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2023年春学期全般 振り返り

春学期は、ピーター・ロウ先生他担当の博士課程全員の必修のデザインリサーチ方法論のクラスに加え、私の博士論文の副指導教官でデザインスクールの前学長モイセン・モスタファヴィ先生の授業Architecture: Histories of the Presentと、ハーバード感覚民族誌学ラボのスタジオコース、Sensory Ethnography 1&2を取りました。特に、Sensory Ethnographyは、2013年にルシアン・キャステイン=テイラーとヴェレーナ・パラヴェルが作った「リヴァイアサン」を渋谷のイメージフォーラムで見て、いつか会ってみたいと思っていた、そのルシアンとヴェレーナが担当の授業。期待たっぷりで始まりました。http://www.hunt-the-world.com/aboutsel/

でも、この授業のせいで?おかげで?メンタル的にはとてもヘビーな学期となりました。2週間に一回ショートフィルムを作っては映画監督であり先生のルシアン・キャスティン=テイラーらに批評されて凹むという、がむしゃらにやってもどうにもならない(やっぱりセンス?がものを言うこともあるんだな的な)世界を経験。エスノグラフィーの様々な方法論を模索したくてとった授業でしたが、なかなか大変でした。でも、自分では思いつかないような映像表現たちに触れられたこと、様々な映画監督から直接話を聞く機会を得られたこと、財産となる学びもたくさんありました。

例えば、シンガポールを代表するタン・ピンピン監督や2022年ベネチア映画祭で、銀獅子賞(審査員大賞)と新人監督賞をダブル受賞したアリスディオップ監督からそれぞれ3-4時間にわたって一緒に作品を鑑賞し、話をする機会をもらいました。特に、アリスディオップ監督の本年度アカデミー賞国際長編映画部門のフランス代表にも選出された映画「Saint Omer(サントメール ある被告)」は圧巻でした。一緒に見たOn callもすごかった。

授業の他にも、今学期は、ハーバードデザインスクールのフューチャーフォーラムでパネリストをさせていただく機会をもらったり、学生デモに初めて参加することになったり、日常を離れた心躍る時間もありました。フォーラムは、ハーバードデザインスクールにイサムノグチの実現しなかった原爆慰霊碑の設計図が残っているということを契機に、デザインスクールの日本人フェローの方が中心となって企画された地球平和を考えるイベントの一環でした。

学生デモは、ハーバードがいまだにサックラーという、アメリカのオピオイド依存症問題の原因となった薬の販売で財を成した一家の名前を建物に使っていることへの反対を示すデモで、友人たちに巻き込まれる形でしたが、初めてデモの中の人を経験しました。日本にいるとドラッグの話はあまり出てきませんが、アメリカでは本当に身近で、共感できる内容でした。

大学院の春休みには、Changemakerxchange (CXC)のFacilitator for Changeのトレーニングのために、北イタリアのLa Valletta Brianzaへも。世界中から選ばれた30人のリーダー/ファシリテーターたちと、リトリートしつつ、チェンジメーカーのウェルビーイングに重きを置いた場作りについて学びを深めました。東アジアからは私だけで、他は、ヨーロッパやアフリカからの参加者が多数。研修の内容からはもちろん、出会った仲間たちからも多くのことを学びました。中でも、ライフステージが変わり、やることが変わってもつながっていく、人間のつながりを大事にするコミュニティを作っていくためにどうすれば良いか、というところをじっくり話せたのがよかった。

そんなこんなあっという間に博士の1年目も終了!


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