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調達額1億超の野良ファンドレイザーが2か月で300万集めるために考えていたこと【ひとり反省会】

先日、300万円のクラウドファンディングを達成することができました。年末まで支援のお願いを継続しておりますが、仕事納めということもあって先走ってこちらの記事を書いております。

はじめに

今回も150名を超える方々にご協力をいただきました。この場を借りて御礼をお伝えいたします。私はファンドレイザーという寄付を集めることを生業とする人で、実際にいただいた寄付は支援現場に流れるため私のお仕事はここまでになります。

しかし、これだけ多くの人にご協力をいただいた以上、私も何か返せるものはないかなと悩んだ、せめて自分の思考・技術的なものを公開しておくことくらいはできるかと考えこの記事を書きました。

タイトルにもある通り、私は完全な「野良」です。日本にはファンドレイジング協会という組織があり、充分なスキルセットをされ「認定」を受けたファンドレイザーがいますが、そうしたバックグラウンドはありません。
実績として2015年ごろから現在所属しているNPOでクラウドファンディングをはじめとする支援者を募る仕事を担ってきて、区別なく担当した仕事を合わせると1億円以上を調達してきました。

あまりに知られていない仕事でもありますので、NPOの世界にはこうした働き方があるのかということを知っていただく意味でも、今回のクラウドファンディングを事例としながらまとめていきたいと思います。


注意事項

この試みは『プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン - 実績・省察・評価・総括 - 』の着想を得て行う山崎個人の発信であり、本クラウドファンディングの実行団体である育て上げネットならびにふるさと納税の窓口である東京都立川市の声明・発言ではないことをご理解ください。

また、本記事はNPOの裏側の話であり、社会課題を非常にナナメに見ている側面があります。肯定的に捉えるのが難しい部分もあるかもしれませんが、その点についてはご了承いただければ幸いです。


クラウドファンディングの基礎理解

クラウドファンディングとはなにか

本記事に目を通されている方にとってゼロから説明をするのは逆に失礼に当たるのではないかと考えており、あえて基礎説明は省きます。どういったものであるか知りたい方はReadyforやCAMPFIREといった大手クラウドファンディングプラットフォームが作成しているドキュメントを読むことを推奨します。

把握しておきたいことは

・何らかの目的のもと、お金を募る行為であること
・プロジェクトごとに目標寄付金額と募集期間が定められていること
・NPOが行う場合、決済額は個人の自由意志のもと決定されること

以上の3点のみです。

NPOにおける立ち位置

私は独自に3つの分類があるように分析しています。必ずしもどれかに当てはまるというわけではなくグラデーション的なものと認識しています。

①事業・スタートアップ型

なんらかの事業の立ち上げフェイズで資本が必要になり行われるもの。規模感が数十万~数百万程度で必ずしも大きな金額がかかるわけではない。

寄付でなくても助成金や補助金を頼ることもできるが、事業費全額をまかなえない仕様や使途が決まっていて人件費を計上できない、スタート後の方針転換が難しいなど、スタートアップ段階では使いにくいことも多い。

また多くの公的助成は「すでに顕在化している問題」が対象となっていることが多く、NPOの場合はまだ世に知られていない諸課題への対応や事業領域によっては助成金の公募がそもそも限りなく少ないということも起きる。
また、単年の資本は安定性に欠けるため、事業の継続という根本課題の解決としては弱い側面がある。

事業初期の資本調達にクラウドファンディングを置くことは、事業費の調達が主目的にあり、さらに一緒にこの問題と付き合っていく関心度が高い層との接点構築を行うことに期待が置かれている。

1人月未満の工数で行える限界は、この事業・スタートアップ型と思われる。

②広報・キャンペーン型

事業が一定の成果を出すようになれば、拡大期がやってくる。拡大期におけるクラウドファンディングは社会課題の認知向上と、サポーターの発掘、事業領域における団体のポジション取りがあると考えている。

