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【詩】償いの期限

償いの期限

償われるべきだと信じる人々は
彼等にとっての真実を語り続けながら言う
「決して忘れない」
償うべきだと呼ばれる人々は
目を逸らし続けながら言う
「過ぎたことは忘れたほうがいい」

償われるべきだと信じる人々は
何世代にもわたり主張し続ける
「その事実が自分達の不幸の根源を作った」
償うべきだと呼ばれる人々は
世代を超えて反論し続ける
「そのことと現状とは関係ない」

償われるべきだと信じる人々の心は許さず
償うべきだと呼ばれる人々の心は謝らない

学ぶべき歴史は遠い本の中
現実の中の非現実で
ひとつの過去が
あちこちでいくつもの違う形となり
誰かの都合のいいように決められる
歩み寄るべき歴史は
穢れなき子孫に影の数珠

償いの期限は定かでない
互いの心が思いやりで決めるまで

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