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救国シンクタンク自治体経営研究会第3回セミナー「地方自治体が担う安全保障とはなにか」R5.12.9 まとめver1.2

  

はじめに

 今回もアクティビストとして参加することができました。江崎道朗研究員は、フォーラムでは進行役的立場でいらっしゃることが多く、生でじっくりと拝聴するのは実はこれが初めて、でした。満席となり、倉山満理事長も感激されていました。参加者の顔ぶれは、いつもの渡瀬裕哉研究員が主体の減税に関するイベントではお見掛けしないお顔も多く見られました。
 以下、成果報告タイム、第1部、第2部、おわりにの順で学びと思い出を記録しておきたいと思います。


成果報告タイム

 前回のように、冒頭30分は地方議員による成果報告タイム。式次第をみると、川崎市議の日本維新の会 岩田英高さんの名前があるのでちょっと驚いてしまいました笑 聞いてないー!笑 6名の議員から、熱のこもった報告に対し、渡瀬研究員から寸評がありました。

武蔵野市議 日本維新の会 東山あきおさんに寸評する渡瀬裕哉研究員

 恐らく後日、YouTubeチャンネル、チャンネルくらら から、各議員の報告動画がアップされるのではないか、と期待しています。
 

各議員の発表と渡瀬研究員の寸評


議員の活動報告

 事務事業評価公開、や条例作成、内容の改善、の提案。事務事業評価を根拠とした議会質問 でした。
 公務員給与削減議案への反対への抵抗。
 地元減税会の勉強会が大変役に立った、この場でお礼をいいたい。
 アウトカム指標を大事にしたい。
 何度も質問すると、行政も言わざるを得なくなる。
 行政から前向きな答弁があった。
 
渡瀬裕哉研究員寸評
 公務員給与を削減せず、給与を上げるには、自治労への組合費不払いにより2%増える。
 今は減税を言う議員はアタオカかもしれないが、今後評価されるようになる。
 無所属なのに、公明,共産に伍する会派を作ってスゴイ!(衣川 長岡市議)
 事務事業評価から質問すると、行政も回答せざるを得ない。
 事務事業評価シートを作れないはずがない。
 何度も質問することが大事。
 

やはり、議員がこのように成果報告する場がある、ということは大変重要なことだと思います。今後もこの場が盛り上がることを期待します!

第一部 台湾有事は尖閣有事!

行政評価(事務事業評価)と国防は関連している

 議会報告からの流れで、江崎先生が大変重要な点に触れてくださいました。
 江崎先生が、国防に興味を持たれたのは、自衛隊火薬弾薬の話から、とのことでした。有事において、物量、が大事である。しかし、我が国は備蓄ができているのか?と疑問に思ったそうです。調べてみると、劣化していて使えない代物だった。なぜそうなったのか。 確認していなかったからなのだ、と。使わないからほったらかしだった。
 予算がついても、評価、点検をせず放置すればそれはドブに捨てたのと同じことになってしまう。それが国防予算であれば、行政評価がなければ国防も立ち行かなくなってしまうのだ、と。
 行政評価(事務事業評価)の必要性はあらゆる行政分野において主張できることだと思いました。

激変する国際・国内政治 年表でみる変化と重要ポイント


1976(S51)年 三木内閣 防衛費1%
……
2001(H13)年 中国がWTOに加盟。経済的に台頭
2003(H15)年6月 有事関連三法のひとつ、(通称)事態対処法、が成立
2008(H20)年 キーティング米太平洋司令官の証言。
        「中国側から太平洋分割統治案を受けた」
          ➡ 東南アジアは中国に任せろ!
2009(H21)年 オバマ政権発足 
         ★以後2017年1月まで、中国の台頭を放置した政策
2012(H24)年12月 第二次安倍内閣発足
2013(H25)年 中国 一帯一路を提唱
2013(H25)年 DIMEに基づく国家安全保障戦略を策定
2013(H25)年 特定機密保護法 成立
2015(H27)年 中国 製造強国を目指す
2015(H27)年 平和安保法制 成立  
         事態対処法には地方公共団体の責務も規定
          ①「武力攻撃事態」
          ②「存立危機事態」追加➡自衛隊法改正
             特定公共施設利用法
 