拡大期には数千万、場合によっては億単位の資本が必要になる。もちろんその場合も助成金などが選択肢に入るが、前述のように単年申請がほとんどで、また数千万円単位の助成金は数が限られている。

社会課題の認知向上を進めることで、国内にある財団や助成団体に自分が取り組む領域を知ってもらい、その存在を顕在化させていく意義がある。

それは同時にサポーターの発掘につながる。①で上げた関心度が高い層というのは本人に課題意識が高く、情報感度が極めて高い層と捉えているが、②でターゲットになるのはそこまでの段階ではないものの、その領域に関心を持っていて「行動(≒寄付・社会貢献)の機会をうかがっている層」と言い換えてもいい。

NPOで働くようなコアな人は極めて例外で、多くの人は何かしたい気持ちはあるがどうしていいかわからない、なにが貢献として評価されるかわからない。

そうした人たちに自分たちが主体となって「こうした支えを求めています」という発信をすることで行動を誘発する。必要がある。

この活動のもうひとつ重要な観点は大きな資本を受け取れる団体があるということを社会に知ってもらうことでもある。財団や企業のCSR担当者、SDGs推進部門は支援領域を決めたあと、支援先を見つけなければならない。

大手企業ではその支援予算が数千万円規模になっていることも少なくないが、それを受け取って活動できる団体というのは限られている。
大きな目標金額を掲げ活動することは対外的に「それだけの規模で運用できる」と示すことでもある。

事業規模の拡大とともに、自分たちがそうした大きな規模で運営できることをアピールできる重要な価値を持つと捉えている。

③その他の目的

NPOにおいてはあまり見られないが、一般企業が行うようなリターンがある寄付活動というものも少なからずある。また、syncableが行っている個人が寄付を募るバースデイドネーションなどもあり、かならずしも①と②に属したものだけではない。

今回、私が担当したクラウドファンディングは①の要素が強かったといえる。ふるさと納税という例外的な側面を持っていたため②の特にサポーターの発掘の側面もなかったとはいえないが、それでもあくまで事業費の調達に終始したという見方が適切ではないかと考えている。

ふるさと納税制度を活用した留意点

今回のクラウドファンディングは通常の寄付と異なり「ふるさと納税」の制度を使った寄付であることを留意しなければならない。寄付白書2021によれば国内の寄付の中央値は10,000円とされているが、本日時点では単価は20,000円程度であり、通常よりも高く推移したことを報告する。

還付率の高さが大きな要因と捉えているが、1兆円規模の資本が動いているふるさと納税市場のユーザーは①にあったようなコアな層とは異なる属性をもったコミュニティであると認識している。

プロジェクトの始終

以下には今回のプロジェクトにおいて立ち上げから終結に至るまでの主なタスクと思考についてまとめている。

立ち上げ・計画

通常のクラウドファンディングの場合、1-2か月ほどの計画を設計する時間を用意する。それには主に事業背景の理解、調達資金の設定、概況把握、広報計画の設定が含まれている。

■事業背景の理解

最も重要なのは調達した寄付が使われる事業がどういったもので、どういったコンセプトや事情を抱えているものか把握することにある。どういった社会課題がテーマとなり、すでに顕在化された問題であるか、なぜこの事業に私たちが取り組んでいるのか。この課題は社会にどういった不都合をもたらし、また個人はなに苦しんでいるのか……

挙げだすとキリがないので、これ以上は書かないが、現場がある取り組みであれば自分が参加してできるだけ自分が体感することをオススメする。受益者が人であるならば、当事者と話すことも重要。

私が特に見ているのは「社会の琴線に触れることがあるか」と「寄付でなければならない理由」2点。

コアな寄付者層に情報を届けるためにはその人たちのことを知る必要がある。どんなキーワードを用いて、何が求められているのか。その求めに応えている取り組みであるかどうか、コアにあるものを突き止める。

