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優男なんて演じるものじゃない

Q:この美女の隣に座っている人はどんな人でしょうか?
A:ミスターセンクス

慣れないことはするもんじゃないという教訓の話である。
運転中、稀にパッシングを使用する時がある。
パッシングとはヘッドライトをハイビームで一瞬照らすことであり、
それはそれは色々な意味がある。

運転中なので車を降りて言語コミュニケーションを行うわけにもいかず、
運転者はパッシングという行為に色々な意味を込めて発射するわけだ。
使い方によって相手に感謝されたり、怒りを買ったりと、
顔射されるリスクは少ないが、使い方が難しいテクである。
そんなパッシングワールドの中で、ミスターセンクスもアバ郎と生活している。

先日のこと、コンビニから道に出ようと悪戦苦闘している車が見えた。
美女かどうかはわからなかったが、道を譲ってあげようと思ったのだ。

我がアバ郎はかっこいい感じでスピードを落とし、
ミスターセンクスは優男だろうと言わんばかりの表情で、
ここぞとばかりにパッシング操作レバーを引いたのである。
「俺は余裕のあるいい男だ。先に行きなよ。」という意味を込めた。

その刹那、ミスターセンクスの視界が一気に遮られたのだった。
何が起こった。
妄想が過ぎて頭がおかしくなり、異世界にワープしたのだろうか。

発射されたのはパッシングではなく、ウォッシャー液だったのだ!
いくら発射好きなセンクスだからといって、
このタイミングにまで液体を発射することはないのだ。

その恥ずかしさを助長するかのようにワイパーが動き、
その様子を見ていたのか見ていないのかわからない、
美女かどうか、男性か女性かもわからない相手方の運転手は、
大変バツの悪そうな感じで、アバ郎の前を曲がっていったのだ。
あんなにバツの悪そうな車の挙動を見たのは、
生まれて初めての経験である。

ご存知の通り、我がアバ郎はイタリア小僧なのであり、
日本車と外車では、ウインカーとワイパーのレバーが逆だ。
乗り初めは右折したいのにワイパーを動かしてしまったり、
色々な失敗を繰り返した。

それはそれで恥ずかしい思いをするのだが、
ウインカーでワイパーのパティーンはなんとなく許せる。
しかしパッシングでウォッシャーはなんとも許せないのである。

実際にブシャーと出てしまっているわけであり、
その派手さと言ったらウインカーワイパーの比ではない。

慣れない外車で慣れないパッシングなどするとこのような目に会うのだ。
しかし、優しさというものは世の中を豊かにするわけである。
私が見せた優しさが相手に伝われば、
その優しさを他の誰かに向けられるかもしれない。

多分美女だった先日の運転手の方が感謝と爆笑に満ちていたら、
それだけ余計に世界が優しさと平和に満ち溢れるであろう。

そう考えたら自分の恥など捨て、
しばらく間違え続けてやろうかと思えたりもするわけなのだが、
パッシングウォッシャーはあまりにも滑稽な姿である。
ちょっとアバ郎がかわいそうな気もする。

面白い優男として生きるか
カッコ良い優男として生きるか
パッシングウォッシャー問題は男としての生き方そのものである。

ミスターセンクスは「カッコ面白い優男」のブランドを牽引
していくつもりだ。
あれもこれも、全ては美女のためである。

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