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神社の娘に依る《絵馬に願ひを》考察其の弐「星空  へと続く坂道」

リアル神社の娘(かつ現役神職)による、Sound Horizonの新譜『絵馬に願ひを(PE)』考察、前回の続きです。

今回は、「星空  へと続く坂道」を書いてみたいと思います。


★参詣す

参詣す、とは現在それを行う意思を持ちます。参詣せり、は過去形なので、参詣は済みました、となります。さて、青色で朝を表し、太陽がモチーフの方向に過去形が持って来てあるのは何故なのか。

Neinで、ミシェルが朝夜の人形を逆に説明していた事を思い出します。


★星空  へと続く坂道

何故タイトルに空間が空いているのか超気になるんですが。てか、お星様に続く坂道ってそのまま死亡ルートって意味に読めちゃうんですが。。

歌詞の内容は、掻い摘んで言えば(歌詞全文は私も書き起こしましたが、恐らく他ローランが素晴らしく書き起こしていると思いますので省略して)

主人公の姫子が、父親が入院する病院から、このまま回復しなかったらどうしようと心配になって、神頼みをしに神社に訪れる所までになっています。

歌詞の中で 生、死、春の陽、影 にそれぞれ色がついていました。第五の地平線色が強い印象です。


★神社関係者《Revoと似て非なるもの》と姫子の会話

神社関係者のセリフは、ほぼ想念で姫子に送られていました。そして姫子は初めは口に出ていたセリフも、神社関係者に想念でOKと言われて想念での会話になっていました。

つまり、ここからわかるのは「人間として神社に仕える宮司と巫女ではない」と言うこと。陽葦火山神社の場所に、恐らく被せるように浪欒神社があるけれど、この神社は「幻想絵巻」の地平線にあるという。

人間で神社にお参りに来た筈の姫子は、どうなってしまったのか・・・


★神社関係者のナレーション

壱、鳥居をくぐる際は一揖し給へ

=「揖」とは神職が祭典に於ける所作の中で、お辞儀をすることを言います。つまり、一回ぺこりと頭を下げてお辞儀をしろ。ということです。


弐、参道の正中、通るべからず

=参道は鳥居から先、社殿へ向かうまでの道のこと。正中とは中央のこと。鳥居の中は神社の境内地と解釈し、参道の中央は神様の通り道だから人間はそこをあけておきなさい、ということ。


参、おおつと、手水舎スルーするべからず

=ここ、つを大文字で書いている所で、Revoさんの本気度が垣間見えました。「おおっと」を歴史的仮名遣いで書くとおおつとになります。手水舎(てみずやと読みます)は、参道の途中にある手を清める場所です。ここで参拝者は神様に会う前に手や口を清めます。手と口を清める理由は、神様に対し拍手を打ち願い事を口にするからです。


四、あ、今、御守り落とした。からの…気付かずに踏みつけた。

=これは解説いりませんね^^;;;;; 4は漢字変換出来なかったです


伍、御賽銭は雑に投げるべからず

=これも解説不要ですね


陸、当然鈴緒も雑に鳴らすべからず

=これは、社殿前に下がっている鈴のことです。因みに、新型コロナの影響で取り外させられている神社もある様子。


漆、普通の神社ならば弐拝弐拍手は悪くないだらう。だが、雑にするべからず。

=先ほど鳥居では「揖」と出てきました。揖は一度だけで角度も60度までです。神に向かって改まってお辞儀をする時は、「拝」となりその角度も90度頭を下げます。回数も様々です。

※神社関係者のセリフ部分は押し並べて歴史的仮名遣いで書かれていますが、「悪くなゐ」の場合は「悪い」を「ない」と否定しており「ない」は「無き」の音便変化にあたるため、「悪くない」と表記するのが現代祝詞作文のルール上の歴史的仮名遣いとなります。「だらう」の表記はお見事です! とは言え私も歴史的仮名遣いは苦手。この辺り、徹底的に調査するRevoさんがどの時代の歴史的仮名遣いを参照したのかが解らないので、なんとも言えませんが・・・。第八の地平線は是非とも校正で携わりたいですもし良ければ(独り言)。