以下の施設について、
総理大臣が自衛隊と米軍が利用できるように調整と指示 
1港湾施設 2飛行場施設 3道路 4海域 5空域 6電波 
 ➡非常に画期的な法律なのだが、
  訓練などがほとんど行われていない現状
  総務省、国土交通省に軍事が分かる人材がいない。

2017(H29)年12月 トランプ(共和党)政権 国家安全保障戦略を改定。中国を現状変更勢力、と名指しで批判。アメリカは半世紀、中国への寛容な政策が続いていた。
2019(H31)年 日米物品役務相互提供協定 日米ACSA(The Acquisition and Cross-Servicing Agreement) 台湾有事(50万人の動員が必要になるための、物資などを共有する)の枠組み
2020(R2)年3月 バイデン(民主党)政権 暫定国家安全保障戦略指針  国内投資拡大と国際ルール変更で中国の覇権阻止
2021(R3)年5月 実働訓練「アーク21」実施。九州、南シナ海で米仏豪軍
2021(R2)年10月~12月 沖縄沖 6か国共同訓練
2022(R3)年秋 バイデン政権「総合抑止」方針。
         ★もはやアメリカだけでは守り切れない現実。
2022(R4)年4月 防衛省「防衛政策・防衛力のあり方などについて」
(自治体で)空港・港湾の優先利用の確保について平素から調整が必要
2022(R4)年11月 岸田政権「経済安全保障法制に関する有識者会議」で11分野を提示し、第2次補正予算 で1兆358憶を計上。有事に備え民間に調達を要請し、政府が経費を負担。 ➡さしあたって、本気、という予算額。
2022(R4)年12月 「脅威抵抗型」防衛力整備を目指す国家暗線補償戦略と5年間43兆円の防衛予算を閣議決定。 
  ★岸田総理発言「率直に申し上げて、(我が国の防衛力は)現状は十分ではありません」(令和5年11月22日号 江崎研究員による救国シンクタンク 会員むけメルマガ参照 総理大臣として初めて正直に公言した意味は大きい。そして事態の深刻さを示している。)

 以上、年表を示しつつ、重要事項を書き出してみました。オバマ政権が、中国の野心を知ってか知らぬか、東南アジアへの行動を見てみぬふりをしたために中国がその経済と軍事を拡大させてしまった。
 いまや、アメリカ一国ではそれを押さえることができなくなりました。
日本は安倍政権、岸田政権のもとで法律を改正し、国防に力を入れてきていることがわかるが、そこに投じられてきた予算は果たして有効に使われたのでしょうか。そして、法律は適切に運用され、地方自治体はその役割を果たしているのでしょうか。

第2部 地方自治体での役割とは

 以上のような国際情勢の変化と国内の法整備や政権の目指すところの変化から、地方自治体でも国防に協力する必要が出てきている。以下、3点にまとめました。

1 自治体インフラの利活用

 2022(R4)年12月 防衛省の要望をうけ、国家安全保障戦略で、自衛隊・海上保安庁による国民保護の対応として、有事を見据えた子空港・港湾の利活用に関するルール作りを行う。これは地方公共団体、住民の協力を得て進めることを記したものが、閣議決定されました。 ➡★ 日本で初めて!

2023(R5)年8月 「総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議」において九州四国の公共インフラを強化し、平時から自衛隊・海保が利用できるような枠組み設置を決めました。

2023年(R5)年11月 大分県と鹿児島県の空港で自衛隊戦闘機の離着陸訓練が行われました。

2 火薬庫・弾薬庫の整備

  火薬庫施設そのものが老朽化し、耐震設計になっていない。予算不足と、使うことが無い、という意識のため放置されて使い物になっていません。しかし、いざ有事となれば、兵站の管理は最重要事項です。
 政府は2023(R5)年「骨太の方針」で防衛力をこの5年で強化する、とし、「隊舎、宿舎の老朽化対策」も盛り込んだが、防衛省幹部は来年も使える、と先送り。幕僚長は予算の優先順位を考える、としています。
 懸念されるのは、弾薬庫の建て替え、に対して共産党を中心とした「市民」運動による施設の危険を煽るようなプロパガンダ、行動です。
 しかし、施設管理については省令で規定され定期検査も実施しています。
 共産党は、耐震強化の整備でさえも反対してくる可能性がある。このような反対に対しての対策が必要です。