寄付でなければならないかどうかの判断は難しいが、重要視しているのは資金の自由度と共感されやすさ。前者は好き勝手な活動をしたいということではなく、活動に求められる柔軟性や臨機応変さを気にしている。いきなり必要になったものが買えない資本では困るのである。

後者については後述する概況把握にもつながる。社会のトレンドや関心の在りかによって、クラウドファンディングの難易度が変わるためだ。誰も話題いしていないことはそれだけ情報発信の量と質が求められる。
逆に連日トレンドに上がり、ニュースでも取り上げられる課題ならその負担は少なくなる。SNSの時代には勝手に広まるからだ。

ファンドレイザーは最初の支援者であり、最大の味方であり続ける必要があり、そのためにはまず時間をかけて取り組みを知る必要がある。

■調達資本・期間の設定

クラウドファンディングでいくら集める必要があるのかを把握しておかないと始まらないので予算や事業経費の計算を行う。もちろん、ファンドレイザーがやる必要はないし、事業担当者がやるべきことではある。

仮にこの時点で事業・スタートアップ型のレベル感でない資本が必要になった場合、個人の寄付で集め切ろうとするのはかなり苦しいと考えている。組織的にマーケティングを行い、関心層のトレンドを作るような本格的な活動をするならともかく、限られた工数で運用するのであれば寄付で集める部分と助成金を活用する部分を設定して計画を立てておきたい。

それは事業担当者の期待値コントロールでもあるし、自分の仕事の度合いを定めることでもある

また、その際に期間も設定する。一般的にクラウドファンディングは最大でも3か月ほどとなっているプラットフォームが多いが、必ずしも長ければよいというものでもない。期間が長いとそれだけ担当スタッフのメンタルは疲弊するし、クラウドファンディングに割く時間が伸びる。用意する広報施策も増えるし、既存の寄付者にお願いをする場合には寄付者のお願い疲れも起きる。

ただ、情報の浸透には時間がかかるため、クラウドファンディングをやっていることが自分の身の回りに知れ渡るまでのラグは考えておかなければならない。

今回の場合は11月10日から12月31日と設定した。この設定の最大の根拠は「最も早く始められる日」が11月10日で、「確定申告の対象にできる期日」が月末だったからにすぎない。

通常のクラウドファンディングの場合は自団体のなかで決められるのでそうした設定にはならないと思うが、募集開始日を決めないとプロジェクトページの作成や事前の広報施策の準備にどれだけ時間を割けるか決まらないので早期に確定したい。

なお、年末付近で募集する場合は着金タイミングを確認しておかないと確定申告が1年後…ということもあり得るので注意したい。ふるさと納税の場合は年末ぎりぎりまでできるが、通常のプラットフォームでは12月の寄付が12月に入ってくることはないので注意したい。(ただ、寄付が集まりやすいのが12月だというのはジレンマでもある)

■概況把握

自分たちの取り組みが社会的にどういう立ち位置で、支援の機運がどれくらいあるのか知っておきたい。

例えば育て上げネットの場合は「若年無業」「ニート」「ひきこもり」「就職氷河期」といったキーワードがあるが、いずれも法人活動が始まった20年前に比べると社会全体のトレンドとしては下火状態にある。まったくないとは言わないし、定期的に取材もあるが、それでも連日ワイドショーに取り上げられることはまったくないし、取り上げられても事件性のあるもので寄付という点においてだけ見るとネガティブに働くことの方が多い。

クラウドファンディングを始めるにあたって重要なのは自分たちの想いだけでなく、社会全体の機運・トレンド・気持ちがどこに向かっているかということが重要。

今回のクラウドファンディングの場合、そのトレンドを強く感じられるキーワード「トー横」があった。もちろん、実際に支援の対象となっているし、そうしたバックグラウンドをもった支援がなされていることが大前提であるが、このキーワードがあるかどうかで寄付施策は大きく異なっていたと考えている。

もうひとつ「ふるさと納税」は年末シーズンに極めて強いキーワードだった。特に立川市は不交付団体で流出額が全国ワースト50位内という苦しい状況に合ってそこが話題になりうるということも重要だった。

