに

こどものころきみもどこかのコンビニでガリガリ君をたべてたのかな

こわれたら元も子もないことになる図面に注記をつけてゆく春

ハードオフにたくさん売ってある熊を買って帰るかまよってやめた

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