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カニバリカーニバル

カニバリゼーションとは「共食い」という意味だ。
何もカニを殻ごとバリバリ食べることではないと最初に断っておく。
断っておきながら、画像はカニである。
逆さまな状態で鳥にくわえられたカニである。
この後このカニはバリバリ食べられてしまうだろう。
カニをバリバリ食べることに関していえば、カニバリだ。
しかし共食いではないので、カニバリではない。

市場には必ずと言って良いほど競合がいる。
競合がいるから苦労するが、
競合がいるからその市場が活性化するとも言える。

カニバリゼーションとは、
自社のブランド同士がシェアを共食いしてしまうことを言う。
同じセグメントで似たような商品を出してしまったがためにシェアを奪い、
結果的に企業自体のシェア率はほとんど変わらない。
ブランド立ち上げのコストなどを考えれば、
ちょっと非効率じゃないの?となってしまう。

シナジーという言葉は、相乗効果や相互作用と訳されるが、
同じような要素を持っていながらも
結果が良く出るか出ないかで、使い分けられるように感じる。

カニバリゼーションもシナジーも、2つ以上のブランド展開にすることで、
相乗効果や相互作用を狙おうと行なっていることだろうと思う。
シェア率の拡大にしても、大量生産によるコスト削減にしても、
基本的にはシナジー寄りの目的を狙って行うことである。

狙い通りにいかずカニバってしまうのはなぜだろうか。
メーカー側としては全く違う(と思っている)ブランドでも、
消費者サイドから見たら同じブランドだと思われているのかもしれない。
好みの問題で、正直どちらを買っても一緒と思われてしまうのだ。
こういったことは日用品などの比較的購買への関与が低い物に多く起こりそうだ。

メーカー側の思い込みはいつの時代も発生するものだが、
市場自体も成熟気味で、イノベーションが起こりにくい状況に陥っている。
iPhoneを例にとってみても、新型に劇的な変化を見られなくなった。
スマートフォンが出始めた頃は、新型が出るたびに驚きの革新を感じたものだ。
「その手があったか!」と思えるような製品が少なくなった気がする。

先日から読み始めた本には、カニバリ上等!みたいな企業が紹介されていた。
プロセッサメーカーインテルの経営哲学は、自社をライバルにすることだった。
シェーバーメーカージレットのポリシーは、自社の製品を旧式にすることだった。

つまちイノベーティブな新製品を市場に出して、
市場を斡旋している自社既存製品を食ってしまおうという戦略だ。
カニバリ上等である。

リーダーとして、
市場を活性化することで自社を成長させようという意欲を感じる。

今後42枚刃のシェーバーが登場するとは思えない。
それはつまりオーバースペックである。
人剃りで顔中剃れてしまいそうだ。眉毛とかも含めて。

イノベーションが起きにくい世の中で、
カニバリ上等宣言をしたいものである。

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