3 住民避難計画

  国家安全保障戦略「国民保護のための体制の強化」では、武力攻撃の前に住民の迅速な避難の実現のための行動が記されています。
 2023年3月には先島諸島の住民12万人を九州各県に避難させる想定訓練が行われました。
 玉木デニー知事は、中国寄りの思想ではないか、といった話も聞かれるが、この避難計画については受け入れざるを得なかったのです。イデオロギー以上に、住民の生命・財産を守ることが、地方自治体の最重要目的だからです。
 今回は九州県が対象でしたが、今後日本全国に、避難者受け入れの要請があることが予想されます。

4 地方議会でのとりくみ

 以上3点をうけて、地方議会ではどのような質疑や取り組みができるだろうか。質問タイムでは、議員から次々と手が挙がりました。以下、箇条書きでポイントを示します。

 このような「危機」「国民保護」に対応する部署が、地方行政に置かれているだろうか。あるとすれば、どの部署になるのか、などを質問で確認する。

 市長が、このような課題について前向きかどうかを監視する。

 もし、防衛策について反対意見がある場合は、ファクトをおさえる。
防衛省や閣議での公式見解など、公開情報に基づき、冷静客観的に事実で対処する。

 政治は論争することではなく、いかに味方を増やすか、である。

 地方自治政治は、イデオロギーの戦いではなく、住民の生命・財産を守るという現実が第一義である。

 本土は九州圏に比べ、他人事感覚が感じられることが、当事者にとっては辛いものがある。

 防衛は国策であり、インフラ整備のため民間企業を誘致すれば地域の経済活性化にもつながる、という経済的視点で提案するのも有意義である。

 自衛隊と地方自治体の連携、連絡、風通しを良くしていることが大事。

 政治家がこのような政策に関心をもつことが、役人にとって励みになる。

防災から防衛へ誘導する、という考えについては、防災を強調することにより国民保護が不要、という流れができてしまうことは避けたい。

 左翼的妨害に対し、議員は行政と情報の連携をとること。今後、妨害的行動や報道、プロパガンダが増えていくと予想されるので、それに対抗していきましょう!

あとがき

 いままでなんとなく聞き知っていた、安保に関する言葉が出てきました。今回セミナーまとめのため、年表を改めて書き起こしたことで、日米政権の変化や、法律の流れが少し明確になったことは大変勉強になりました。
 地方議会においても、国防関連であれば、保守系政党なら関心のある質問がいくつもできるのではないかと考えます。
 行政評価と国民保護政策を併せて考えてみるのも、減税と規制改革への理解者を増やしていく上であらたな視点を与えられたと思います。
 偶然なのか、このセミナー翌日、NHKスペシャル番組で「安保三文書と変貌する自衛隊」(タイトルは現時点でうろ覚えですが😅)があり、まさに、弾薬庫の改修、増築について市民集会で”危険”を理由に反対するシーンが映し出されていました。しかし、なぜ安保三文書により軍備が増強されるのが必要な状況なのか、中国の状況については、番組ではほとんど触れられていませんでした。
 またAmazonプライムで、このような番組をみつけました。こちらは、アメリカからみた、自衛隊の防衛戦略がテーマとなっている番組でした。
とても面白かったです。よろしければご覧ください。
 ”Defending Japan”

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0876GS47G/ref=atv_dp_share_cu_r

 次回のセミナーの申し込みが開始されています。こちらからお申込みください!

 セミナーに参加されなかった地方議員の方にもぜひ、当ブログや救国シンクタンク自治体経営セミナーについてご紹介いただけると嬉しいです。

以上
減税あやさんの報告終わります!(''◇'')ゞ 

追伸
当ブログ公開した直後、このようなおめでたいニュースが飛び込んで来ました!江崎道朗先生、誠におめでとうございます㊗️


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