卒論は大学生活で最初で最後に書いた(まともっぽい)論文だった。 卒論提出締切日。 昼過ぎに大学へ行き、締め切り時間には余裕を持って提出した。 友人と落ち合った後、締め切り直前で猛ダッシュで図書館と教室を行き来する学生を横目で見ながら、ロクに飲めない缶チューハイで乾杯していた。 中には締め切り時間ぴったりで閉められた扉の前に、あと一歩で間に合わず紛糾していた学生もいたので、本当に性格の悪いことをしていた。 私の大学生活は、まさに社会に揉まれる前のモラトリアム期間だった。