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損保の現場~営業と損サと本社~

GWの中日、事故受付の登録をSCの半数メンバーで行ったが、折からの自粛生活により、事故受付件数が想定よりかなり少なく、時間的余裕があったので、自分が気になることを調べた。

気になったことは、サイバーセキュリティ保険の実務。
引受と支払実務を知り、今後必要な際 丁寧な契約者説明を行いたいから。
特定の契約、事故事案から契約者の属性、引受方法、事故受付、有無責判断、解決方針などを調べた。

契約者はIT事業者、取扱代理店は乗合代理店。
取扱代理店は、取引損保の営業担当者に補償内容、保険料を相見積させ、
営業担当者が様々な難関を突破し、契約を受注
受注にあたり、営業担当者が当該契約の準備を上司や商品部を巻き込み丁寧に行ったことは推察できるし、代理店との関係構築にも相当気を張っていたことと思う。

しばらくし、同保険の事故が発生

事故事案担当者が約款を丁寧に読み込み、上司や損害部を巻き込み初動を行った結果、ある特約が付帯されてないため免責と判断した。

その後、営業担当者、事案担当者、本社(商品部、損害部)担当、鑑定人、顧問弁護士、リサーチ会社の方が契約者、代理店に何度も丁寧な調査を行い、商品部が想定してない約款解釈で有責方針となった。事故受付から方針決定まで1年弱。

営業部門は、契約者・代理店とのの関係を壊したくないがため、
契約補正したい旨や滅茶苦茶な約款解釈を損サ部門に押しつけ、
損サ部門は、必死で契約を受注したプロセスをリスペクトせず、
特約を知らずに引き受けた営業部門を小馬鹿にした態度を取っていた。

損サ部門は、有無責判断や損害調査方法などを営業部門に伝え
営業部門は、契約者の加入動機や想定するリスクを損サ部門に伝え
本社部門(商品部、損害部)は、想定するリスク、有無責判断などから普約で対応できるのか、個別特約の検討が必要なのかを両部門と共有する。

引受前に、このサイクルができていれば、迅速な解決方針ができたはず。
勿論、全ての契約でこんな芸当はできないが、特に大口契約では実施すべきと考える。

損保社員は、同じ会社、同じ商品なのに、部門が異なるだけで
見方や必要な知識、カルチャーがまるで異なる。
逆に、異なる部門のカルチャーを理解し共有することで、
契約者・代理店⇔保険会社のエンゲージメントは一気に高まる。

余談だが、私が営業担当だった際のエピソードを紹介する。

当時、支社管内で一番マニアックかつ気難しく、専属で収益率の高い代理店を担当しており、何度かご要望に応えられず、その度 九州弁で烈火の如く叱られた。ある日、自治体の〇〇文化財の移転工事に伴う保険の話を預かり、請負契約書から、見積書を作成してくれと連絡があった。

よく話を伺うと、文化財の基礎からウワモノだけを移動させ、ウワモノの
修繕が終わったら、元の基礎に戻すとのこと。
修繕だから組立保険をベースにすることは、すぐ判断できたが、移転部分の補償がまるで思いつかない。外出先からタブレットで仮想環境の社内
イントラで検索するも、ヒットしない。
商品部の社員(キャリア浅い)に聞くも、対応できないとのこと。実務から離れた上司も知らない。上司経由で商品部に調べてもらうことに。

一方、回答を待つ間 自分なりに必死で社内リソースを検索しまくった
結果、社内規定(通称 内規)に「曳家特約」なるものを発見。
すぐに、商品部に問い合わせたところ、ビンゴ。

喜びよりも、ホッとしたのを覚えている。
この件をきっかけに、代理店との関係は凄く良くなった実感があった。

しかし、こういった現場のナレッジを全社員が共有できる制度、仕組、
インフラはない。


若手層に多いが、1日~2日他部門交換制度を使った程度で互いの
カルチャーを理解することは困難だ。私が営業から損サに異動した際、
カルチャーフィットに非常に苦労した。

現場の定型業務を自動化させる動きから、僅かであるが現場社員の
時間が創出されつつある。
また、現場と本社が知識・ノウハウを必要な時に共有すべくオンライン会議
システムが稼働しはじめた。
コロナ禍で様々な業務の在り方が見直されている今こそ、保険会社社員は
募集・引受・契約・保全→事故発生・受付・支払までのカスタマー
ジャーニーを共有したい。

保険料を支払う決断をされた契約者、契約実務・事故窓口の最前線に立つ
決断をされた代理店・扱者、保険商品を通し社会に役立ちたいと願う
保険会社が持続可能な発展ができるように。

         写真:毎日新聞社 南海本線 浜寺公園駅舎 曳家工事

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