社会がいま何を求めているのか、どういった話題が欲しいのか。どこをみているのか、そうしたことがクラウドファンディングでは重要である。

あえて補足すると、先ほど下火と書いた若者支援の重要なキーワード群は、いま対企業の市場で強力なトレンドになりつつある。外国人労働者や技能実習生の課題が顕在化し、少子高齢化が進むなか、若手人材として注目を集めている。ビジネス領域からの取材が増えてきているのは間違いない。

ただし、クラウドファンディングで重要なのは個人の目に留まる場所に情報が出ていくかどうか。それは新聞であり、SNSであり、テレビ・ラジオのことをさしている。

これが嚙み合うものが無いとき寄付の訴求は苦しくなっていく。広報計画を丁寧に行わなければならない。

■広報計画

ここまでで事業がどういったもので、寄付をする個人との接点をどう持つか、どれだけの時間をかけるのか、パズルをそろえてきた。

具体的な広報計画に落とし込んでいく。段階的に事前、実行中、終結後の3つの段階があるが、事前段階でやるのはコンテンツの準備と実行中の企画計画だ。

クラウドファンディングにおいて寄付者にしてもらいたい行動は「プロジェクトページにアクセスして決済する」なので、最低限で必要なコンテンツはプロジェクトページである。

プロジェクトページで最も重要なのはキービジュアル(サムネイル)とタイトルである。最も多くの人の目に触れるものに全力を注ぐべきだ。

キービジュアルは支援対象が何か明確にはっきりとわかるようにすることをオススメする。対人支援なら、対象が想像できる写真が良い。対人支援の場合はセンシティブな課題を取り扱っていて当事者を広報素材にするのは憚られると思うが、今はAI生成でいくらでもそれに近い素材を作ることができるので、そういったものも駆使したい。

今回のクラウドファンディングでは、画像素材サイトを探り、夜にひとりでうつる画像を探し当てた。画像が暗かったので、対象者となる女性に後光を当てることで強調を意識した。ただ、今回のサムネイルは第三者的な評価を受けることは少なかったので適切だったかといわれると悩ましい。

特にサムネイル内のテキストが長すぎて、わかりにくくなってしまった点は反省点であり「家にいたくない」だけでも良かったのではないかとも思う。

タイトルは最初の10文字以内、できれば7文字までに興味を惹くワードを置きたい。

言葉は長くなるほど説明が丁寧になると思われがちだが、実体はまったく逆で、重ねるほど意味の理解に時間を要するようになって読者側の負担を増やす行為に他ならない。

また、言葉が掛け合わさると余計に意味不明になる。ほとんどの人は事業に関心はあっても専門家ではないので、「こういう人を支えたいんだ」という説明をするほど読者を置いてけぼりにする。

もちろんそのままプロジェクトページの隅から隅まで目を通してくれる人もいる。その人は蝶よりも花よりも丁重に扱うべき存在だ。

いかに簡単な言葉で目を惹くかが勝負になる。

私たちの成功事例として「寝ながらできる、はたらく相談」という言葉がある。オンラインでの対人支援の取り組みのキャッチコピーだが、頭の7文字は一般的な対人支援における対面性の対比と、”寝る”というあり得なさがビビットにうつり多くの人に関心の的となった。

誰もがイメージしやすい言葉を駆使することが重要になる。今回のクラウドファンディングではそのワーディングに時間を割くことができなかったため「孤独・孤立」というトレンドワードに頼る形になった。

またタイトルに加えた「守る」や「居場所」は本領域に関心がある人の関連ワードとして選択した。類型タイトルとして20本ほど考え、結局はこれを使うに至った。

その他、準備段階で用意するものはプレスリリース、潜在寄付者向けのイベント、活動報告、既存寄付者へのお願いメール(手紙)、などがあるが、ここまでの準備がなされているとこのあたりはそこまで苦労はない。というか、メッセージをそれぞれに分けて出せるほど余裕があることは少ない。