※この歴史的仮名遣いについて、以降何度か指摘をしますが自己解決して居ます。


捌、願ひ事を声に出すのも悪くないだらう。だが、今回だけは例外だーこれ、其処なる女

=解説は不要ですね


因みに姫子の発言は現代仮名遣いで、神社関係者の発言は歴史的仮名遣いになっています。と言うことは、神社関係者は遡った時代の存在ということでしょうか。

歴史的仮名遣いでは、その後の「何か失礼な事を言はれたやうな気もするが。まあ良。←ここもゐになっていましたが、ここも「良き」の音便変化と考え「良い」で良いと思います。他は流石パーフェクトです。ここまでしっかり歴史的仮名遣いを使っておられるので、もしかしてよゐはNGなのをわかった上でワザとやっているのかしら・・・。


★ー縦糸は紡がれ

Moiraモード入りました。事の細かい経緯こそ知りたい所なのですが、そこは第八の地平線で語られるのかしら。


★捌拝捌拍手で、今一度拝礼してみ給へ

これ、サラッと流しがちですがここめちゃヒントですよ!!!!

通常神社では「二拝二拍手」です。但し、八度拝を行う神社が存在します。それは伊勢の神宮です。皇室の皇祖天照大御神をお祭りするあそこです。

神宮と同じ拝礼を要求すると言う事は、陽葦火山神社から浪欒神社にチェンジするにあたり、伊勢の神宮と同じ拝礼を要すると言う事は・・・

ここで、前回の記事のおさらいです。姫子はコノハナサクヤヒメと同一視出来る名前です。そしてコノハナサクヤヒメは、天照大御神の孫である瓊瓊杵尊の嫁です。因みに産んだ子供も火の神です。

※因みにCDではゆっくりと8回拍手を打っていましたが、神宮の八度拝の拍手の打ち方は特殊なのであれとは異なります。打ち方にまで言及すれば、神宮とは被せていないかもしれませんが、神宮の拍手を知っている人はそう居ませんから、やっぱり八度拝で被せた線も押さえておきたい所です。(私の心の声:Revoさんに伝えてええええええ><)

※もう一つの仮定として、実はこちらの線が濃厚なのですが(笑)拍手や拝礼には、「数が多いほど丁重である」というルールがあります。普通の神社が二拝なのに対し、国津神をお祀りしている出雲大社が四度拝、天津神をお祀りしている伊勢の神宮が八度拝を行うことも、より丁重に御祭神と向き合っているからということになります。つまり、単に姫子に「より丁重な拝礼」を要求しただけ、と言うことかもしれません(上の考察は勘ぐりすぎたかも(^^;)

と言う事を踏まえれば、まぁいずれにせよ浪欒神社とは、神話の起源に迫る次元を包括する《時空を超える幻想絵巻の地平線》にある神社。と仮定出来ました。






★この曲中の歴史的仮名遣い

本作は神社がモチーフなので、随所に歴史的仮名遣いが出てきます。そこに苦戦するローランももしかしたら居るかもしれません。Revoさんも、よく調べたなぁと驚きました。

ところで、今回Revoさんがどの時代の仮名遣いを採用して歌詞を記したのかが解らないので、断言もできませんし私自身も歴史的仮名遣いは苦手なので、恐る恐る書きますが、現代の祝詞作文に於ける歴史的仮名遣いのルールから言えば、何箇所か気になる部分があり、初見で「RevoさんこういうCD出すなら私にも関わらせて欲しかった〜〜っ!!」と、枕を涙で濡らしました( ;´Д`)

具体的には以下です。もしRevoさんの意向をご存知でご本人にお伝えすることができる方が、万が一ここをご覧になっていたら、宜しければお伝えしてみてくださいませ。

と、ここまで書いてなんですが。

本当は、浪欒神社までガッツリ書きたかったのですが、星空へと続く・・・だけで3000文字書きまして、ちょっとくたびれたので、浪欒神社はまた次回書きたいと思います。

浪欒神社では、祝詞の解説多めでいきたいと思いますので、お楽しみにっ!!!


※本考察はプロローグエディション時点で書き記したものです。