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【番外編】R4.1.1施行 著作権法の一部を改正する法律案 ②放送番組のインターネット配信

R4.1.1施行 著作権法の一部を改正する法律案 についての検索URLと、図書資料に関する法改正は 前半ブログ その1 に書きましたのでそちらをご参照いただければと思います。

その2では、放送番組のインターネット配信に係る法改正について調査、解説して参ります。

その2:放送番組をインターネット配信するときの著作権はどうなるの?

レコードに針を落として聴いていたあの頃。カセットテープレコーダーが出現したときは驚きで夢中になり。。。次にβやVHSの対決、CD,MD,LD,…いまや、スマホの中に動画があり、サブスクで一週間待たずにアニメの次回が楽しめる。note、YouTubeチャンネルで自分も発信者になる時代です。
昭和14年の仲介法から平成13年に登録による管理制になった歴史がありました。

 この比較をみて、対象になる範囲が広がって、登録することで多少面倒が減った感じはしますが、結局のところ登録した事業者を管理する団体が必要なので、許可を与える実務の総量は変わっていないのではないか?と感じました。

さて、この法律の放送番組に関する部分の概要はこのように書かれています。

著作権法の一部を改正する法律案(概要)

 この赤字タイトルには「放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化」とあります。しかし、法律文ではインターネット、という言葉は出てきません。 法律文では、自動公衆送信 がインターネット配信、に該当します。そこに同時配信等が加わりました。例えば、スポーツ中継を、地上波と同時にAbemaTVでも放送していましたね。他にもTVr、NHKプラスなど、一定期間見逃した地上派番組がインターネット配信で視聴できるサービス(見逃し配信)なども対象です。また、権利処理、ですが、前半ブログその1でも説明したように権利とは著作権です。著作権(について許諾や補償金の必要性有無について)の処理、のことです。 従来は、放送番組についてのみ規定されていましたが、インターネット配信される放送番組についても、権利処理が円滑に行われるために法改正されました。

➡(筆者つぶやき)法律文って、カタカナ語を使わないようにしているの?笑 定義するためには、漢字のほうが共通概念が確実、ということなのかな。 小池都知事よろしく、最近の行政や政府が国民向けに用いるカタカナ語(例:シビックプライド、デジタルトランスフォーメーション、EBPM、デジタルマップ、アジャイル型・・・etc.)は、枚挙にいとまがないくらいなのに。国民への説明と、法律文はずいぶん乖離しているなぁと思います。

ではここから、この概要の5つの<措置>について解説していきます。

①放送では許諾なく著作物等を利用できることを定める「権利制限規定」(例:学校教育番組の放送)を、同時配信等に拡充する。


 権利制限、は二重否定です。権利(著作を許諾なく使わせない権利)を制限する、ので、特別な場合は許諾が無くても使える、になります。法改正により、インターネットでの同時配信による番組放送にも適用されることになりました。権利制限規定リストはコチラをご参照ください。

②放送番組での利用を認める契約の際、権利者が別段の意志表示をしていなければ、放送だけでなく、同時配信等での利用も許諾したと推定する「許諾推定規定」を創設する。


  許諾推定…要するに、やっちゃダメって書いてないし言ってないから使ってもいいんだな?と思っていいよ、ということです。これはめずらしく、ホワイトリスト的な決め事ではなく、ブラックリスト(書いてないからOK)的だと思いました!

説明資料P23

使っちゃいけない写真を隠すことを「フタかぶせ」っていうんですね!これっていわゆる、ギョーカイ用語でしょうか?

③集中管理等が行われておらず許諾を得るのが困難な「レコード(音源)・レコード実演(音源に収録された仮称・演奏)」について、同時配信等における利用を円滑化する。⇒事前許諾を不要としつつ、放送事業者が権利者に報酬を支払うことを求める。

 この、集中管理、という言葉!気になりますよね笑 つまり、先に説明した登録制度において、登録した事業者が管理すること、です。その管理ができないような著作物については、許諾も得られないので、登録事業者がその著作物の権利者に補償金を支払えば、許諾なしで使ってよい、ということです。
 この登録管理業者は、文化庁長官が指定する団体に限られます(黄マーカーのところ)。

著作権の一部を改正する法律案(説明文)p24

この団体は、芸団協CPRA といいます。
このような仕組みになっています。

芸団協CPRAのHPより


このCPRA、なんだか、すごい権限をもっている感じがします。。。集中管理、ってそういうことですよね。

※ちなみに、レコードは著作権隣接権という扱いになります。
元の作品(作曲・作詞・楽譜出版)の副産物、と考えれば分かり易いでしょうか。元の作品として"著作権"を取り扱うのは JASRACになります。
JASRACの許諾の流れはこのようなポンチ絵がJASRACのHPに掲載されていました。

JASRACホームページより


(筆者つぶやき)集中管理する範囲が、このように階層的に分類されていることを今回の調査で初めて知りました。この副産物の形態が、技術革新によって今後も予想もできない仕組みが出来ていくことが予想されます。
これを政府の監視の下に、集中管理しようとすることには、限界がでてくるのではないでしょうか。いや、もうすでに限界なのでは。。。

④集中管理などが行われておらず許諾を得るのが困難な「映像実演(俳優の演技など)」について、過去の放送番組の同時配信等における利用を円滑化する。⇒事前許諾を不要としつつ、放送事業者が権利者に報酬を支払うことを求める。
  
③と意味は同じです。

⑤放送に当たって権利者との協議が整わない場合に「文化庁の裁定を受けて著作物等を利用できる制度」を同時配信に拡充する。

  これをポンチ絵で示すと、このような流れになります
 
いままでは、この制度が、同時配信(インターネット配信)には当てはめられず、配信ができなかったのです。この法改正により可能になりました。

著作権の一部を改正する法律案(説明文)p31


以上が、令和4年1月1日に施行された法律の放送番組についての部分の解説になります。放送技術や、配信サービスの進歩により、今後もこの法律が現実社会を追いかけるように改正を重ねていくのでしょうか。
それを、規制改革、規制緩和、というのでしょうか。

この令和4年施行の法律案は、令和3年第204回国会において法律第52号として成立したものです。時の政権は、菅政権です。 規制改革の方針として、インターネットでも番組が見られるように著作権法を改正する、と演説されました。18:56ごろから。(演説の原稿はみつかりませんでした)

世の中の変化に対し、法律も少しずつ改正されています。
著作権は私たちにも身近な法律です。
これをきっかけに、この法律に興味を持っていきたいです。

かわさき減税会
減税あやさん💛

追伸 今国会の法律と間違えてしまったのですが、めっちゃ勉強になりました!菅さんに再会したような気持ちでした。ツイてます✨ふわふわ~

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