実行中の計画は淡々と続けられるものであることが大事。無理のないスケジュールを立てたい。なぜなら大抵の場合、すき間になっている日に新たにイベントが入ったり、取材が入ったりと追加の仕事があるからだ。クラウドファンディングを専任でできるということもないだろうから、これだけでいっぱいになるような予定は避けたい。

終結後についてはこの段階で詰めておく必要はないと思うが、その後の御礼や寄付者とのコミュニケーション、もし見学などを受け付けるならそうした点は事業担当者と詰めておいた方がよいだろう。

実行・監視

実際にクラウドファンディングのページがオープンすると、そこから先は答え合わせの感覚に近い。正直なところ企画段階ですでに勝負は決していることが多く、できることをやっていくに過ぎない。

よくプラットフォームには「開始からx日でxx%集まれば、プロジェクトの達成見込みがある」と書かれている。たしかにそうなのだけれど、開始当初に寄付が集まるのは要するに準備ができていたということ。準備ができているプロジェクトはそのまま進んで大体成功するというのが意図しているところなのではないかと考えている。

クラウドファンディングにおいて寄付が集まるかどうかというのは、結局のところ「どれだけお願いしたか」に他ならない。それ以上でも以下でもない。たまにクラウド(集団)だからページを公開したら集まると考えている方もいるそうだが、そんなことはありえない。そのレベルのサービスはそもそも何もしなくても団体への寄付が勝手に集まるはずだ。

だからこそ、お願いをするしかない。初めてお願いをする方に向けて具体的な手段を羅列するので、参考になれば幸いだ。

■個別にお願いする

あなたが関係する仕事の付き合いのある人、友人、家族など身近な人に声をかけるところから始めてみる。重要なのはプロジェクトを応援してくれる人ではなく「あなたを応援してくれる人」から始めること。

多くの人は寄付は未経験であなたの仕事や事業のことにも詳しくない。だけれど、あなたが困っているとしたらその手助けはしたいと考えてくれる。

実際に支援してくれるかどうかは別にして話す練習台になってもらうために聞いてもらい、説明のよくわからなかったところや、感心したことを聞いておくのもマーケティング的に重要な意義を持つ。

■メール(手紙・電話)でお願いする

すでに支援者リストがある場合は、メールや手紙でお願いをするのも非常に有効な手段。前述のものと同じく、すでに団体を応援してくれる人たちは団体からのお願いを少なくとも話を聞いてくれる方は多い。

コンタクトの方法はいくつかあるが、普段のコミュニケーションに使用している手段を使うのが無難だと考える。あまりに何度も連絡すると相手がお願い疲れしてしまうので、募集期間にもよるが2,3回くらいが限界なのではないかと思う。

■SNSでの情報発信

個人の拡散能力が高いのはSNSではある。これはクラウドファンディングの運用期間以外の平時にどれくらい頑張れているかに依存する部分が大きいので、日常的にフォロワーをつかんでおくことが大事。クラウドファンディングを始める前から、におわせておくことも良い施策。関連するニュースに触れたり、支援の必要性について触れておくと助走ができてフォロワーも受け入れやすくなる。

こちらの情報が発信されて浸透するまでには時間がかかるので粘り強く何度も情報を出すことが大事。いろいろな画像を使って情報を飽きさせないように展開したほうが良いというのはよく聞くが、個人的には数か月の限られた時間なのでキービジュアルを覚えてもらうことが最優先であると考えている。

「あのSNSで出してるアレね」といわれるようにしつこくビジュアルを変えずに出していくのが良い

■メディアの活用

SNSにしろメールにしろ、よほどバズらない限り届くのは「自分のことを以前から知っている人たち」でしかない。今までまったくであったことのない人とのきっかけを作るにはメディアを狙うのは有効な施策になる。

