いつの頃からか、プロフィールの文言でよく見かけるようになったのが、HSPとかASDやADHDとか、ブルベとかイエベとか、骨格ウェーブとかナチュラルとか、トランスだとかアセクシュアルとか。
プロフィールといえば定番は、〇〇出身、〇〇大学卒業、職業〇〇みたいなのがあるが、これらと前者は質的に異なっている。

そこから考えたことを書いてみる。

思い返せば、わたしは昔からわたしが”わたし”と思っているものについての取り扱いに、ずっと手をこまねいている。自分を定義するのがことさら苦手なのだ。

SNSに載せるたった数行のプロフィールでさえ、書いては消して、書いては消してを繰り返し、うんざりするような時間たちを見送って、また書いて、消して、書いて、いよいよもうどうでもいいやと投げやりになって読み返しして見れば、なんとまぁ無難で平凡すぎるんだと自分にのつまらなさを少し惨めに思いながらアップする。アップしてからもなんかしっくりこないけど、、、まぁいいか、小骨がつっかえている、そんな調子だ。

でも、有難いことに、ネット上にはとりあえず繕えるような便利なひな形がたっぷりとあるから、その空欄に自分の中の何かを入れ込んで、しのいでいる。

しかしそれは、間に合わせに履いたサイズの合わない靴みたいなもので、とりあえず突っ立っていればその場はやり過ごせるが、歩き出した途端、ぶかぶかで歩けたもんじゃくて靴の用をなしていないと再確認させられる。
ただプロフィールで厄介なのは、靴のように自分で自分にピッタリなのかどうかが分からないことだ。

そんなふうにプロフィールの樹海を彷徨うわたしは、他人のプロフィールに興味津々で、蛍光灯に吸い込まれる虫の如く吸い寄せられて日々飛び回っている。

いつの頃からか目にすることが増えたのが、HSPとかASDやADHDとか、ブルベとかイエベとか、骨格ウェーブとかナチュラルとか、トランスだとかアセクシュアルとか。この辺までは聞いたことがあったけど、先日高校生のプロフィールにMBTIは〇〇型ですとあった。全く分からなかった。調べたら質問への回答をもとにした性格診断で、１６分類にするものらしい。（そんなものがあったのか、、、。いや、昔からこの手のものはあったけど、何また最近流行ってるの？？）

とにかく、そういうこの分類で何タイプ、この分類では何型、この診断では〇〇みたいな記載が増えたように感じる。

プロフィールといえば定番の、〇〇出身、〇〇大学卒業、職業〇〇みたいなのがあるが、それらは社会的な所属であるし、趣味〇〇は主体的に意識してやってることなので、前述のような分類型とは質的に異なる。

例えばHSPは心の特性であるし、ASDやADHDは発達障害の一種だ。ブルベとかイエベの似合う色分類は、骨格診断も生まれ持った身体的特徴をもとにした分別。セクシュアリティも生まれ持った感覚がベースにある。要するに、分類型って、生まれ持ったもの、自分では認識できない性質を表している。

前者が、一人の人間としてひとまとまりの自己が何であるか、社会的にどこに帰属するのかを提示しているのに対して、後者は自分では把握できていない自分の構成要素を、診断というデーターベースの中から導き出された結果を提示している。

プロフィールという他者に自己を提示する場で、わたしがどういう人かを一つの塊として物語っていたのが前者で、わたしの構成要素を列挙しているのが後者ともいえる。

なんかこれって東浩紀「動物化するポストモダン」に書かれていた、データベース消費っぽいなと思った。

設定の集積から要素を抜き出して組み合わせる感じが。

東浩紀も「動物化するポストモダン」も通っていない人には何の話だと思うのだけど、解説できるほど理解できていないし、一から説明するには手に余るので、この考えが前に進んだら、かいつまんで書いていきたいと思うが、着想自体は悪くないんじゃないかと今は感じている。

東さんが「動ポス」を書いたのが２００１年。そこから２３年経って、アニメとヲタクを取り巻く状況は変化してる。「動ポス」が出た当時よりもアニメもヲタクも市民権を拡大してきている。
わたしが子供の頃はまだ、大人でアニメを見るのを公言するのはまだ憚られる風潮があったけれど、この頃は大人向けアニメもあり、アニメ＝子供の娯楽というイメージは解体されつつある。

アニメの視聴者層拡大と、自分自身のプロフィールをデータベース消費するつながているのでは！？がわたしの仮説。

勉強していって、このぐらっグラの仮説に骨組みを立てていけたら面白いかも。