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アカイアカイシンドローム【ショートショート】

由紀
「それでね!告白したんだって!」

そんな他愛の無い恋バナから始まった私達のお泊まり会。

友達とのお泊まり会は夢にまで見た理想の青春で、私はとってもウキウキしていた。


由紀
「もーそろ23時じゃん、早すぎ」

絢香
「ほんとだ…。寝るかぁ…。」

紗夜
「ねぇねぇ、じゃあさ、寝る前に一つだけ、怖い話していい?」


「何それぇ…ヤバそう」

紗夜
「まあまあ、聞いてよ…」

あの時私は、怖い話なんてやめようって止めるべきだったんだ。

こんな恐ろしいことを引き起こしてしまう前に…。


紗夜
「昔、西洋のとある国に、マリアって女の子がいたの。その子はいつも真っ白なぶかぶか頭巾に身を包んでて、マリアの顔は誰も見た事がなかったんだって。」

「マリアは親からの命令で学校にも通わず真っ赤なバラを売る仕事をさせられていたの。」

『赤い赤い、真っ赤なバラはいりませんか?』

「って言ってね」

「マリアの可愛い声のおかげで買う人が多かったんだけど、次第にマリアが疲れてきて、ある日声が枯れてしまったの。」

『アカ、イアカイ、マッカナバラはイリマせんか?』

「その声はとても聞いていられなくて、誰も近づかなくなって、マリアは次第に親から見捨てられるようになった。」

「そして遂に、マリア自ら手首を切って、命を絶ってしまったの。」

「真っ白な頭巾を、真っ赤に濡らして。」

「それからしばらくして、マリアの親の全身に、赤い斑点が現れて、目が真っ赤になって不自然な死を遂げた。」

「それはマリアの呪いとして街に語り継がれたの。」

「だけどね、マリアの呪いはそれだけで終わらなかった。」

「街の人が、ある日」

『アカイ、アカイ、マッカッカ…アカイフクハ、イリマセンカ?』

「という掠れたマリアの声のようなものを聞いて、翌日、失踪してしまったの。」

「それから街の全体にその声が広がって、ついにその街は人がいなくなってしまった。」


紗夜
「どう?」

由紀
「怖すぎww」

絢香
「え、やだぁ…」


「寝れないって!」

紗夜
「大丈夫だって!ここ西洋じゃないし?」

由紀
「確かにぃ」


『アカ……………マッカッカ…………イリマセンカ?』



「え?」

由紀
「どしたぁ?」


『アカイ…………イ、マッカッカ………フクハイリマセンカ?』


目の前にいる紗夜と由紀と絢香の顔が青ざめていくのがわかる。

声が聞こえる。

こっちに、近づいてきている。


「ねぇ、やばいよ…これ、私たち、死んじゃうの…?」

絢香
「そんなわけ…」






『アカイ、アカイ、マッカッカ…アカイフクハ、イリマセンカ?』





ドアが開く。

血がしたたる。

明日、私たちの命は、どこへ行ってしまうのだろうか…。


あとがき>>

今回からあとがきコーナーを付けようと思います!

題名がカタカナだけって怖いけど見づらいですね…。
このアカイアカイシンドロームは、シンドロームという単語を使って何か書けないかなぁ、というふとした疑問から生まれました。

シンドロームって響きカッコよくね?(中二病)