プレスリリースは必ず書いて地域にある記者クラブに持ち込んだほうがいい。当番の記者と話せるし、地元メディアとの関係を作れるかもしれない。近くに支局があるなら直接持ち込める場合もある。
その他、地元のFMラジオやローカルテレビ局、ネット上にある地域メディアなど情報が届けられる場所はとにかくすべてに出す。

彼らは「新しい情報」を知らせることが仕事なので、ネタの持ち込みを嫌がることはないと思う。広告料を求められることが合ったりするが、そういうことも勉強しながらやれるとよい。

クラウドファンディングが終わってもあなたの活動は終わらないし、別のことで付き合いができるかもしれない。メディアは強力な情報発信ツールなのでできるだけルートを作っておきたい。

■イベントを開く

社会課題の領域を知ってもらうためのイベントを開くのも一つの手段になる。ただ、これは団体自体の認知度やテーマの関心度なども影響してきてプロジェクトの実施期間を考えると意外と時間は不足しがち。

即寄付につながることも少ないので、クラウドファンディングよりは平時におすすめしやすいもの。

■企業へのアタック

地域の企業など寄付先を探している企業もあるので問い合わせメールで連絡してみるのも一つの手段。関係ないと思われたら返答がないだけなのでやるだけやってみてだめならそれで終わりでもOK。

認定NPOなら法人名義の寄付も控除できるが、そういうことを知らない企業もかなり多いので、場合によっては経理部宛にしたりしてもいいかもしれない。

要するに、あなたの活動を知ってもらうためにできることはなんでもしたほうが良いということが帰結になる。すべては知ってもらわないと存在していないに等しいので知ってもらう努力はする。

■応援コメントを集める

さまざまな関係者に対してプロジェクトの応援メッセージをもらう。プロジェクトを知っていてもSNSでの情報拡散をするにはきっかけが欲しいというのが周りの声として多い。

応援コメントを進捗情報などに掲載することで、拡散するきっかけを作ってあげると身動きがとりやすくなって広報活動に協力してくれることも多い。

このほかにも広告掲出も手段と思われるが、今回は小規模のクラウドファンディングを想定しているので割愛する。

終結

クラウドファンディングが終わったら、まずは寄付してくれたみなさんへの御礼が最優先を行う。活動の進捗があったタイミングや成果がでたタイミング、季節ごと(年末年始やお盆など)もあるし、細かくできるなら誕生日なども良い。要するに人付き合いなので相手が嫌がらない範囲で丁寧にするに越したことはない。

重要なのは次のクラウドファンディングや継続の支援へと移行していくことだ。寄付してくれた方々はただお金を出してくれた人ではなく、同じく社会課題と向き合ってくれる大切な仲間なので、今後も一緒に課題と向き合ってくれるようなお付き合いをするコミュニケーションをとりたい。

さいごに

今回のクラウドファンディングは11月10日スタートで約2か月の募集であったものの、準備として時間をつかえたのは2週間ほどでタイトなスケジュールで運用が始まりました。

内容の詰めの時間が十分とれず、キービジュアルやタイトルには反省は絶えませんでした。ふるさと納税の仕組み上、寄付してくださったのが誰なのかわからない状態が続き、件数は増えていくがその実感を私自身も持ちにくい状況でプロジェクトが続いておりました。

ただ、社会の注目を集めやすいテーマ、トレンドという追い風を受け、メディアの力もたくさんお借りできたこと、また、立川市という強力なパートナーの存在もあって、最終的には4日を残して目標達成に至ることができました。これで来年度の計画見通しが立って不安要素がされました。

今後も、さまざまなNPOがこれくらいの数百万円規模のクラウドファンディングに挑戦していくのかと思いますが、その際に少しでも先駆者として参考になれば幸いです。

私個人としてはより多くの方がNPOの活動に参入して、クラウドファンディングや資金調達に挑戦してほしいなあと思っています。なにかお力になれることがあればお問い合わせやDMなどいただけたら嬉しいです。


なにかご関心をお持ちいただけましたらご支援お願いします。文章書いてよかった、誰かの支えになれたと励みになります。