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猫のあいさつ〜万事塞翁が馬

我が家の庭は、私が子どもの頃からそれはもうずーっと、野良猫のトイレになっていました。

毎日こんもりとフンをされ、毎日母が泣きながら片付けをしていた記憶があります。


母が亡くなってから、園芸に興味がない私は庭を放ったらかし。
猫のフンは積もり積もって庭は臭くなりました。


困ったものだと思っても、猫は知らんうちに庭に来て用を足してゆく。

庭が臭くて夏場はハエが飛ぶこともあり、隣家に申し訳ないので色々対策をしてみました。

猫が嫌うというハーブを手当たり次第に植えてみたり。
それでも猫は、そのハーブの真横を、涼しい顔をして通り抜けていきます。

通り道に百均で売られていた猫よけのトゲトゲを置いてみたこともありますが、猫なんて塀の上も歩けます。トゲトゲはなんの意味もありませんでした。


そうして何十年も途方に暮れていたのですが、ハムスターを育てたことが切っ掛けでアニマルコミュニケーションを学び、ある時うちの庭にフンをしていた猫に、話をしてみようと思い立ちました。


猫が庭に来たら、いつもは気づく都度追い払っていましたので、私の気配に気づいた猫は素早く逃げる体勢をとりましたが、話し掛けるとピタリと立ち止まり、こちらを振り向きました。

「ねえ、ここの場所、糞の臭いが酷くて困ってるの。ここにはいつでも来て寛いでいって構わないから、糞はしないでもらえるかな。」

そう伝えたところ、猫はじっと話を聞いていて、話し終えるとサッと庭の外へ走っていきました。

そして、その日からその猫はピタリと庭に来なくなりました。


えっ?!
来てもいいよとは言ったけどこないの?!
うちの庭って単なるトイレだったの?!

と、めちゃくちゃ泣きそうになりましたよ(ノД`)


そうして、猫が来なくなり庭が臭くなくなって、すっかり安心していた頃。
天井裏にネズミが来ました。・゚・(ノД`)・゚・。

今までこの家に、ネズミが入ったことはリフォームの際に開けっ放しになった時一度だけ。
その後すぐに工事が始まり食べ物がなくなったため、ネズミはすぐに出ていきました。


(;´Д`)そうか。
今まで庭の野良猫がネズミを追い払ってくれていたのかも。


人生万事塞翁が馬。
そんな言葉が思い浮かび、猫を追い払ってしまったこと、いや正確にはまったく追い払ってはおらず糞をしないでと頼んだだけでしたが。
その事を酷く後悔しました。

だって、天井裏のネズミより庭の猫のほうが何倍もマシじゃないですか。・゚・(ノД`)・゚・。


そのことに気がついたときにはもうあとの祭り。猫はまったくうちの庭には寄り付きもしません。

それからしばらく経った頃、トボトボと近所を歩いていたら、あの猫が居ました。
猫は私の顔を見ると、一目散に逃げようとします。

ゴメンね。
なんだか泣きたくなりました。
あんな顔を猫にさせてしまうなんて。
猫にとっては私の家とか関係なくて、ただ(私が庭いじりをしないせいで)静かで落ち着ける場所だったってだけだもんね。
猫にとって、誰の家とか関係ない。
土地はみんなのものだもんね。

糞はしてほしくなかったけど、やっぱりうちの庭にも遊びに来てよ。

そんな想いがぶわっとあふれ出してきました。
猫はあの時のように、逃げようとしていた足を止めて私のことを少しの間眺めてから立ち去りました。



そして、翌日。


にゃ~ん

庭で猫の声がしました。


(✽ ゚д゚ ✽)あの猫かな?!

慌てて庭を覗くと、初めて見る猫がこちらに向かって鳴いていました。


(ΦωΦ)新しくここに派遣されました、よろしくにゃ~ん


みたいなことを言っています( ;∀;)
元々の猫が縄張りを変えたからなのか、もう私のことがいやになったのか。真実はなんなのか。
なんと、別の猫が我が家に派遣されてきました(笑)

そしてそれ以来、庭では猫がたまににゃーにゃー鳴いています。

私は、呼んだ以上またトイレにされるのやむ無しと覚悟をしていましたが、新たに来たその子はうちの庭に糞はしていない様子です。


猫が来なくなった結果、ネズミが入って大変な目には合ったけれど、万事塞翁が馬。
なにかすごく大切なことを色々学んだような気がしています。


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